
ランボルギーニの新車販売台数の半数以上を占めるのが、ブランドの大黒柱であるSUVの「ウルス」。日本市場でもこれまでのガソリンエンジン仕様にかえて、新たにPHEV(プラグインハイブリット)の「ウルスSE」の導入がはじまっている。
【画像】プラグインハイブリットのランボルギーニ・ウルスSEを風光明媚な地で試す(写真10点)
ランボルギーニは、脱炭素の実現に向けて電動化を進めていく「コル・タウリ(Cor Tauri)」という戦略を打ち出している。
まず2024年末までにハイブリッドへと移行しラインアップのすべてを電動化、2025年初頭からCO2排出量50%削減を目指す。そして2026年には初のピュアEVの導入を予定する。ウルスSEはまさにその戦略に則ったものだ。ちなみにコル・タウリはラテン語で「雄牛の心臓」を意味し、おうし座の中で最も明るい星を指す言葉。電動化への未来を象徴するものだ。
試乗会は、サステイナブルなモデルであることを体感する舞台として、古来より緑豊かな大地と清らかな水に恵まれた地として知られる福井県で行われた。拠点は、料亭の本格懐石をよりカジュアルに楽しむことができる割烹店「開花亭sou-an」。店舗とインテリアの設計は建築家・隈研吾氏が手掛けており、緻密な幾何学的デザインはどこかランボルギーニのそれと相通じるものだ。
エクステリアは、空力性能を高めるためバンパーとフロントグリルを刷新。新しいフローティングボンネット、リアディフューザーなどを採用する。マトリックスLEDテクノロジーを採用したヘッドライトにはランボルギーニブランドの雄牛の尾にインスピレーションを得た新しいライトシグネチャーを導入している。リアまわりでは「Y」字型のテールランプを採用。リア・ディフューザーも刷新しガヤルドなどのスーパースポーツカーからインスパイアされたデザイン要素が盛り込まれている。
インテリアデザインは、「Feel Like a Pilot」というランボルギーニの哲学を体現したもの。ダッシュボード中央に配される大型ディスプレイとメーターディスプレイはともに12.3インチ。直感的に操作できる新しいバージョンのヒューマン マシンインターフェイス (HMI) を採用する。
目の前にあるメーターをのぞきこむと、右端にガソリン残量計、左端にバッテリー残量計、そして右下の走行モード表示がEVとなっており、これが電動化モデルであることを認識することになる。
EVモードで無音のまま開花亭sou-anを出発する。ルートは約1kmにわたって264本のフウが並ぶ一直線の道、あわらアメリカフウ並木道を経て世界三大奇勝のひとつとして知られ、日本の国指定天然記念物に選ばれている東尋坊を目指すものだった。
パワートレインは、4リッターV8ツインターボエンジンに1基の電動モーターを組み合わせたもの。エンジンは最高出力620PS、最大トルク800Nmを発揮。これに192PS/483Nmを発揮する電動モーターを組み合わせることで、システム最大出力は800PS、最大トルクは950Nmを発生する。0-100km/h加速はウルスSを0.1秒しのぐ3.4秒で、最高速度はウルスSより7km/h速い312km/hに到達する。
駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量は25.9kWh。ラゲッジルームの床と電子制御リアデファレンシャルでサンドイッチするように配置。駆動用のモーターを8速AT内に収め、EVモードでの航続距離は60km以上、最高速は130km/hに到達する。
ドライブモードは電動化ゆえに少々複雑で、赤いスタート/ストップボタンの左右にレバー(タンブーロ)を配置。左側は従来と同様の「ストラーダ」「スポーツ」「コルサ」「サッビア(砂漠)」「テッラ(オフロード)」「ネヴェ(雪)」とパフォーマンスの切り替えを行うもの。右のレバーでは「EV」「ハイブリッド」「パフォーマンス」「リチャージ」と駆動系の切り替えを行う。ハイブリッドモードではエンジンとモーターを併用しエネルギー効率を最大化。パフォーマンスモードはエンジンを主にモーターがサポートし走行性能を最大限に高める。リチャージモードではエンジンを使って発電し、バッテリーを最大80%まで充電できる。
市街地を抜けるといったん高速道路へと向かう。ドライブモードをスポーツに切り替えるとV8エンジンが始動し、排気音が高まる。これぞランボルギーニの瞬間だ。しかし、その速さよりも洗練された乗り心地が印象的だった。東尋坊へと向かう道中の少々路面のあれた一般道でもその印象は変わらない。エアサスペンションの恩恵もあり、23インチのピレリPゼロをしっかりと履きこなしている。そして大きなボディを意のままに止めることができるカーボンセラミックブレーキのタッチも素晴らしいものだった。
ウルスSEがすごいのは、内燃エンジンと電気モータ−を組み合わせることによって従来モデルよりCO2 排出量を 80%削減しながら、史上最高のトルクと出力を発揮している点だ。脱炭素とパフォーマンスの両立は、まさにこれからのスーパーカーの課題である。もしフル電動化をゴールとするならばPHEVはある意味で過渡期のモデルともいえるが、しかし、一方で内燃エンジンとEVの両面をもつ、1粒で2度おいしいモデルでもある。風光明媚な福井の道を走りながら、いまのうちにしっかりと味わっておきたいと思った。
文:藤野太一 写真:ランボルギーニ
Words: Taichi FUJINO Photography: Automobili Lamborghini