ドジャース山本由伸、課題改善でサイ・ヤング最有力候補に!?昨季との“最…

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 4月18日(日本時間19日)、テキサス・レンジャーズ戦で7回無失点と好投し、今季3勝目をあげたロサンゼルス・ドジャースの山本由伸。防御率もナ・リーグ上位につけており、サイ・ヤング賞の有力候補にも挙げられている。そこで今回は、山本由伸のここまでの投球について分析した。(文:Eli)(今季成績は日本時間4月18日時点)

 

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 4/18時点までの山本由伸の登板を振り返ると以下のようになる。

 

 4先発22.1回1.23ERA 33.7K%8.4BB% 0.6fWAR

 

 3/18 @CHC 5.0回1失点3安打1四球4三振11空振り

 3/28 vs DET 5.0回2失点5安打2四球10三振17空振り

 4/4 @PHI 6.0回0失点3安打3四球5三振12空振り

 4/11 vs CHC 6回0失点2安打1四球9三振11空振り

 

 

 防御率、奪三振率はリーグ上位と圧倒的な投球を続けており、MLBアナリストのTom Tango氏が開発したFIPベースのサイ・ヤング賞予想指標ではシンシナティ・レッズのハンター・グリーン、サンティエゴ・パドレスのニック・ピヴェッタに次いで3位の17.5ポイントを積み上げている。

 

 試合別に見ても、ハップ、タッカー、鈴木を擁するカブスや、シュワーバー、ハーパー、ターナーを抱えるフィリーズをしっかり抑えており、打撃力の劣る球団だけに良い成績を出しているわけでもない。ここまではメジャー2年目の飛躍を着実に見せていると言って良いだろう。

 

 

 ここまでの山本の好投を支えているのがフォーシーム/スプリットの組み合わせだ。

 

 昨季の山本はスプリットで空振りを奪えずにフォーシームを投げ、打者に打たれるというパターンが多かった。山本のフォーシームはその特徴から多投すればめった打ちにされるような球だ。事実、昨季のフォーシーム被長打率は.413となっている。

 

 転じて今季はスプリットの空振り率が38.6→54.4と急上昇。投球割合も6%上昇しており、自信をもって投げていることがうかがえる。

 

 さらに打者がスプリットを頭に入れている効果がフォーシームにも流れており、空振り率は減少したが、被長打率は.413→.192と半分以下までカットできている。

立ち上がりへの対応

 フォーシーム/スプリットコンボが信頼度高く使えるようになったことは山本にとって長年の課題を解決できる鍵となるかもしれない。

 

 圧倒的な投球を披露してきたNPB時代から山本は立ち上がりが弱点とされてきた。MLBでも2024年は打者1巡目の成績が悪かった。

 

 これは登板毎に自分に何が合うかを探す必要があったと見られ、1回は自分探しの時間になっていた。しかし、今年からは序盤から自信をもって自身の強みであるフォーシーム/スプリットコンボを投げることができているようだ。

 

 また、この改善は試合終盤にも波及している。一般的に試合終盤には打者の目が慣れるため、投手の成績は急激に悪化するとされている。

 

一方で、山本の場合フォーシーム/スプリットの効果が切れても、カーブ、カット、シンカーという別の武器を持っている。今季は3巡目に11回しか対戦していないが、3.0回パーフェクトに抑えている。

 

 

高めのフォーシーム

 山本はその低い身長から打者に向かってフラットなフォーシームを投げることができる。今季は何らかの理由で縦変化が1.0inch程度上昇しているため、その傾向はより強まった。

 

 フラットなフォーシームは高めに投げアッパースイングをかけてくる打者に空振りをさせることで効果を発揮する。

 

 現在の山本はNPB時代の低めフォーシームでスプリットをセットアップするスタイルを継続しており、昨季は微妙だったが、今季はこの戦略が功を奏しているのは前述したとおりだ。

 

 高めのフォーシームを増やすことは、このバランスを崩す恐れがある。ドジャースの投手アナリストやコーチ陣がこのあたりをどのように見ているかはわからないが、今後の動向に注目したい。

スライダー

 フォーシーム/スプリットのコンボ、大きく落ちるスローカーブなど武器を持っている山本だが、もう一つ武器を持っている。それがスライダーだ。

 

 山本のスライダーは平均85-86、最速89マイル(約143キロ)と平均より速い上に平均より落ち、曲がる。昨季は48球を投げ平均以上の空振りを奪えている。またプレーオフではタティス、アロンゾ、ジャッジと名立たるスーパースターから三振を奪った球だ。

 

 山本はスライダーが腕に負担をかけることを理由に投げることを好まないようである。今年の使用割合も1.4%で1試合に1球投げる程度に抑えられている。

 

 理由が理由なだけに今後よっぽどのことがない限り割合が急上昇することはなさそうだ。

 

 

"長いイニング"がサイヤング受賞へのカギに…?

 4月12日まで山本の4登板は全て6.0回以内に終わっている。これは全て球数が限界に達したために降板したものだ。これは与四球や失投が多いためではない。

 

 BB%8.4は平均程度であり、Location+115はリーグトップを争える数値だ。おそらくスプリットの多投という投球スタイルの性質上、失敗が増え1打席当たりの球数が増えていると思われる。

 

 山本は現役日本人投手としては最もサイ・ヤング賞に近い選手だ。現在の防御率1.23、K%33.7は続ければ受賞に十分な数値だ。一方で投票する記者は質に加えて量も重視する。

 

 短縮の2020年シーズンを除き、過去10年で最も少ないイニング数での受賞は2021年NLサイ・ヤング賞のコービン・バーンズで167.0となっている。

 

 これも2020年短縮の影響で記者が量に関して若干寛容だった側面もある。完全フルシーズンでは最低170、出来れば180-190イニングは消費したい。

 

 山本のイニング数にマイナスなのは週一登板というチーム事情だ。これにより通常の30-32先発から27-28先発へと減るだろう。

 

 故に山本がサイ・ヤング賞を狙うなら1試合当たりのイニング数を伸ばす必要がある。単純計算で1先発あたり最低6回、出来れば8回は欲しいところだ。

 

 

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【了】