
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、マシューが1990年マツダMX-5に乗ってイギリスの『ラッド・ウッド』イベントに参加したときの模様をお届けする。
【画像】『ラッド・ウッド』イベントの様子と、当日のベストカーに選ばれたBMW 840Ci(写真5点)
この小さなMX-5が改めて教えてくれるのは、ありふれたただの移動にも喜びを見出せる、ということだ。この車に詳しければ、この初期のUK仕様のMk1モデルは、ロータス・エランを買わずとも味わえる、英国のスポーツカー体験の真髄に最も近い存在であることがわかるだろう。
昨年、ランズ・エンドからジョン・オ・グローツまでの記録挑戦の際に、UKマツダ社が所有するこの個体を初めて運転した。全4世代が100%持続可能な燃料で、1000マイルを完走したのだ。後期型の各MX-5を長年好んできた私だが、美しくオリジナルで低走行距離の初期型を初めて運転した時、その魅力に圧倒された。そして今回、この個体ともう少し時間を過ごすチャンスをもらった。ビスターで開催される、ハガティ主催の1980~90年代をテーマにした『ラッド・ウッド』イベントへ行く機会を頂けると聞き、すぐに飛びついた。
土曜の朝のドライブでは、屋根を開けてB道路を楽しむ爽快感を味わった後、A47道路をゆったり流すリラックスしたドライブも楽しめた。元気な115bhpの1.6リッターエンジンからは、もう少し大きな音が聞こえても良いと思うところだが、非常にクリアな音質だ。しかし、この車の本当の魅力は、その見事なバランスにあると思う。細くて比較的ソフトなタイヤでも十分なグリップがあり、アクセル操作で車の挙動を容易に操れる。路上では驚くほどコンパクトにも感じられる。それに、現代の電気自動車たちが近所のセインズベリーへ向かうときに出すより低い速度でも、かなりハードに運転しているような感覚を味わうことができる。
初めての『ラッド・ウッド』体験になったが、まさに私のようなミレニアル世代の好みのイベントだった。一般の来場者が押し寄せる前にMX-5を駐車しようと、早めに到着したのだが、様々なタイプの車が次々と現れる様子は圧巻だった。公式審査員として参加した私は、「Greed is Good(欲は善)」というテーマに最も忠実な車両をチェックした。
素晴らしい車とコスチュームが揃っていたが、審査員一同が完全に魅了されたのは青いBMW 840Ciで、「RADdest Car of the Show(最もラッドな車)」賞に選ばれた。父と娘もテーマにふさわしい装いだったが、車内には新車登録の週の頃にちなんだアイテムが所狭しと並んでいた。細部へのこだわりが素晴らしく、まさにこの日の主役だった。
その日、MX-5は会場にうまく溶け込み、一日を通してファンの方々と素敵な会話を楽しむことができた。個人的なハイライトとしては、オートザムAZ-1、ホンダ・シティターボ、そしてマトラ・ランチョが印象的だった。
普段の私は、コンバーチブルにあまり魅力を感じないことも多い。むしろ乗らないことの方が多いのだ。それでも、早朝にこの車をマツダの営業所に返しに行くドライブは、実に爽快だった。刺すように冷たく新鮮な空気、全開のヒーター、そして360度に広がる見事な日の出が相まって、久々に最高に心躍るドライブのひとつとなった。
文:Matthew Hayward