俳優の横浜流星が主演を務める大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ ※きょう22日は19:14~ ほか)で松前家第八代当主・松前道廣を演じているえなりかずきにインタビュー。田沼意次役の渡辺謙、一橋治済役の生田斗真、大文字屋市兵衛役の伊藤淳史との共演について話を聞いた。
江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。えなりが演じる松前道廣は、自由奔放で非道な人物で、「北辺に巣食う鬼」と恐れられている。御三卿の一橋治済(生田斗真)などとも親交があり、蝦夷の上知を進めようとする田沼意次(渡辺謙)に対して、政治的な駆け引きを実行していく。
6月1日に放送された第21回では、酒宴の余興として、ミスをした家臣の妻を桜の木に縛り付けて頭上の的を狙って火縄銃を発砲。妻は泣き叫び、夫は許しを請い、2人とも失神してしまった。恐怖の遊びに、SNSでは「サイコえなり」「えなりかずき、改め えなりかず鬼。」「悪役ハマるな~~」「えなりかずきが怖すぎた」「サイコパスすぎる」などと大きな話題を呼んだ。
そのシーンに参加していた田沼意次役の渡辺から「ベストキャスティング」と褒められたいうえなりだが、渡辺との共演シーンの多い三浦庄司役の原田泰造らを経由して聞いた渡辺の言葉にさらに喜んだという。
「くりぃむしちゅーの上田(晋也)さんとゴルフに行かせてもらった時に、原田泰造さんが謙さんから『えなりの殿様怖いぞ』と言われたらしいと伺い、直接いただく褒め言葉もうれしいですが、間接的な褒め言葉って3倍ぐらいうれしいんです。自分の前で言ってないということは本当なのかもしれないという気持ちがあるので、本当にうれしかったです」
渡辺謙&生田斗真との共演シーンを回顧「今思い出しても幸せな瞬間」
渡辺や一橋治済役の生田と共演シーンでは、藩主としての立場を意識して「俺が一番だという感覚」で演じたという。
「官位も田沼の方が上ですが、俺が上だという気持ちで接しないといけない。気後れしてしまいそうなところをぐっと抑えて演じないといけなかったのは大変でした。渡辺謙さんの目をリアルにいただくとゾクっとしますが、ゾクっとせずニコニコして見ていないといけないので」
渡辺と生田との共演から刺激も受けたようで、「渡辺謙さんの作る空気感は勉強になりました。また、生田さんの撮影に入る前の助走が一橋様の雰囲気で作られていて、それぞれのアプローチが違って。誰も声がかけにくくなる空気感がふっと作られる瞬間があって、その感じが面白いです」と語る。
現場は緊張感があったと言い、「カメラも贅沢に何台も使われていて、何回もいろんなアングルから撮影して、いい画を撮るぞという勝負の感じ」と説明。「美術さんの力で本当に江戸時代にいるかのような気持ちになって、その世界観に入る中で、渡辺謙さん、生田斗真さんという名前が自分の中で消える瞬間もあったような気がして、自分の役者人生の宝物だなと。今思い出しても幸せな瞬間だなと思います」としみじみと話した。
伊藤淳史と33年ぶり共演「うれしかった」 近況を語り合い、ゴルフも
22日に放送された第24回では、弟・松前廣年役のひょうろくに銃を向けたり、宴会で抜荷について話すといったシーンが描かれたが、えなりは謀略の図るシーンにとてもやりがいを感じたという。
「徐々に政治の執り方と現実が違ってきて、少し焦りが見え始めているその中で、大文字屋に抜荷をけしかけるシーンは演じていて楽しかったです。時代劇が好きだったこともあって、謀略のシーンは楽しんですよね。うまく幕府を出し抜いたらお前も俺も大儲けできるぞというシーンなので、ぜひ見ていただきたいなと思いました」
大文字屋市兵衛役の伊藤淳史とは、33年ぶりの共演となった。
「この33年間どのように生きていました?」と近況を語り合って連絡先を交換し、「この間、初めてゴルフをご一緒させていただきました」と親交を深めている様子。「お会いするのは20年ぶりぐらい。20歳の頃にバラエティでご一緒させてもらって。お芝居でご一緒させてもらうのは33年ぶりで、うれしかったです」と再会を喜んでいた。
1984年生まれ。3歳でデビュー。4歳の時『ホットドッグ』でドラマデビュー。その後、ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』に出演。主な出演作は、ドラマ『ブギウギ』をはじめ、『オヤジ・ロック』(藤子・F・不二雄SF短編ドラマ シーズン3)、『アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~』、『Qrosの女』など。バラエティ『くりぃむクイズ ミラクル9』、『相葉◎×部』など。
(C)NHK