セブン-イレブンはUCC上島珈琲と共同開発した「セブンカフェ 水素焙煎コーヒー」(160円)を10月28日より全国で順次発売する。2013年に挽きたて、淹れたてを手軽に味わえるコーヒーの発売を開始し、人気を博してきた「セブンカフェ」。その新たなラインナップとなる「水素焙煎コーヒー」発売に先駆け、10月24日には「セブンカフェ 水素焙煎コーヒー 新商品発表会」が開催され、セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長らが登壇した。
-

「セブンカフェ 水素焙煎コーヒー」発表会。(左から)UCCコーヒーアカデミー東京校の専任講師・土井克朗氏、UCC上島珈琲の芝谷博司社長、セブン-イレブン・ジャパンの阿久津知洋社長、マーチャンダイザー(MD)の石橋利彦氏
「おいしさ」と「サステナビリティ」を両立する水素焙煎
UCC上島珈琲の水素焙煎の技術提供のもと、おいしさとサステナブルな価値を両立するコーヒーとして開発されたという「セブンカフェ 水素焙煎コーヒー」。本イベントの冒頭挨拶で、阿久津社長が一番に強調したのは水素焙煎ならではの味わい、おいしさだった。
「水素焙煎コーヒーの最大の特徴は、雑味のない味わい、まさに"澄んだ 飲みごたえ"です。焙煎の熱源に水素を使うことで、トロ火でじっくり丁寧に焙煎することが可能になり、飲みがたえがありながらも雑味が後に残らない、クリアな後味を実現しました。
サステナブルというと、ともすれば味は二の次の印象を受けがちですが、今回の水素焙煎コーヒーにはしっかりとしたおいしさに加え、環境に配慮した確かな付加価値があります。モノ・コト消費に続く意味消費の時代の価値観にも合致する水素焙煎コーヒーは、カウンター商材の中核を担う存在になると確信しています」(阿久津社長)
UCC上島珈琲の芝谷博司社長は水素焙煎技術の開発背景を説明した。
「地球温暖化が進むことで、アラビカ種のコーヒー栽培適地が半減するというコーヒーの2050年問題もあり、UCCグループは気候変動問題への対応を重要な経営課題と捉え、水素焙煎の技術に着目しました」(芝谷社長)
再生可能エネルギーの活用等、使用電力における温室効果ガス削減を進めてきたというUCCグループ。一方で焙煎工程は工業レベルでの電化が難しく、焙煎時に使用する天然ガスから発生する温室効果ガス削減が課題になっていたと語る。
「UCCグループは2021年から燃焼時にCO2を排出しない水素火炎を熱源とした水素焙煎技術の研究開発に取り組み、今年4月、富士工場において世界で初めて、大型水素焙煎機での水素焙煎コーヒーの量産を開始しました」(芝谷社長)
従来の焙煎に比べて幅広い温度で焙煎できる水素焙煎と、緻密なプロファイルコントロール技術を組み合わせることで、既存熱源よりも多彩な味覚形成が可能となり、水素焙煎独自の味を作り出せるという。
「国内に約2万1700店舗を展開し、セブンカフェで日本のコーヒースタンダードを引き上げてきたセブン-イレブン様に、いち早くこの技術と味わいをご評価いただけたことを、コーヒーメーカーとして誇りに思います」(芝谷社長)
「香り華やか、まろやかで飲みやすい味わい」
「セブンカフェは2013年から発売を開始し、今年4月に90億杯の販売数を達成することができました」とは、セブンカフェ全般の開発を担当するマーチャンダイザー(MD)の石橋利彦氏。
「担当の一人として、どうすればセブンカフェは進化できるのか常に考えてきたなかで、昨年秋UCC様より水素焙煎技術のご提案をいただき、さっそく試作に取り掛かりました」(石橋氏)
続いて登壇したUCCコーヒーアカデミー東京校の専任講師・土井克朗氏は、水素焙煎の技術について、「水素焙煎は焙煎時に高温と低温の温度調整の幅が、既存のガスの焙煎技術と比較して幅広く、細やかに調整できます。香りはより華やかで明確に、まろやかで飲みやすくなって、コーヒーのフルーティーさを引き出すことが可能です」と解説。
