(左から)大竹耕太郎、新井貴浩監督 、近本光司(写真・産経新聞社)

 今季、2年ぶりのリーグ優勝を決めた阪神タイガース。特に広島戦では19勝6敗と圧倒的な成績を残し、13もの貯金を作った。この圧勝劇の裏には、広島戦を得意としていた選手たちの存在がある。今回は、広島東洋カープの前に立ちはだかった6人の選手たちを取り上げる。(文・シモ/成績は9月25日終了時点)

村上頌樹

[caption id="attachment_214484" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの村上頌樹(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投左打

・身長/体重:175cm/83kg

・生年月日:1998年6月25日

・経歴:智弁学園高 - 東洋大

・ドラフト:2020年ドラフト5位(阪神)

 

 今季は24試合に登板して12勝4敗、防御率2.09の成績を挙げている村上頌樹。今季の広島戦の成績は、6試合に登板して4勝1敗、防御率2.09の数字である。

 

 同対戦のQS数(6イニング以上投げて自責点3以内に抑える時に記録される)は、5回を記録。QS率も83.3%と、高い確率で試合を作った。

 

 

 広島戦での被打率に目を向けると、.207と極めて低い数字をマークしている。

 

 今季、広島の本拠地・マツダスタジアムでの登板は3回あるが、敵地で圧倒的な成績を挙げていることも特筆すべきだ。3勝0敗、防御率0.83、QS率100%と無双している。

 

 思えば昨季9月27日・マツダスタジアムで行われた広島戦でのリリーフ登板の際、サヨナラ負けを喫して一人悔し涙を流していた村上。その姿には、胸を打つものがあった。

 

 今季の同スタジアムでの成績は、その時の悔しさを晴らさんばかりの投球内容である。5月30日の広島戦の7回裏に2者連続三振を取ったシーンは、まさにその姿が表れた気合いのこもった投球だった。

 

 今季の広島戦の成績は、昨季の苦い経験を糧にした結果とも言えるだろう。

伊原陵人

[caption id="attachment_209532" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの伊原陵人(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:左投左打

・身長/体重:170cm/77kg

・生年月日:2000年8月7日

・経歴:智弁学園高 - 大阪商業大 - NTT西日本

・ドラフト:2024年ドラフト1位(阪神)

 

 今季27試合の登板で、5勝7敗、1ホールド、防御率2.34の成績を挙げているルーキーの伊原陵人。広島戦は5試合に先発登板したが、QSは2回を記録。被打率は.189と押さえ込んだ。

 

 今季の初先発は、4月20日の広島戦だった。

 

 

 打者の手元で伸びる直球とスライダー、カットボールなどを織り交ぜてテンポよく投げ込み、5回4安打無失点。5つの三振を奪ってプロ初勝利を呼び込んだ。

 

 5月18日の広島戦では、6回を投げて4安打、4奪三振、1失点で勝利。広島のホームスチールにも動じることなく冷静に投げ込む姿は、ルーキーらしからぬ落ち着きのあるマウンドさばきだった。

 

 6月1日の広島戦にも登板し、高低を上手く使い分けながら、6回1/3を投げて3安打5奪三振をマーク。対広島戦3連勝を記録した。

 

 続く7月10日の広島戦では5回2/3を投げて3失点はしたものの、3安打6奪三振と試合を作っている。

 

 伊原の広島戦での成績は、6試合の登板で3勝1敗、防御率2.17。後半戦はやや疲れが見られるが、ルーキーながらも広島を苦しめた。

大竹耕太郎

[caption id="attachment_221516" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの大竹耕太郎(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:左投左打

・身長/体重:184cm/86kg

・生年月日:1995年6月29日

・経歴:済々黌高 - 早稲田大

・ドラフト;2017年育成選手ドラフト4位(ソフトバンク)

 

 今季ここまで15試合に登板して、9勝3敗、防御率2.60の成績を挙げている大竹耕太郎。今季、広島東洋カープを最も苦しめた一人だろう。

 

 今季の対広島戦は、7試合に登板して6勝1敗、防御率2.76。QSは4回を記録し、勝率は.857である。

 

 

 マツダスタジアムでの登板成績は、4試合に登板して3勝(1敗)、勝率.750。防御率4.09と数字を落としているものの、勝ち運に恵まれている。

 

 今季の大竹は下肢の張りで開幕に間に合わず、一軍初昇格は5月1日。そこから立て直しての9勝は立派である。

 

 対広島戦に目を向けると、8月12日に黒星をつけられるまで4連勝。黒星を挟んでまた2連勝と、今季も広島キラーぶりを発揮した。

 

 今季の対広島戦で印象に残った試合は、7月29日の甲子園の7回表、無死満塁の場面である。

 

 代打で登場した野間峻祥に対し、1ボール2ストライクから外角高めの直球でホームゲッツーを奪った後に、感情をあらわにする大竹の姿がそこにはあった。

 

