大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で主人公・蔦屋重三郎(横浜流星)の妻・ていを演じている橋本愛。大河ドラマで主人公の妻を演じるのは3度目となり、オファーを受けた時は、喜びとともに不安な気持ちもあったという。橋本にインタビューし、本作出演の思いや役作りなどについて話を聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』てい役の橋本愛

    大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』てい役の橋本愛

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。脚本は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる森下佳子氏が手掛けている。

橋本の大河ドラマへの出演は、『西郷どん』(2018)、『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019)、『青天を衝け』(2021)に続き4度目。長い期間かけて収録する大河ドラマだからこそ、役への思い入れが強くなるという。

「役柄に対する愛情が段違いなんです。今まで演じた役がどれも大好きで、いまだにその魂が残っていると日常生活で感じるぐらい強く刻まれていて。収録は大変ですが、長い作品を集中して演じられることは私自身とても好きですし、ありがたいなと思っています」

しかも、『いだてん』を除き、どれも主人公の妻という重要な役どころを任されており、今回で3度目となる。

「またご縁があるのがすごくうれしかったです。一方で、主人公の妻という役柄が重なっているので、飽きられないかなとか、否定的な気持ちを抱く方もいるだろうなと思ったので、全く違う人物に見えるように意識して演じたいと思いましたし、主人公の妻はこれで最後だと思うくらいの気合で演じようと思いました」

否定的な声も覚悟していたものの、実際に登場してから視聴者からの好意的な反響を見て「本当に安心しました」と笑顔を見せる。

「森下さんの脚本の妙も相まって、おていさんを愛すべき人として描いてくださったのがすごくうれしかったですし、それに対して誠実に演じたことが視聴者の皆さんにも伝わったというのがすごくうれしかったです」

ていのことも応援してくれている視聴者の声に喜び

特にうれしかった反響を尋ねると、「たくさんありますが」と前置きした上で、「おていさんよかったね」という言葉を挙げた。

「おていさんのそれまでの人生は描かれていなくて、和尚さんとの会話で全部人生を明らかにしないといけなかったので、すべてをかけるぐらいの気持ちで演じましたが、それが伝わるかなという不安がありました。でも、視聴者の方が、『おていさんかわいそう』『おていさん報われてほしい』と、まるで今までの人生を共に見てきてくれたかのように反応してくださって。蔦重さんのことももちろんですが、おていさんのことも皆さん応援してくださって、2人が心で結ばれた時に『おていさんよかったね』と言ってくださったことがすごくうれしかったです」

また、読書好きで知られている橋本だからこそ、本を愛する蔦重とていに非常にシンパシーを感じているという。

「蔦重さんの『書を持って世を耕す』という信念もそうですし、ていさんも本で人々の人生を豊かにするんだと。それは私自身が実感を伴って大切にしていることで、私もエンターテインメントによって人生を豊かにしてもらった恩があり、その恩返しをしたいという思いもあります。本もドラマも映画も社会を変える力があると心から思っているので、力を雑に扱ってはいけないと覚悟を持っていつも取り組んでいるので、ていさんの気持ちと共鳴しているところはあると思います」

その一方で、自身とていの性格のギャップもたくさんあると言い、「だからこそ面白い」と楽しんでいる。

「私は基本的にずっと大笑いしているタイプの人間なので、笑わないって難しいなと思いますし、私も真面目だけれど堅さはなく、いつもほどよい緩さや柔らかさを心がけているので、ギャップはいつも感じています。ていさんならどうするかなというのが自分の中にあまりないからこそクリエイティブが試され、こういうことをしてみようかなと発想する時間も楽しいです」