三谷幸喜氏が、25年ぶりに民放GP帯で連ドラ脚本を手がけるフジテレビ系ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(毎週水曜22:00~ ※初回30分拡大)が、10月1日にスタートすることが2日、発表された。菅田将暉の主演で、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波が共演する。

  • (左から)神木隆之介、菅田将暉、三谷幸喜、二階堂ふみ、浜辺美波

    (左から)神木隆之介、菅田将暉、三谷幸喜、二階堂ふみ、浜辺美波

このドラマは、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷氏の半自伝的要素を含んだオリジナルストーリー。

1984年といえば経済の安定成長期からバブル経済期への移行期にあたる時代。数年後、日本は未曽有の好景気に溺れていく。「明日はもっと良くなる」と信じてやまず、大人たちは夜な夜な繁華街で羽振りよくお金をばらまいた。流行の最先端をいく渋谷は若者文化の中心地として活気づき、1973年に開業された「渋谷PARCO」や1979年にオープンした「SHIBUYA109」はカルチャーの発信地として多くの若者でにぎわった。手にスマホはなく、人々はいつも前を見ていた。

中森明菜の「十戒」、郷ひろみの「2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-」、チェッカーズの「ギザギザハートの子守唄」といったヒットソングが生まれ、映画館では『ゴーストバスターズ』や『プロジェクトA』が公開。メディアの中心はテレビで、『オレたちひょうきん族』(81~89年、フジテレビ系)、『ザ・ベストテン』(78~89年、TBS系)、『笑っていいとも!』(82~14年、フジテレビ系)などがお茶の間をにぎわした。

希望に満ち、好景気に浮き足立つ世相の一方で、渋谷の片隅にはまだ何者でもない若者たちの苦悩と挫折、時に恋模様もあった。栄光を追いかける者、恋に破れる者、迷惑で厄介な者、街を飛び出したい者…。一癖も二癖もあるがゆえ、不器用で生き方ベタ。端から見たら有象無象、でも本人たちは至って真面目で一生懸命。そんな“人間くさい”人たちが、目と目を合わせ、心と心を通わせ、時に激しく衝突しながらもエネルギッシュに生きた「1984年」という時代を、三谷ワールド全開で笑いと涙を交えた群像劇で描いていく。

三谷氏と『鎌倉殿の13人』以来、3年ぶり2度目のタッグとなる菅田が演じる主人公は、成功を夢見る演劇青年・久部三成。夢はある。だが、現実は甘くない。でも、決して諦めない-。熱気が立ち込める昭和後期の渋谷を舞台に、まだ何者でもない若者のくすぶり、情熱、苦悩、そして恋を、エネルギッシュに表現する。

二階堂はミステリアスなダンサー・倖田リカを、神木は“三谷青年”をモチーフにした新人の放送作家・蓬莱省吾を、浜辺は渋谷にひっそりとたたずむ八分神社の巫女・江頭樹里を演じる。渋谷の喧噪(けんそう)に置かれた4人の男女が、夢を見たり、友情を育んだり、恋心に揺れたりしながら、無情にも時は静かに流れていく。3人はいずれも、三谷脚本作品に初参加となる。

メガホンをとるのは『コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』シリーズ(08年ほか、フジテレビ系)をはじめ、『リッチマン、プアウーマン』(12年、フジテレビ系)、『ブラックペアン シーズン2』(24年、TBS系)など数々のヒット作品を手がけてきた西浦正記氏。プロデューサーは『監察医 朝顔』シリーズ(19年ほか、フジテレビ系)、『PICU 小児集中治療室』シリーズ(22年ほか、フジテレビ系)などの金城綾香氏と、『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(20年、フジテレビ系)、『新宿野戦病院』(24年、フジテレビ系)などの野田悠介氏が務める。

コメントは、以下の通り。

■三谷幸喜氏

「これといった理由もなく、民放の連続ドラマから離れてずいぶん月日が流れました。そんな僕と仕事がしたいと言ってくれた勇敢な若手プロデューサーさんとの出会いがあり、この度25年ぶりに、フジテレビのゴールデン・プライムタイムに帰って参りました。

プレッシャーはたいして感じておりません。悩んだところで、自分に書けるものは高が知れていますから。

書きたいものを書く。描けるものを描く。僕より下の世代の力のある脚本家さんが沢山いる中で、自分にしか書けないものって何だろう。

そもそも今の若者の生態を描くなんて僕には無理な話。辿り着いたのが、自分の青春時代を描くということ。それなら僕以上に上手く書ける人はいないはず。当たり前ですが。

1984年。当時僕は駆け出しの放送作家。バラエティ番組の構成をしながら、芸人さんのコントの台本を書いていました。

あの頃、自分には永遠の未来があるように思っていた。人生には無数の選択肢があると信じていたし、溢れるほどの希望に満ちていた。どうしてあそこまで前向きでいられたのだろう。

それが若さだと言われればそうかもしれない。でもそれだけではない。

あの頃は僕だけではなく、時代が、この国そのものが、パワーと明るさに充ち満ちていた。みんなで、足並みを揃えて坂を登っていくそんな空気が、80年代の日本には確実にあった。

あの時代そのものを描いてみようと思いました。誰もが夢に向かってがむしゃらに生きていたあの時代を。

そんなドラマを書くことが出来たら、どんなにステキだろうか。どこまでも不安定な今の時代、不安を抱えて生きる人々へのエールや励ましになるのではないか、そんな気がしたんです。