 そして、後続も冷静に左飛に打ち取ると、ここでも感情をあらわに。その姿は、心に響くものがあった。冷静さだけでなく、熱いものも秘めている大竹の特徴が出たシーンである。

 

 今季の6勝で、大竹の対広島戦の通算成績は15勝2敗。来季以降、大竹の対広島戦の勝ち星がどこまで伸びるのか見ものだ。

近本光司

[caption id="attachment_213743" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの近本光司(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:左投左打

・身長/体重:171cm/70kg

・生年月日:1994年11月9日

・経歴:社高 - 関西学院大 - 大阪ガス

・ドラフト:2018年ドラフト1位(阪神)

 

 今季136試合に出場し、打率.277、3本塁打、34打点、32盗塁をマークしている近本光司。特に広島戦では、高打率を残した。

 

 今季ここまで154安打を放っているが、対広島戦の成績は、打率.374(99打数37安打)、6打点。OPSは.892をマークした。

 

 

 敵地マツダスタジアムでも、打率.365(52打数19安打)、4打点、OPS.929と高い成績を挙げている。

 

 今季は3月28日・マツダスタジアムでの広島戦で開幕戦を迎えたが、この試合で近本は4打数3安打と、幸先の良いスタートを切った。

 

 5月17日の広島戦では5打数5安打の固め打ち。第1打席で右前安打、第2打席で左前安打、第3・第4打席で中前安打、第5打席でタイムリーとなる左前安打と、巧みなバットコントロールで全方向に打ち分けた。

 

 さらに7月9日の広島戦では、5打数4安打。今季の広島戦での近本は、固め打ちをする印象が強い。

 

 また、今季の広島戦25試合でノーヒットだった試合が4試合しかないのも、特筆すべき点だ。対広島戦の打率.374は、コツコツと安打を積み重ねた結果と言えよう。

 

 来季の広島戦の近本の数字にも、注目したい。

森下翔太

[caption id="attachment_216840" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの森下翔太(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:右投右打

・身長/体重:182cm/93kg

・生年月日:2000年8月14日

・経歴:東海大相模高 - 中央大

・ドラフト:2022年ドラフト1位(阪神)

 

 今季ここまで139試合に出場して、打率.278、23本塁打、89打点と不動の3番打者に定着した森下翔太。広島戦でも、今季は高い数字を残した。

 

 今季の広島戦では、打率.327(98打数32安打)、3本塁打、15打点。OPSは実に.853をマークしており、得点圏打率も.355と高い。

 

 

 マツダスタジアムでの成績に目を向けると、打率.352(58打数19安打)、3本塁打、11打点。OPSは、1.008(出塁率.397、長打率.611)にはね上がる。

 

 また、得点圏打率も.533をマークし、マツダスタジアムを非常に得意としていることがわかる。

 

 今季、森下が放ったマツダスタジアムでの3本は、いずれも右翼に引っ張ったホームラン。特に、9月18日の3回表に放った22号本塁打は強烈だった。

 

 広島の先発・髙太一が投じた145キロのストレートを狙い澄まし、バットが当った瞬間に「パチン!」と大きな音を立て、左翼席上段に吸い込まれていった。

 

 この本塁打で森下は、プロ3年目の球団生え抜きの右打者として、初の200打点超えを記録。森下の進化を感じられる一発だった。

 

 来季は相手の攻め方も変わってくるだろうが、高い技術力でさらなる進化を遂げる森下が見られることだろう。

及川雅貴

[caption id="attachment_214483" align="alignnone" width="530"] 阪神タイガースの及川雅貴(写真:産経新聞社)[/caption]

・投打:左投左打

・身長/体重:184cm/84kg

・生年月日:2001年4月18日

・経歴:横浜高

・ドラフト:2019年ドラフト3位(阪神)

 

 今季の及川雅貴は、65試合の登板で51ホールドポイント(6勝3敗1セーブ、45ホールド)、防御率0.89。抜群の安定感を見せ、キャリアハイを更新中である。

 

 対広島戦の成績に限ると、12試合の登板で9ホールドポイント(2勝0敗、7ホールド)防御率0.00で、1点も取られていない。10回2/3を投げて12奪三振を奪い、奪三振率は10.13である。

 

 

 印象的だったのは、今季9月18日の広島戦。4-2でリードした2死満塁のシーンだ。

 

 代打で登場した秋山翔吾に対し、初球スライダー、3球目カットボールで追い込んだあとの1ボール2ストライクからの4球目。149キロの力強い直球を投げ込んで見逃し三振に取り、わずか4球の火消しに成功した。

 

 コンタクト能力の高い秋山に、1球もスイングをさせなかったのは圧巻である。この試合で及川は、セ・リーグ歴代2位タイに並ぶ15試合連続ホールドも記録した。

 

 今季の及川は、広島戦での被打率が.088。秋山との対戦で自信を持って投げ込む姿は、まさに今季の広島戦を象徴するシーンだろう。

 

 

【了】