韓国において、QRコード決済のPayPayでそのまま支払いができるようになりました。9月30日からは本人確認済みのユーザーであれば、韓国でも日本と同様にPayPayを利用できます。対応するのは店頭に「Alipay+」が掲示された韓国内の約200万店で、例えば観光客に人気のソウル市にある明洞エリアの屋台のような場所でもPayPayを使って支払えます。
あらかじめ本人確認を行っているなら、特別な操作は必要ありません。韓国内でPayPayアプリを起動すると韓国での支払いモードになり、支払い時にQRコードを読み込んだり、QRコードを提示したりするなどして、日本と同様にPayPayを使うことが可能となっています。
日本と同じ感覚で韓国でも使えるPayPay
PayPayの海外利用は、今回の韓国が初めてのスタートです。中国Alipayとの提携により、決済ネットワークとしてAlipay+を採用したことで韓国での支払いができるようになりました。
日本でも、Alipay+を利用する海外のQRコード決済がPayPay加盟店で利用できるのですが、その逆に、PayPayが海外のAlipay+加盟店で決済が行えるというイメージです。詳細は以前の記事(https://news.mynavi.jp/article/20250917-3462831/)を参照してください。
韓国に到着したら当然ネットワークが必要です。ネットに接続した状態でPayPayアプリを起動すると、韓国モードになったことが表示され、利用規約に改めて同意することで利用を開始できます。PayPay残高、PayPayクレジット、PayPayポイントのいずれでも決済が可能なので、普段使っている決済方法がそのまま使えます。
支払い方は通常のPayPayと変わりません。画面上のコードを掲示して店員に読み取ってもらうかリーダーにかざす手法と、店頭にあるQRコードを読み取って金額を入力して支払いを行う、という2つの方法が使えます。日本と同様、コンビニエンスストアやスーパー、チェーン店のような大型店では店員が読み取るタイプで、コードを提示すればそのまま読み取ってもらえます。
個人店のような小規模店で、QRコードが店頭に提示されている場合はそれを読み取ります。「Alipay+」といったような支払い手段を告げると良さそうです。PayPayアプリには、現地語で「Alipay+で支払う」という文章が表示される機能があり、それを示してもいいでしょう。
QRコード読み取りの場合は店員に金額を見せて支払いを行います。もちろん、商品の値段を韓国ウォンで入力します。こうした作業は日本と同じで試した限りは店員も迷うことはないようでした。
09 明洞の屋台に掲示してあったQRコード。右側が支払い用のコードで、これを読み取ります。「NAMANE」というのは現地の決済事業者で、この一帯の屋台の加盟店開拓をしているアクワイアラのようです。ここにもPayPayのマークがあり、Alipayがこれにあわせてちゃんと準備していたようです
支払いが完了すると、結果が表示され、使用した円とウォンが表示されるので分かりやすいのがメリットです。使った金額が即座に判明して、残高の場合はそのまま引き落とされるので明確です。
いずれの場合もその場で円からウォンに両替されて決済が行われるため、事前に外貨に両替する手間はありません。チャージした残高もPayPayポイントもそのまま決済に使えます。
当日の為替レートにもとづきウォンと円の交換レートが決定し、それに海外事務手数料の3.85%が加えられた金額が使用されます。レートはアプリ上に表示されており、1ウォンが何円になるか事前に分かるため、そのまま商品の値段をかければ日本円が推測できます。
クレジットカードだとついついお土産を買いすぎてしまいますが、PayPayならば日本円を考えながら買い物ができるのが便利です。特にPayPay残高であれば、残高分までしか使えないので、使いすぎの防止にもなります。
ウォンと円の双方で支払い金額が表示されるのも便利です。いくら使ったかが分かりやすく、普段PayPayクレジットを使っている人でも、あらかじめ残高にチャージして韓国で利用すれば、より計画的な買い物ができそうだと感じました。
今回、コンビニエンスストアや観光客に人気の化粧品店であるOliveYoung、明洞のトッポギ屋台などでテストをしましたが、日本と同じ感覚で支払いができました。Alipay+対応店であれば使えるため、例えば今回は未検証ですが、済州島の公共交通機関であるバスでもPayPayで乗れるようになっているそうで、幅広い場所で使えるようです。
クレジットカードを持っていないので現金しか使えなかった若者、特に修学旅行生などもPayPayなら使えるため、現金を両替して持ち歩く必要がなくなって便利ですし、安全性も向上するでしょう。
チャージ方法も、日本と同様に銀行口座から残高にチャージしたり、クレジットカードを紐付けて支払ったり、いずれも可能でした。日本とほとんど同じ感覚で使えるのは大きな強みでしょう。
韓国はクレジットカード社会のため、多くの店でカードが利用でき、(観光客にとっては)一部現金の店が残っているという印象でしたが、その部分をうまくPayPayが置き換えているという形で、現金利用を減らしてくれそうで便利だと感じました。
観光客だけでなく店にもメリット
そんなPayPayですが、ユーザーだけでなく現地の店舗にとってもメリットがあるようです。今回取材で訪れた明洞のトッポギ屋台、化粧品店OliveYoungのいずれでも観光客のうち、2~3割ほどが日本人と話しており、大多数が中国人観光客ですが、それでも多くの日本人が利用しているようです。
