笹川スポーツ財団は6月16日、スポーツライフに関する調査結果を発表した。調査は2024年6月7日~7月7日、満18歳以上の男女3,000人を対象に行われた。
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率、全体・性別
全体の年1回以上の実施率は15.9%であった。2000年(7.3%)から2020年(17.6%)までは20年間にわたって右肩上がりに上昇した。しかし2022年(15.9%)は減少に転じて2018年ごろの水準まで落ち込み、2024年も横ばいとなっている。
性別にみると、総じて女性よりも男性のほうが高いものの2020年までは男女ともに上昇していた。特に女性は2000年の4.4%と比べて約3.5倍の16.2%まで増加した。2024年は男性の増加(前回比0.4ポイント増[18.9%→19.3%])に対して女性は減少(前回比0.5ポイント減[12.9%→12.4%])し、いずれも僅差ではあるものの男女で異なる傾向がみられた。2000年と2024年で比較すると全体で8.6ポイント増(7.3%→15.9%)となり、この四半世紀の間に性別を問わず広く浸透が進んだものとみられる。
年1回以上の推計実施人口を算出すると、2024年では約1,629万人が筋力トレーニングを実施しているとみられ、2000年の約726万人から2倍以上増加した。男性の推計実施人口は約955万人、女性では約657万人となり、2000年と比較すると男性で約2倍、女性では約3倍に増加した。
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率、年代別
年代別に年1回以上の実施率をみると、2018年までは全ての年代で実施率は上昇傾向にあったが、2020年以降は年代によって推移に違いがみられる。2022年は60歳代を除くすべての年代で減少したが、2024年は30歳代(17.6%→19.6%)、40歳代(15.8%→17.0%)、70歳以上(10.7%→12.4%)が増加したのに対し、20歳代(23.3%→22.9%)、50歳代(16.8%→15.5%)、そして2022年に唯一増加した60歳代(13.3%→9.9%)も減少した。これにより70歳以上が60歳代の実施率を2.5ポイント上回る結果となった。
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率、性別×年代別
性・年代別で2022年と2024年の年1回以上実施率を比較してみると、男性では20~40歳代で増加した。女性では2000年代以降、20歳代、40歳代、50歳代が減少傾向にある。 一方で30歳代が増加したため30~50歳代の実施率はほぼ横並びとなった。また男女ともに70歳以上では増加がみられる反面、2022年に増加傾向だった60歳代は減少に転じた。
筋力トレーニング実施率が減少傾向に
調査を受け、研究担当者は次のように分析している。
「筋力トレーニング実施率は2000年以降、近年まで右肩上がりで増加してきた。2000年当時のフィットネス業界ではターゲット層の拡大に向けた業態開発が大手企業を中心に積極的に行われ始めていた。マイクロジムやパーソナルトレーナーといったオーダーメイド型のトレーニングにも注目が集まったが、現在ではそうしたコアユーザーだけでなく、実施頻度の低いライトユーザー向けの低価格サービスも展開され、より気軽に筋力トレーニングを実施できる環境が整いつつある。
しかし、昨今の実施率をみると2020年から2022年にかけて全体として減少傾向にある。20~30歳代の若年層、特に20歳代女性で顕著であり、コロナ禍に始めた人たちの多くが継続的な実施には至っていないとみられる。2024年も前回から大きな変化はないが、50歳代では男女ともに2020年から緩やかな減少が続いている。厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』では成人および高齢者に対して週2~3日の筋力トレーニング実施を推奨すると同時に、その目的は運動機能の維持・増強から疾病予防まで幅広いことから、個人の特性や能力に合わせた『個別性の原則』の重要性を唱えている。しかし実際には、自身の運動能力や目的に見合った方法がわからず二の足を踏んでいる人や思うように継続できず途中でやめてしまう人も一定数いると推察される」。