ベストマッチするセブン-イレブン商品として、「セブンプレミアムゴールド 金のしっとりバウムクーヘン・同フィナンシェ」「セブンカフェ 発酵バターと洋酒香るレーズンサンド」「セブンカフェアーモンドボール」といった焼き菓子を紹介した。
4名の登壇者によるトークセッションでは、セブンカフェの定番コーヒーと水素焙煎コーヒーを飲み比べ。阿久津社長は次のように感想を述べた。
「定番コーヒーは安定のおいしさで、苦味・酸味・旨味が非常にバランスの良いコーヒーだと思います。水素焙煎コーヒーはすっきりしていて、香りもとても良い印象です。時間帯などで飲み分けて味の違いを楽しんでも良いと思います。水素焙煎のほうは非常に飲みやすいので、普段コーヒー飲まない方にも良いのかなと」(阿久津社長)
土井氏によれば「澱みがなく透き通った味わいの水素焙煎コーヒーは、意外に食事と相性が良い点も特徴」とのこと。「ジューシーハムサンド からしマヨネーズ入り」「ソースが決め手の焼きそばパン マヨネーズ入り「3種チーズとたっぷりソースのミートドリア」といった、セブンの定番人気商品ともマッチするそうだ。
試作・試飲を重ね……最後にぶち当たった"ネーミング問題"の壁
UCCの芝谷社長は水素焙煎技術によるCO2削減効果について、「通常のガスによる焙煎時ではCO2を排出しますが、水素焙煎では全くのゼロになります。1年間1日2杯の水素焙煎コーヒーを飲んでいただくと、植林1本分のCO2削減効果が得られます。習慣的に利用するセブンカフェでの展開により、無理なくサステナブルな取り組みができると思っています」と、コメント。
阿久津社長は、「CO2排出を削減することはある程度できても、CO2排出量をゼロにすることは非常に難しいこと。UCC様の取り組みは本当にすごいことです。また、次世代のエネルギーとして水素をつくることもですが、水素を使って需要を確かなものにしていくことが、とても大事だと思っています」とも語っていた。
土井氏らとともに商品開発に取り組んできた石橋氏は、水素焙煎のスッキリ感だけでなく、セブンカフェ商品として"澄んだ飲みごたえ"のコンセプトを実現することに最も苦労したと紹介。
数え切れないほどの試作・試飲、修正と議論を重ねて完成した1杯とのことだが、阿久津社長は実際に初めて試飲した役員会議の様子を明かした。
「私も含めて全員すっきりしていて美味しいという感想でした。ただ、正直に言うと"水素焙煎"と聞いておいしそうなイメージが湧きにくく、通常より20円高い価格で販売することは難しいという意見が大勢でした」(阿久津社長)
しかし、石橋氏は万博会場内のセブン-イレブン店舗で「水素焙煎コーヒー」のネーミングでテスト販売を実施。約1,200杯が試飲された結果、ネーミング・味わいともに非常にポジティブな反応が多かったことに、大きな自信を得たそうだ。
「大阪万博などでの試飲の結果、また同じネーミングで石橋が持ってきたんですが、それだけ現場のMDが熱意を持ち、「このネーミングでいきたい」と言ってきたことに何より胸打たれたというか(笑)。50代を超えた男性中心の役員たちの感覚が、ひょっとすると少しズレているのかもしれないと思いましたし、水素焙煎の名前のまま発売したほうが、逆に受容していただける確信を持てたという感じですね」と、振り返った阿久津社長。
発表会の最後には、「セブンカフェは年間で現在7億5,000万杯を超える販売があります。水素焙煎コーヒーの発売は、セブンカフェの新たなステージへの挑戦です。おいしさの追求を今後も続けながら、産地支援や持続可能な社会の実現も目指していく。今後のセブン-イレブンの変化にもぜひご期待ください」と、メッセージを送っていた。