興味深いのはトッポギ屋台の店主であるパク・チョンスさんの話で、同氏によるとこれまで韓国政府は道路上にある屋台形式の店に対して事業者登録を認めていなかったそうです。その場合、事業者としてクレジットカードなどのキャッシュレス決済が登録できなかったようで、韓国人同士であれば銀行アプリの送金機能や現金を使っていたそうです。
それに対して2024年初頭に、韓国政府が事業者登録を認めるようになったことでクレジットカードでの決済が受け付けられるようになりました。その後さらに、現地のアクワイアラが明洞一帯の屋台に対して加盟店開拓を行い、2024年10月には同店もAlipay+を導入したということです。
Alipay+対応の結果、中国人観光客のキャッシュレス決済利用が急激に伸びて、すでに6割ぐらいはQRコード決済を使っているそうです。
PayPayの対応によって、日本人のQRコード決済が増加することを期待しているとパク・チョンスさんは話します。それは、利用者の増加だけではなく、「現金を使わない」点がメリットだというのです。
そもそも韓国は9割を超えるキャッシュレス決済比率を誇り、現金をほとんど使わない国です。政府が税制を含めて強く推進したため、キャッシュレス決済が広まったことから、屋台としても税制上を含めて現金の方が面倒なのだそうです。
パク・チョンスさんは、「QRコード決済の支払いが現金よりありがたい」と強調。手間がかからないQRコードの方が圧倒的に助かるそうです。ちなみにクレジットカードも使えるのですが、店頭にカードリーダーは設置しておらず、言われたら機械を取り出すという仕組み上、手間がかかるようで、現金、クレジットカードよりもPayPayの方が屋台では好まれそうでした。
もう1つのOliveYoung。若者に人気の化粧品店で、複数の国の女性が店内に詰めかけており、日本人も多く来店するようです。店員のリ・ジョンハさんによれば、観光客のうち中国人が7~8割、日本人が2~3割とのことでした。客層は若者が圧倒的に多く、修学旅行など団体で来る傾向もあるそうです。
中国人が多いので支払い方法としてはQRコード決済が多く、クレジットカードもいますが、現金はほとんどないそうです。ただ、恐らく観光で余った現金を使うという人もいるのでしょう、そうした現金利用もあるようです。
日本の修学旅行生の場合、クレジットカードはまだ持てず、デビットカードやプリペイドカードの普及が進んでいないということもあってか、リ・ジョンハさんによればやはり現金払いが多いそうです。その点、PayPayは中高生でも持てるため、親が修学旅行用のお土産代として一定額をチャージしておけば、その枠内において韓国内で色々な買い物ができるので便利でしょう。
リ・ジョンハさんもPayPayの対応によってそうした若者のキャッシュレス利用が増えることに期待を寄せています。前述の屋台のように、韓国はキャッシュレス決済比率が高く現金の取り扱いが店としてもあまり歓迎されていない面もあるようです。リ・ジョンハさんは、「現金だとオペレーションミスや間違いが起きやすい」と指摘し、キャッシュレス決済の方が利便性は高いとしています。
もちろん、手持ち現金が足りなくて一部の商品が買えなかった、という人も今までいたそうで、そうしたことが起きにくいというのもメリットのようです。ちなみに、余った現金とPayPayを組み合わせて支払いもできるそうです。
OliveYoungでは、日本から来たという観光客にも話を伺いました。母と娘で来たという親子は、国内でもPayPayを頻繁に利用しており、日本と同様に使えたと話していました。両替した現金が残り少なかったこともあり、お土産の購入で諦めなくて済んで助かったとも答えてくれました。
もう一人取材を受けてくれた女性は、クレジットカードは持っているものの日本でもオンライン専用で普段はPayPayと現金を利用しているそうです。ただ、今回は本人確認を行っていなかったとのことで、残念ながら韓国で使うことができなかったとのこと。韓国旅行では両替した現金を使っていて、余った現金は日本に持ち帰って次回に持ち越しているそうです。こうしたことから、PayPayが韓国でも使えることには期待しているようでした。
他に韓国のスーパーで妙齢の女性二人にも話を伺いましたが、いずれも、PayPayは残高にチャージして使っているそうで、一定額を管理して使う「現金のような使い方」をしているのが印象的でした。
また、聞いてみると割り勘機能への期待も大きいようです。PayPayで支払いをした後、決済画面から「わりかん」を選ぶなどすれば、グループを作って金額を請求することができます。韓国で利用した金額も即時日本円の利用額が分かるので、それをそのまま分割請求できるので、友人同士の旅行などに役立ちそうです。
こうしたことから、「韓国ではほとんどの店でクレジットカードが使えるからPayPay対応は必要か」という声にも十分回答できそうです。クレジットカードを持てない人や使いすぎを心配する人にもデビットカードやプリペイドカードが普及していない点、PayPayを現金のような意識で利用している人が多い点をふまえると、「クレジットカードが使える店でもPayPayで支払う」人は一定数出てきそうです。
今後、現地では明洞の屋台での加盟店開拓をしていたアクワイアラが、さらに他の屋台などにも開拓を実施していく計画で、Alipay側による加盟店開拓を含めて、さらに利用可能個所を拡大していきたい考えです。実際、カードしか使えずAlipay+に対応していない店もよく見かけたので、このあたりは加盟店の拡大も期待したいところです。



























