フジテレビ系ドラマ『愛の、がっこう。』(毎週木曜22:00~ ※FODでこれまでの全話配信)の第10話が、11日に放送された。
今作は、まっすぐで不器用なあまり過去に恋愛で大きな過ちをおかしてしまった高校教師の愛実(木村文乃)と、複雑な家庭環境から義務教育すらまともに受けられなかった読み書きの苦手なホストのカヲル(ラウール)が出会い、お互いが本当の“愛”を知っていくというラブストーリー。
最終回前の今回、愛実は高校教師を辞め、カヲルもホストではない新たな職を探し始めるなど、それぞれに“大きな変化”が描かれたが、その大きさと比例するように大きな感動も生まれた回だった。
いつもの“マイナスな感情”を感じない
連続ドラマにおいて、その終盤に“大きな変化”が訪れるのは当然だろう。なぜなら最終回の前であれば、ラストに視聴者をつなぎとめるための“引き”を作ることは必須であり、肝心の最終回も物語の収束に向かってキャラクターを動かさなければ“終われない”からだ。
従って、最終回付近で悪人が急に観念してみたり、善人になってしまうこともしばしばだ。むしろ視聴者にとっては「最終回だから…」と飲み込んでしまうことのほうが多いだろう。このように、最終回前の“大きな変化”には、物語を楽めず、諦めのようなマイナスの感情を伴うことが往々にしてあるのだ。
では、今作の最終回前はどうだっただろうか。前回の川原(中島歩)の大きな変化に続いて、今回は愛実が退職に追い込まれ、カヲルこと大雅もホストではない仕事に就くため奮闘するなど、最終回前に相応しい“大きな変化”が描かれた。しかしながら、いつもの“マイナス”は一切感じなかったはずだ。
それは、愛実の退職も大雅の新たな進路も、2人の関係を“破滅”に追い込むものではなかったからだ。清廉な高校教師と軽薄なホストが恋に落ちるという今作の導入では、その結末の選択肢の中に“破滅”は確実にあった。だからこそ、そのわかりきった“破滅”に向かって2人の大きな変化が当てはまってしまえば、最終回前の“マイナス”に陥っていたに違いない。
だが今回は、最終回という物語の都合に合わせたものではなく、それぞれの心情に寄り添った自然なものであり、なおかつ希望に満ちているものとして描かれた。それが新鮮であり、感動的でもあった。
しかも、愛実側を客観的に追ってみると、ホストと恋に落ち、学校や親からの反対を押し切って突き進むという姿は“哀れ”に見えてもおかしくない。けれど、決して哀れではなく、突き進められるほどの愛がどれほど尊いものか、それを誰がとがめられるのか、改めて教えてくれるようだった。だからこそ、大きな感動をもたらしたのだ。
愛実と大雅の関係を“認めた!”…希望が見えたラスト
それだけでなく、“大きな変化”から“大きな感動”を生んだと言えば、やはり今回のラスト、愛実の父・誠治(酒向芳)の描写だろう。
誠治のこれまでの描かれ方は、愛実の自立を阻害するような愛の向け方であり、自身の職場での境遇と相まって暴走寸前にまで昂(たかぶ)っていた。そしてそれこそが、2人の愛を最後の最後で邪魔をする――そんな展開が訪れるのだろうと大方想像はできていたし、それがクライマックスに用意されていたとしても歓迎できてしまうほど、誠治というキャラクターは秀逸だった。
にもかかわらず、誠治は愛実のために“大きな変化”を見せた。愛実と大雅の関係を最後の最後に“認めた!”のだ。それはこれまでの誠治の描写を知っているからこそ、変化が大きいからこその、さらに大きな感動への着地であり、そして何より、このドラマが終わりに近づいているから…という外側の理由ではなく、誠治という人物をこれまで丁寧に丁寧に深く描いてきたからこそ、納得せざるを得ない。だからこその、大きな感動だったのだ。
「どんなラストを迎えるのか想像つかない」とはよく言うが、今作のそれは第10話を迎えるまで“不穏”をまとっていた。だが、今回のあのラストの描かれ方によって、予想することをあえて避けていたといっていい“希望”も見えてきた。本当に一体どんなラストを迎えるのだろうか。






