バランスのいい食事を意識しているつもりなのに、なぜか体調がすぐれないと感じることはありませんか? 現代の食生活ではバランスよく食べているつもりでも、特定の栄養素が不足してしまうことがあります。
この記事では食品から摂りにくい栄養素の種類や栄養不足による影響、効率よく栄養を補うための工夫などについて解説します。
栄養素には炭水化物やタンパク質、脂質やビタミン、ミネラルなどの種類があり、それぞれ異なる役割を持ち身体の健康を維持しています。
しかし現代の食生活やライフスタイルによっては食品から摂りにくい栄養素も存在しているため、これらの栄養素は普段の食事から意識して摂取しましょう。
食品中の含有量が少ないものや体内で吸収されにくいもの、特定の食品に偏って存在している栄養素をしっかり補うためにも毎日の食事を見直してみてくださいね。
■食事だけでは不足しがちな栄養素って?
食品から摂取しにくい栄養素にはいくつかあり、どれも健康を維持するために必要不可欠な成分です。健康維持のためにも、食事からしっかり補えるように意識しておきましょう。食品から摂りにくい栄養素の種類や、摂取しにくいといわれる理由についてそれぞれ紹介します。
(1)ビタミンD
ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。日光浴によって体内で合成できる特徴がありますが、テレワークなどの室内作業が増えている現代では不足しないように気をつける必要があります。
日光を浴びる機会が少ない方は、ビタミンDが不足しないように魚介類やきのこ類などのビタミンDが豊富な食品を食事で積極的に取り入れましょう。
(2)n-3系脂肪酸
サバやサンマなどの魚介類に多く含まれているn-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です。特にDHAやEPAなどのn-3系脂肪酸は、心血管や脳の健康を維持するために重要な役割があるので意識して摂取しましょう。
しかし、近年では魚介類の価格が高騰していることや調理の手間がかかることなどを理由に魚介類の摂取量が減少傾向であり、食品からの摂取が難しくなっています。健康のためには、食事の中で魚介類を取り入れることを意識することが大切です。
(3)ビタミンB12
ビタミンB12は、神経機能の維持や赤血球の形成を助ける栄養素です。動物性食品に含まれている栄養素なので、赤身の肉や魚をあまり食べない場合や野菜中心の食事傾向がある場合は食品からの摂取が難しい特徴があります。
ビタミンB12の不足は神経障害や貧血のリスクがあるため、野菜中心の食事を行っている方や食事量を減らすようなダイエット中の方は特に肉類や魚介類、卵や乳製品を意識して補いましょう。
(4)鉄分
鉄分は赤血球を作るのに必要な栄養素で、体内でのエネルギー産出をサポートする役割もあります。特に成長期の子どもや月経のある女性、妊娠中や授乳中の方は、貧血予防のためにも意識して摂取する必要があります。
しかし鉄分は体内での吸収率が低い特徴があるため、食品から効率よく摂取するのが難しいというデメリットがあります。植物性食品を中心とする食生活を送っている場合は、特に鉄分が不足しやすいので気をつけましょう。
(5)マグネシウム
マグネシウムは骨や歯の形成、酵素の働きやエネルギー産生をサポートするのに加え、筋肉や神経の働きを正常に保つためにも欠かせない栄養素です。また血液の流れをスムーズにするのにも役立ちます。
果皮や胚芽が取り除かれていない、未精製食品にマグネシウムは多く含まれています。白米や食パンなどの精製食品を中心とした食生活を送っている場合は、食品からマグネシウムを摂りにくいので気をつけましょう。
■食事で栄養素を上手に摂るための工夫
食品から摂りにくい栄養素は、調理時のポイントを押さえたり、他の食品と上手に組み合わせたりすることでより効率よく摂取できます。
n-3系脂肪酸が豊富な青魚は、簡易的に食べられる骨取り魚や冷凍魚などを利用しながら週2回以上取り入れるとよいでしょう。サバやサンマなどのDHAやEPAが豊富な青魚を選ぶのもポイントです。
またビタミンB12や鉄分の吸収率が高いヘム鉄が豊富な赤身の肉や魚を意識して摂取したり、玄米などの未精製食品を取り入れるのもよいでしょう。
鉄分はビタミンCが豊富な食材と組み合わせることで、より効率よく摂取できるので野菜や果物と組み合わせてみてくださいね。
■どうしても食事からの摂取が難しいときは?
食事から栄養素を十分に補えない場合は、補助的な役割でサプリメントを活用するのもよいでしょう。サプリメントを選ぶ際は、自分の食生活や目的に合わせて不足しがちな栄養素を補えるものから選ぶのがポイントです。
ただし、サプリメントは「食品」に分類されるものの、使用方法には注意が必要です。多く飲んだからといってその分よい効果が期待できるわけではありません。また、体質や体調、服用中の薬との組み合わせなどによっては、使用しない方がいいサプリメントもあります。
サプリメントを飲み始めて身体に異変を感じた場合は、症状に合わせて病院を受診しましょう。また、治療中の疾患がある人はまずは医師や薬剤師に相談してからサプリメントを取り入れましょう。
■さまざまな食品を組み合わせて
食品から摂りにくい栄養素は、どれも健康な毎日を送るために必要不可欠な成分です。とはいえ、身体の健康を維持するためには特定の栄養素だけでなく、さまざま食品をバランスよく組み合わせて摂取する必要があります。
主食や主菜、副菜などをそろえたバランスのよい食事の中で、ビタミンDやn-3系脂肪酸、鉄分などの食品から摂りにくい栄養素を意識して摂取しましょう。