と、大風呂敷を広げてみましたが、実際出来上がった台本は、限定された場所と時間と人物による、かなりこじんまりした感じになっています。皆さん、どうかびっくりしないで下さい。結局僕が書くとそうなってしまうんですね。

つまりはどこを取っても、僕にしか書けないドラマだということ。

面白さは保証します。」

■菅田将暉

「三谷幸喜脚本。
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』
舞台は、80年代の渋谷。
蜷川幸雄に憧れた演出家、クベを演じます。
演者として、また一つ大きな試練を三谷さんより頂きました。震え上がっています。

演出家の役だからか、お芝居との向き合い方も新鮮な毎日でした。鼓舞されているような、怒られているような。
ただ間違いなく言えることは、みんなのお芝居を見ていて、とても楽しかった。その一点に、演者としてご褒美をもらったような気持ちになりました。

物語の中心には、常に演劇があります。
作品と人の周りには、良くも悪くもアツい炎が沢山あります。その危うい情熱は、他人にとって光か闇か、はたまた身を焦がすだけなのか。
今、その情熱は、まだ存在しているのか。そもそも求められているのか。
僕はそんな絶滅危惧種のようなドラマに身を委ねられて、幸せです。

この物語は、喜劇なのか、悲劇なのか。
ぜひ、お楽しみに。」

■二階堂ふみ

「台本をめくるたびに、三谷さんが紡ぐ物語にワクワクしました。三谷さんの作品は、この世界に憧れを持ったきっかけでもあります。念願の現場に参加できたこと、座長・菅田くんと久しぶりに現場で再会できたこと、面白い先輩の皆様とご一緒できたこと、何から何まで楽しく、幸せな現場でした。放送をどうかお楽しみに!!」

■神木隆之介

「蓬莱省吾役をやらせていただきました。神木隆之介です。三谷さんが描く物語の中で生きることが出来てこの上なく幸せです。そして今まで共演させていただいた事のある皆様とまたご一緒することが出来て、これもまたこの上なく幸せです。幸せを感じながらいっぱいお勉強させていただきました。チーム一丸となり精一杯頑張りましたので、もしよかったら見て欲しいです。よろしくお願いいたします」

■浜辺美波

「江頭樹里役を務めさせていただきました浜辺美波です。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』、なんてわくわくさせてくれるタイトルなんだろうと感激したことを覚えています。脚本を読んでみてもその気持ちは続き、物語はもちろん、主人公を中心とした個性豊かな登場人物たちが果てしなく魅力的でした。正直なところ、どんなドラマとして完成しているのか出演させていただいていても想像ができません。皆さんにもそんな気持ちを同じように体験していただける作品になっているのではと思います。ぜひ放送をお見逃しなく。出演させていただき大変光栄でした」

■演出・西浦正記氏

「パワーのぶつかり合い!今回のドラマはコレに終始した。脚本のパワー、役者のパワー、スタッフのパワー全てが強力。しかし、ぶつかり合いは火花では無く、大きく鮮やかな花火を上げていました。毎週そのパワーをお楽しみに」

■プロデュース・金城綾香氏(フジテレビ第1スタジオ)

「三谷さんが約25年振りに描かれるフジテレビ連続ドラマであり、菅田さん・二階堂さん・神木さん・浜辺さんという日本を代表する素晴らしい俳優たちが出演する、このような作品のプロデュースを担当するなんて、自分にとって畏れ多いことでした。無事今日の日を迎えられたのも、この作品に関わって下さった全ての皆様のおかげです。この場を借りて、心より感謝申し上げます。

私は1987年生まれです。菅田さんをはじめとする俳優部の半数は“1984年”を知りません。私たち、1984年以降に生まれた人間にしてみれば、当時の「当たり前」は信じられないことばかりで、おとぎ話の世界のようでした。セットをご覧になった三谷さんや当時を知っているスタッフたちは、口をそろえて“懐かしい”と言ってくださいました。“タイムスリップしてきたようだ”と。

嘘みたいだけど、嘘じゃない。そんなドラマになっていると思います。

この世界の中で、25名ほどがずっと生きています。ある1つの坂道の街に住んでいる人全員の人生が、同時に描かれていきます。些細なことでけんかしたり、気まずくなったり。仲直りしたり、愛しあったり。みんなどこかしらに欠損があって、完璧な人は登場しないし、物語も上手く進んでいくようで、そうではなくなったり。エンターテイメントに魅了された人々が集まる、刹那的に凝縮された力のようなものが描かれたドラマです。

三谷さんが、登場人物たちに与えた舞台は、時に愛情にあふれ、時に残酷でもあります。その悲喜交々(こもごも)を、ぜひ楽しみにご覧いただきたいです。

西浦監督が力強い映像にしてくださいました。1984年当時、西浦監督は高校生だったそうで、当時の大人への憧れも映像に乗せて下さったように思います。

『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』。 長いタイトルです。シンプルなものが好まれる令和の時代に、とっても異色なドラマだと思いますが、ぜひ全ての世代の方に楽しんでいただきたいです」

【編集部MEMO】
三谷幸喜氏が民放GP帯連ドラの脚本を務めるのは、役所広司主演の『合い言葉は勇気』(2000年、フジテレビ系)以来。今回、神木隆之介は、三谷氏をモチーフにした役を演じるが、三谷氏は今年1月、NHK『あさイチ』のインスタライブでのアフタートークで、「ご自身ののドラマを作るとしたら、三谷さん役はどなたに依頼しますか?」という質問に対し、神木の名前を答えていた。

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