日本映画専門チャンネルのオリジナルショートドラマ『こころ』(12月8日20:00~)の先行上映が23日、都内で開催中の「第35回映画祭TAMA CINEMA FORUM」の会場で行われ、W主演の草川拓弥と樋口幸平、中川龍太郎監督が登壇イベントに出席した。

  • 樋口幸平

    樋口幸平

「すんごい共鳴してたよね!」

夏目漱石の名作『こゝろ』から着想を得て、“私”(草川)、“彼”(樋口)、“彼女”(夏子)という3人の男女のこころが揺れ動くさまを繊細に描いた同ドラマ。草川は「撮影期間は短かったんですけど、1本の映画を撮っているかのような濃厚さがありましたし、僕が樋口くんと一緒に演じることで意識したのは“共鳴すること”だと思っていました。2人だけでもそうですし、中川監督とも一緒に作ったんだということを見てる人にちゃんと受け取ってほしいと思って。そして、見ている人もどこかで共鳴できるような作品になってほしいと思って意識して演じていたんです」と振り返り、樋口に「すんごい共鳴してたよね!」と確認した。

すると樋口は「すごかったですよね(笑)」と同意しながら、「終わった時の達成感が本当にすごくて、2人で演じる時に心でお芝居することを最大限に生かした作品になったと思います。監督にとんでもなくいい演出をしていただいたので、これが気持ちで臨んだ芝居の先にあるものなんだと思って、最高の作品に巡り会えたし、人に出会えたなと思いました」と充実の表情を見せた。

中川監督は「うれしいね、ありがとう」と感謝し、「2人がやり取りするシーンを7回も8回も撮ったけど、精神的にもすごく疲れるはずなのに、全然テンションが落ちないで、反射し合ってお芝居ができるようになっていったのを、頼もしく感じて見ていました」と回想する。

この“反射”とは、エネルギッシュにぶつかってくる樋口と、それに対する草川の受けの芝居を表現したもの。7~8回のテイクを通じて、樋口は「受けてくれる顔が全部違うんです。テンション感がどんどん上がっているように見えて、人とお芝居をして目の奥にあるものをここまで強く感じるのは初めてでした」と驚いたそうで、草川は「ありがとうございます」と謙そんした。

中川監督はその芝居を引き出すために、「控室で和気あいあいとしててもいいんだけど、こういう作品だし、俳優さんには本当に集中してほしいと思った。どうしても素の自分が入ってきてしまうと、撮影する時に余計なものが入ってくるから」と、撮影現場の環境づくりを行い、セリフよりもそれぞれの人間性について深堀りする会話を重ねたのだそう。「(撮影時の)2025年7月の草川さんと樋口さんの“こころ”が映ってると思うし、僕も夏子さんの“こころ”も映ってる。これはフィクションなんだけど、そこにドキュメンタリーをどうやって宿すかというのが僕たちの仕事なんです」と強調した。

「これは本当にリスペクトを込めてなんですけど…」

そんな撮影の中で樋口が特に印象に残ったというのが、「僕がタバコを吸ってるベッドのシーンで、台本では“誰かのきれいな手が、僕の顔にかかる”というト書き一文だったのですが、これは本当にリスペクトを込めてなんですけど、相手役の方に僕は嫌悪感がすごかったんです。気持ちが悪くて、ゾワッとする感じがすごくしたんです。それは気持ちで演じたのと、相手役の方が素晴らしいからなんですけど、そこから発される言葉に全てゾワゾワってなって、涙が出ちゃったりしたのが画に映っていたんです」と貴重な経験を振り返る。

中川監督は「あそこで傷つくことが次のシーンの涙につながるから、すごくいいシーンになったよね」と狙いを明かし、「口数めちゃ減ったけど(笑)」と変化を感じたそう。草川は「相当嫌だったんだろうね。すごいですね」と驚いていた。