俳優の杉咲花が、1月14日にスタートする日本テレビ系ドラマ『冬のなんかさ、春のなんかね』(毎週水曜22:00~)に主演することが1日、発表された。監督・脚本は、GP帯ドラマ初監督となる今泉力哉氏が務める。
杉咲が演じるのは、土田文菜・27歳。小説家として2冊を出版し、現在3冊目を執筆中。執筆以外に、普段は古着屋でアルバイトをしている。そんな彼女が、これまでに経験してきたさまざまな別れやかなわなかった恋などから、人を好きになることにどこか怖れを抱いていて、「大切な人とはつきあわないほうがいいのではないか?」「そもそも恋愛とはなんなのか?」などと逡巡しながら前に進んでいくドラマだ。
今泉監督オリジナルの脚本を読んで、杉咲は「ささやかな瞬間ばかりが描かれた作品」とコメント。今泉監督も「“なんかさ”とか“なんかね”という言葉は、それ自体としてはあまり意味を持たないけれど、ひとつの言葉を発する際にどれだけその言葉を真剣に発しているのか、言葉にすることを怖れているのか、などが表現できる気がして」と述べている。
コメント全文は、以下の通り。
杉咲花
――今泉力哉監督の脚本を読んだ感想を教えてください。
言ってしまえば、とりたてて大きな事件が起きたり、登場人物が成長するようなこともあまりない物語なんです。でも、何気ない人と人とのやりとりの中で流れる「間」とか、小さな心の機微にも、思いやりや切なさがある。
あまりドラマにならないような、シーンとシーンの間にきっと繰り広げられているであろうささやかな瞬間ばかりが描かれていて。今泉監督らしい細やかな視点の優しさに筋肉がゆるまって、ふぅ、と息を吐きました。
――主人公・土田文菜はどんな人ですか?どのように演じていきたいですか?
文菜(あやな)は、人を好きになるということから少し距離を取ってしまう自分自身について、葛藤したり、思考を繰り返したりしながら、真剣に生きている人です。 もしかすると文菜の行動は、共感からは離れるものかもしれません。ですが、時間の有限性であったり、どんな出会いにも別れが付きまとうことに対して、深い寂しさを感じてしまう感度の高さに、私は惹かれています。
文菜という人物を本当に実在する人のように観てもらえるように、ただそこにいられたらいいなと思います。
――本作の好きなポイントは?
一言の失敗も許されないような緊張感が張り詰めたこの時代に、自分の意思を持ったり、気持ちを伝えるということは、なんだか高いハードルがある気がします。そんな中で、悩み、失敗や反省もしながら、自分なりの答えを見つけ出していこうとする登場人物たちに、勇気をもらっています。
――視聴者の皆さんへ、メッセージをお願いします。
この座組で連続ドラマをやれることをたまらなく思っています。恋愛をするひと、しないひと。恋愛がよくわからないひと、したくないひと。自分という人間をいまも探しているひと。人の数だけ、いろんないろんな生き方があって。多様な登場人物たちに、自分や家族や友達の姿を見つけだしてもらえるような作品にできたらいいなと思います。だらっと息抜きしながら観てもらえるように、私たちも気を楽にしながら、心を込めたいと思っています。
監督・脚本 今泉力哉氏
――『冬のなんかさ、春のなんかね』とはどのような作品ですか?
誰かを好きになって、想いを伝えてつきあうことで、逆に決定的な別れがやって来て、その人ともう二度と会えなくなってしまうことがある。その一方で、お互いに惹かれ合っていても適度な距離を保った関係でいられたら、ずっと仲良く過ごすことができたりもする。じゃあ、本当に大切な人とは、好きな人とは、縁が切れないために恋愛関係にならないほうがいいのではないか。そういう人と人との距離間について、ここ数年考えることが多くあって。それが今回のドラマの大きなテーマの1つになっている気がします。
これは紛れもなく恋愛ドラマですが、これまでのドラマや映画の中ではあまり取り上げられ てこなかったような、言葉にできない悩みや葛藤について描けたらいいなと思っています。誰かに相談したら、“どうしてそんなことで悩んでるの?”と言われるようなことが描きたくて。なかなか好きな人ができない人とか、“恋愛もの”というだけでハードルが高いと思うような人、そもそも“好き”ってなんだっけ?っていう人にも楽しんでもらえるような作品になればいいなと思っています。
――タイトルについて、教えてください。
<言葉>ってその響きや文字の並びによって、重さや軽さ、柔らかさなど、さまざまな表情があると思っていて。今回はなるべく重力がない言葉を探していました。“なんかさ”とか“なんかね”という言葉は、それ自体としてはあまり意味を持たないけれど、ひとつの言葉を発する際にどれだけその言葉を真剣に発しているのか、言葉にすることを怖れているのか、などが表現できる気がして。また、今作はほぼほぼ会話劇で、冬から春の間にいろんな話をしていることを象徴するタイトルをずっと考えていて、この言葉にたどり着きま した。
――杉咲さんが主演を演じることで楽しみにしていることは?
以前ドラマでご一緒してみて、杉咲さんにはとても繊細で真面目で、面白い方だなという印象を持っています。文菜って、何に悩んでいるのかも漠然としていて、脚本を書いた自分でも理解できない部分がある人間なので、演じるのがすごく難しい役柄だと思うのですが、そういった部分も杉咲さんとだったら一緒に悩んで、考えて、楽しんで、いい作品をつくっていけるのではと思っています。杉咲さんの思考と、声や身体の魅力とともに、このドラマをつくれることはとても光栄で大変心強いです。
――視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
主人公の土田文菜は万人から好かれるようなキャラクターではないかもしれません。でも、“私は文菜のことがすごくわかる”とか“自分だけかもと思っていた悩みや苦しさを描いてくれている”と思ってくれる人が必ずいると信じて脚本を書いています。
恋愛って、考えれば考えるほどわからなくなってしまったり、呼吸がしにくくなってしまったり、しなきゃしないでいいものだったりするのですが、そういった人々が文菜を見て、今のままでいいんだ、とか、私だけじゃないんだ、と思ってもらえたら幸いです。
私は普段、主に映画を手がけているのですが、ある時、杉咲さんが「今泉さん、ドラマもとてもいいんですよ」って言ってくださったことがあって。お茶の間だったり、一人暮らしの部屋だったり、バイト先の休憩室だったり、行きつけの定食屋の天井の隅っこのテレビだったり。思い思いの場所で、たくさんの人が同時視聴する“テレビドラマ”という媒体で、この物語を届けられること。また、オリジナル脚本でこんな機会を頂けたことに感謝しつつ、この作品に触れた人が少しでも笑えたらいいなと思っています。お楽しみに。
【編集部MEMO】
「東京ドラマアウォード2025」で助演女優賞を受賞した杉咲花は「評価っていうのは何なんだろうと、時に中毒になりそうになったりして怖くもあるんですけど、きっとこの仕事を続けていたらつきまとうであろうそういう気持ちと程よい距離を保ちながら、コツコツ精進していけたらと思います」と語っている。


