サッカー元日本代表の小野伸二氏がこのほど、東京・千代田区の外濠公園総合グラウンドで行われたサッカー教室「青山メインランドpresents DREAMS FOR CHILDEWN 2025 in CHIYODA」に登場した。

  • 小野伸二氏

    小野伸二氏

セルジオ越後氏に教えてもらった記憶

小野伸二氏、原一樹氏、小野正朋氏というプロ経験者が講師を務めるこのサッカー教室は、中学受験という孤独な闘いに臨む割合が高い千代田区の子どもたちに、スポーツを通して協力することの楽しさや、成功の感動の喜びを共有してもらうことを目的に、昨年初開催。小野伸二氏は「協調性というものは、世の中に出ると非常に大事になってくると思うので、初めて会う人たちとのコミュニケーションの仕方を含めて、子どもたちに学びがあれば、僕らとしてもうれしいです」と語る。

ともに講師を務め、清水エスパレス時代は小野伸二氏氏とチームメイトだった原一樹氏は「伸二さんは現役時代から人への感謝というをすごく示してくれていたので、人として素晴らしいところが多いんです。伸二さんのサッカーの上手いところは、昔の動画で見られると思うのですが、人間性はやっぱり触れ合わないと分からないと思うので、こういうサッカー教室で感じてほしいと思います」と期待を述べた。

子どもたちに向けたサッカー教室は、全国を回り年間40回以上行っているという小野伸二氏。そのきっかけは、自身が幼少期に参加したセルジオ越後氏のサッカー教室だった。

「当時はセルジオ越後さんのことをよく知らなかったんですけど、そこで教えてもらったことがいつまで経っても残っているんです。なので、今の子どもたちに、そういう影響を与えられる環境を作りたいと思いながらやっています。子どもたちは、僕の昔の現役時代をそんなに知ってるわけじゃないと思うので、後々“あれは小野伸二だったんだ”と思ってくれるくらいでいいんです」(小野伸二氏)

子どもたちと触れ合うことで、刺激を受ける機会にもなるという小野伸二氏。「楽しんでいる姿を見ると、自分が小さかった頃を思い出します。“もっともっと努力して、サッカーがうまくなりたい”と思っていたことを気づかせてくれるんです。そんな彼らのために、僕たちには目の前で良いものを見せる責任があると思っています」と気を引き締めるのと同時に、今回のサッカー教室では子どもたちと一緒に全力で楽しみ、笑顔を見せながらプレーしている姿が印象的だった。

  • (左から)原一樹氏、小野伸二氏、小野正朋氏

    (左から)原一樹氏、小野伸二氏、小野正朋氏

将来的にプロ選手の指導者は…「なくはないと思います」

現役引退後は、こうしたサッカー教室が活動の中心となっているが、今後の展望を聞くと、「昔から長期にわたる目標は決めていないので、目の前に来る一つ一つを100%こなす以外にないですね。先の1年のスケジュールは大体決まっているので、それに全力を尽くして、終わった後また次の目標が生まれると思うので、毎回いいものを作って、足りなかったものを次にアップデートしていく、その繰り返しかなと思います」と回答。

現在は北海道コンサドーレ札幌のアンバサダーを務めているが、将来的にプロ選手の指導者という立場に就くことについては、「なくはないと思いますが、現時点でそこは強く思っていないですね」とのことだ。

今回、小野伸二氏らにオファーした千代田区少年サッカークラブ「FC千代田」の中村圭伸代表理事は「やっぱり誰よりも上手い人というのを考えた時に浮かんだのが、小野伸二さんでした。サッカーを楽しんでいる姿から、サッカーが楽しいんだという思いを伝えたいと思ったんです。千代田区はスポーツ不毛の地と言われてきたのですが、サッカーは少しずつ普及してきたので、次は本物の技術を生で見せたいという思いでお声がけして、賛同してもらいました」と経緯を説明。

昨年初開催で、子どもたちや保護者からの好評を受け、今年は地元企業の青山メインランドが協賛に入り、水分補給など熱中症対策も強化した上で、8月に開催。同社の西原広大執行役員広報部長兼人事部長は「“あなたの大切なものを大切にしたい”というコーポレートメッセージを掲げる中で、参加者様、ご関係者皆さんが大切なものを見つけるたくさんの挑戦を応援させていただきたく協賛させていただきました」と話している。