草なぎ剛が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『終幕のロンド-もう二度と、会えないあなたに-』(毎週月曜22:00~ ※FODほかで配信)の第8話が、1日に放送された。
妻の死をきっかけに“遺品整理人”となったシングルファーザーの主人公が、遺品整理や生前整理を通じて、残された家族へのメッセージをひも解いていくというヒューマンドラマ。これまで今作は、どんなエピソードにもどこか整然とした空気が漂っていた。多少の不穏があったとしても、最後には人物の思いを丁寧に“くみ取り”、優しい世界へと変えていく。そんな穏やかな回収の仕方が作品全体を支えてきたからだ。
ところが今回の第8話は、最終章へ向けての“混沌”が前面に押し出され、これまでとは異なる表情を見せた――。
「この先どうくみ取られていくのか?」が見えない
このドラマの基本は、遺族や旅立ちを前にした人、そして今を生きる人々の思いを“くみ取る”ことで、痛みや葛藤を“優しさ”へと昇華していくことだ。依頼人たちの遺品整理の物語や、前回旅立ったこはる(風吹ジュン)の生前整理という縦軸も、その“くみ取り”の精神が貫かれていた。
つまり、死という厳しい現実ですら、思いを受け止める“器”があれば優しさへと変えられる。その“器”として最適なのが、草なぎ剛が演じる主人公・樹であり、そのことでより “優しさへの変化”が自然に描かれてきたように思うのだ。
また、もう一方の縦軸である真琴(中村ゆり)の樹への秘めた思い、さらには御厨グループによる自殺者隠蔽の問題ですら、最終的にはどこかで「くみ取られるのでは?」という余白を持ちながら、物語が積み重ねられてきた。だからこそ、ここまで穏やかだったドラマ設計は、全てその“くみ取りの余白”によって成立していたと言ってよい。
しかし今回の第8話では、幾つもの出来事がドラマチックに展開されることで、「この先どうくみ取られていくのか?」が、まるで見えない。“混沌”という言葉がまさにふさわしい回となっていた。
樹への気持ちをはっきり示した真琴
まず、前回から続く御厨グループでの新たな自殺者の遺族の物語。兄の死を受け入れられず怒りを爆発させてしまった弟が、逆に訴訟を起こされ、ついには自身も命を絶とうとする展開は、樹がその感情を受け止めてもなお、“優しさへと返す”ところまで行き着いていない。また、真琴の夫・利人(要潤)は、真琴の樹への思いを察することで訴訟へと舵を切ることになるのだが、真琴からの明確な意志を知るや、撤回してしまう。しかしこの撤回は、本当に彼の“変化”なのだろうか。判断しきれない不穏さが残る。
さらに、利人と不倫関係にあった静音(国仲涼子)は、ここにきて裏切りとも言える行動を見せ、後半で唯一と言えるハートウォーミングだった海斗(塩野瑛久)とゆずは(八木莉可子)までも、不穏な渦へと巻き込まれていく。
そして何より今回、最も“くみ取ることが難しい”出来事となったのが、真琴が樹への気持ちをはっきりと示してしまった(!)ことだ。
これまでどんな困難も、理不尽も、倫理に反する出来事すらも“くみ取って”きたのは、草なぎ演じる樹という“器”ゆえである。そんな彼が、真琴との関係において“明確な不穏”を背負ってしまったことで、もはやこの2人が、そしてこのドラマ自体が、どこへ向かうのか全く見えなくなった。この“見えなさ”こそが、今回「くみ取れない」最も大きな理由だろう。
だが同時に、この“くみ取れなさ”こそが、クライマックスへ向けた最大の盛り上がりでもある。これまで丁寧に紡いできた思いの数々が、最後にもし“くみ取られる”瞬間が訪れるのなら、今作はきっと、深く美しいカタルシスを生み出すはずだ。














