かっこは5月16日、クレジットカード不正利用被害についての調査結果を発表した。調査は2025年4月、ネットショッピング利用者でクレジットカード不正利用被害にあったことがある全国の20歳以上の男女400名を対象にインターネットで行われた。

クレジットカード不正利用の対象商品

不正利用により購入された商品の内訳を見ると、最も多かったのは「家電・電子機器・パソコン」(22.5%)で、次いで「食品・飲料・酒類」(16.8%)が高い割合を占めた。家電類は高額で換金性が高いため、不正利用の対象になりやすい傾向がある。一方、食品類は保存性や換金性の低さから、従来は不正利用の対象になりにくいと考えられていたが、近年、日本酒や日本産ウイスキーといった高級嗜好品の海外からの需要増加や、2024年の米不足に伴う買い占めによる転売などが影響していると推測される。

  • クレジットカードの不正利用で購入された商品やサービスで当てはまるものをお選びください(複数回答)

クレジットカード不正利用の発生時期

不正利用被害が発生した時期としては、7~9月が19.0%で最多、次いで4~6月が17.8%となり、春から夏にかけて被害が多い傾向が見られた。この傾向は、旅行や大型連休などの消費活動が活発化する時期に一致しており、不正者がこれらのタイミングを狙っている可能性が推測できる。ただし、不正利用は商品の需要によって突発的に発生することも多く、必ずしも特定の時期に限定されるものではない。

  • クレジットカードの不正利用被害に遭った時期はいつですか?(複数回答)

クレジットカード不正利用による被害額

不正利用による被害額では、「1万円~3万円未満」が22.0%、「1,000円~1万円未満」が20.8%と、1,000円~3万円未満の被害が全体の42.8%を占めた。前回調査(47.1%)と同様に、比較的少額な被害が多数を占める傾向は変わっていない。また、2024年にはある国内カード会社で、数万円未満の不正利用が相次ぎ、その被害者は数万人規模にも及ぶ深刻な事態が発生していた。今回の調査結果とも一致するこのような事例は、少額であっても不正利用が広範に拡大するリスクを示すものといえる。

  • 被害額は合計でいくらでしたか?(単一回答)

不正利用被害が補償されなかったケースも

不正利用被害に対する補償については、全体の86.25%が「補償された」と回答した一方で、20代では「補償されなかった」とする回答が30.0%に達し、他の世代(10%台)と比較して顕著に高い割合となっている。 ​ この背景には、20代がキャッシュレス決済を日常的に利用していることで、利用明細の確認が疎かになり、不正利用に気づかず補償期間を過ぎてしまうケースが増加している可能性がある。NIRA総合研究開発機構の調査によれば、18~29歳のQRコード・バーコード決済の利用率は77%で、他の年齢層よりも高い水準にある。また、20代は日常的な買い物や外食といった日常生活の様々な場面でコード決済を積極的に活用しており、今後もキャッシュレス決済の利用拡大に伴いリスクも相対的に高まることが予測される。

  • クレジットカード不正利用は、補償されましたか?(単一回答)

不正利用対策について

不正利用対策としては、「カード明細の確認」が61.0%で最多、次いで「利用通知サービスの登録」が37.0%、「EMV3-Dセキュアの登録」が28.5%となった。EMV3-Dセキュア(本人認証サービス)は、2025年3月を目途に導入が推奨されていたこともあり、前回調査と比べて登録率は4ポイント増加した。しかしながら、依然として3割未満にとどまっている。さらに、年代別の結果を見ると、40代以降の世代ではEMV3-Dセキュア登録率が年齢とともに低下する傾向が見られ、中高年層における認知度や登録の促進が今後の課題といえる。

  • クレジットカードの不正利用対策は何かしていますか?(複数回答)

  • 【年代別】クレジットカードの不正利用対策は何かしていますか?