大王製紙エリエールはこのほど、生理前後の肌荒れに関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2025年1月6日~1月15日、クラブエリエール会員の20代以上の女性1,430名を対象に、インターネットで行われた。併せて、日本産婦人科学会専門医・佐藤杏月氏監修による、生理周期に合わせたスキンケアの方法を紹介している。

生理の前後に肌荒れを感じる?

  • 生理前・生理中・生理後で、肌のコンディションが違うと感じますか?

生理の前後で肌のコンディションが変わると感じている人は、58.7%という結果になった。

  • 生理前・生理中・生理後で、肌のコンディションが違うと感じますか?

肌荒れが起こりやすいと感じる時期で、最も多かった回答は「生理前(排卵~黄体期)」だった。

生理前の肌荒れに関わる2つの女性ホルモン

生理前の肌荒れには、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が深く関わっている。

生理中から増加し始め、排卵前に分泌量がピークに達するエストロゲンは、子宮内膜を厚くして受精卵を迎える準備を整えるホルモン。女性らしい体をつくるホルモンでもあり、思春期の乳房や子宮、膣などの発育を担うほか、コラーゲンの生成を促して肌や髪のうるおいとツヤを保つ美容的な働きもある。排卵するとエストロゲンは急激に減少し、妊娠が成立しなければじわじわと分泌量が下がり続ける。

プロゲステロンは、エストロゲンに反比例する形で、排卵が近づくと増え始めて排卵後に急激に増加する。主に妊娠の準備をするホルモンで、子宮内膜をやわらかくして良い状態を維持したり、乳腺の発育を促進したりする。また、プロゲステロンには男性ホルモンのように皮脂を分泌させる働きがあるため、この時期は肌が脂っぽくなって肌トラブルにつながる可能性もある。

生理周期とホルモンバランスの変化

女性ホルモンは、妊娠・出産をサポートする役割を持ち、そのための準備である月経を作り出す大切なホルモンである。約1ヵ月の分泌量の変化とともに月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4つの時期を繰り返し、下図のようにひとつの生理周期を形作っている。

  • 女性ホルモンの変化と生理周期

月経期は、子宮内膜が血液とともにはがれ落ち、体外に排出される期間。エストロゲンとプロゲステロンの分泌量は両方とも低下している。

卵胞期は、月経が終わってから排卵までの期間。卵巣内の卵胞が発達し、エストロゲンの分泌量が増加するため、子宮内膜が増殖したり厚くなったりして妊娠に向けた準備が進む。また、エストロゲンの効果で、肌はうるおいやツヤが増し、調子が良くなる場合がある。

排卵期は、成熟した卵子が卵胞から排出される期間で、月経が始まって約2週間後に訪れる。排出された卵子は卵管に取り込まれ、卵管にたどりつく精子を待って受精する。1ヵ月のうちで最も妊娠しやすい期間であり、エストロゲンは排卵の前までに子宮内膜を整えるべく、排卵直前に分泌量のピークを迎える。

黄体期は、排卵を終えてから次の月経までの期間。プロゲステロンの分泌量が増え、厚みを増してやわらかくなった子宮内膜が妊娠に適した状態になる。一方で皮脂の分泌が増し、肌は脂っぽくなってニキビや吹き出物ができやすい状態のため、肌トラブルには要注意の時期となる。

生理前に起こりやすい肌トラブル

1.ニキビ

プロゲステロンによって皮脂の分泌が促進される生理前は、皮脂が増え、毛穴に詰まるとニキビができやすくなる。通常、皮脂は肌内部の水分を内側にとどめて肌を潤し、外部の刺激から肌を守る働きをしている。そして、汗とともに排出されるのが正常な肌のターンオーバーだが、皮脂の分泌量が多いと毛穴が詰まってターンオーバーが滞り、毛穴の中でニキビの原因菌であるアクネ菌が増殖することでニキビができてしまう。

また、食生活の乱れもニキビの原因のひとつ。脂肪分の多い食事を頻繁にとったり、三大栄養素の中でも特に脂質の代謝に有効なビタミンB2を糖質やアルコールの分解で消費したりすると、皮脂が肌に残ってニキビを誘発する要因となる。

2.肌のテカリ

鏡を見たときに、おでこや鼻などのテカリが気になることも。それはもしかすると、生理前の皮脂分泌が盛んな時期で、皮脂が肌の表面に出てきているからかもしれない。特に、Tゾーンと呼ばれるおでこと鼻は要注意。この時期は、いつもの化粧がうまく肌にのらず、少し時間が経つと浮いたりよれたりして崩れてしまうことも多くある。

3.敏感肌

生理前のホルモンバランスの変化によって、肌は敏感な状態。そのため、些細な刺激にも反応し、赤みやかゆみ、かぶれなどの症状が出やすくなる。皮膚のバリア機能も一時的に落ちているので、肌に生じたトラブルが悪化しやすい時期でもある。

3.乾燥肌

生理前になると、肌の保湿を助けているエストロゲンが減少するため、乾燥することがある。バリア機能が低下して外部からの刺激を受けやすくなり、かさつきやひび割れ、かゆみ、赤み、乾燥ニキビなどが出ることも多い。

生理周期に合わせたスキンケアが大切

  • 生理周期に合わせたスキンケア方法

生理周期ごとのホルモンバランスの変化が肌にどのような影響を与えるのかを知っておくと、スキンケアをより効果的に行うことができる。

生理中のスキンケア

生理中の肌は敏感で、乾燥や肌荒れを起こしやすい状態のため、あまり負担をかけないよう、できるだけ無添加で低刺激のものを選ぶことが推奨される。攻めのスキンケアで肌の調子を一気に上げたくなるかもしれないが、無理は禁物。この時期は基本的なケアを丁寧に続けることに集中し、プラスアルファのケアはお休みするのが適している。経血として出ていく血液量が多いため、食事やサプリメントで鉄分補給を心掛けると、肌の血色を維持するためにも良いという。

卵胞期のスキンケア

卵胞期は、1ヵ月の中で最も肌の調子が良い時期。化粧ノリも良く、トラブルも気になりにくいので、気分よく過ごすことができる。肌のごわつきやざらつき、毛穴など、普段気になっている部分をケアするのに、角質ケアや毛穴ケア、ピーリングなど、少し刺激があるケアを試すのにも良い時期となる。

黄体期のスキンケア

黄体期は、肌表面が少しずつ脂っぽくなり始める一方、肌の中は乾燥が進む難しい時期。ニキビができやすくなるので、肌を清潔に保つことが重要となる。ただし、脂っぽさが気になっても、ゴシゴシ洗いすぎるのはNG。洗いすぎて肌に必要な皮脂まで落とすと肌が乾燥し、乾燥を防ごうとする作用でより多くの皮脂が分泌される悪循環を招く可能性が高くなる。洗顔フォームをたっぷり泡立てて肌に乗せ、肌をこすらないようにやさしく洗ったら、まずは化粧水でしっかり保湿。水分が行き渡ったら乳液などで油分を加え、クリームなどで蓋をして水分が飛ぶのを防ぐ。ニキビができている部分は、油分をティッシュオフすることが推奨される。