イー・ラーニング研究所は、「新学期の適応と自己調整力に関する意識調査」の結果を5月23日に発表した。同調査は、2025年4月3日~2025年4月22日の期間、小学生の子どもがいる親世代422人を対象に紙回答にて行われた。

  • 約9割の親が、子どもは新学期の環境変化に対して、期待や不安を実感していると捉えていると判明

子どもが新学期の生活に「期待」や「不安」を持っていると思うかを尋ねたところ、「とても持っていると思う」(42.4%)、「少し持っていると思う」(44.8%)に回答が集中し、多くの親が、子どもは新学期という新しい環境に対して前向きな感情と同時に不安も抱いていると捉えていることが明らかになった。

  • 「とても感じやすい」「少し感じやすいと思う」を回答する親が9割以上という結果に

また、「子どもは新学期の環境変化によるストレスを感じやすいと思うか」という問いに対しても、「とても感じやすいと思う」(47.6%)と「少し感じやすいと思う」(43.4%)を合わせると9割以上を占める結果に。

  • 人間関係が最大の要因と、大人同様“自分の居場所づくり”に対するストレスの大きさが窺える

これらの回答者に対し、「子どもは新学期の環境変化において、どのようなストレスを感じていると思うか」を尋ねたところ、「新しい先生や友人との人間関係の構築」(319人)が最も多く、ついで「新しい場所や慣れない環境での生活に対する不安」(285人)となり、これらから、大人と同様に子どもも“新たな対人関係”や“自分の居場所づくり”に大きなストレスを感じていることがうかがえた。

  • 家庭では日常生活の中で無理なく取り入れられる工夫をすることを重要視

さらに、子どもの5月病(新学期の疲れやストレス)を予防するために、家庭で工夫できることについての問いには、「子どもの話をよく聞き、不安や悩みを共有するようにしている」(315人)、ついで「十分な睡眠時間やバランスの取れた食事などの健康管理」(292人)という回答が挙がった。これにより、家庭ではコミュニケーションや健康管理といった日常生活の中で実践しやすい工夫が重要視されていることが分かる。

  • 『自己調整力』というキーワードはまだ一般には浸透していないよう

「『自己調整力』というキーワードを知っているか」という質問に対しては、6割以上が「知らない」と回答し、この言葉がまだ一般には浸透していない現状が判明した。

  • 9割以上の親が生きていくための力として『自己調整力』の必要性を実感していることが判明

その現状の一方で、「子どもが環境の変化によって受けるストレスの予防や対処をするために、『自己調整力』を身につける必要があると思うか」を尋ねたところ、「必要であると思う」(73.9%)と「ある程度必要であると思う」(20.9%)の合計が9割以上となり、困難に直面した際に自らの行動や感情をコントロールする『自己調整力』は、5月病対策のみならず、社会生活においても必要な力として多くの親に認識されていることが示唆された。

  • 「自己調整力」を育むための明確な手段や共通認識はまだ十分に確立されていないことがうかがえる

続いて、家庭で子どもの『自己調整力』を育むために意識すべきことを尋ねたところ、「感情を言葉で表現したり、リラックスできるよう促すこと」(302人)が最多となった。ただし、他の選択肢については僅差となり、明確な手段や共通認識がまだ十分に確立されていないことがうかがえる結果に。

  • 家庭以外にも、学校や地域での学びや振り返りの機会創出を求める親が多数

その一方で、「子どもが『自己調整力』を高めるために、学校や地域でどのようなサポートがあるといいか」という問いに対しては、「ストレスや感情のコントロールを学べる機会」(293人)、「問題解決のステップを学ぶ機会」(284人)、「自分の行動や成果を振り返る機会」(255人)といった回答がつづき、学びや振り返りなどの機会創出の支援が家庭外にも求められていることが明らかになった。