日立製作所の鉄道システム事業を担う日立レールは、英国北東部とロンドンを結ぶグランドセントラルを運営するアリバグループから、電化区間と非電化区間を直通運転できる「トリプルモード」車両の納入と、10年間のメンテナンス契約を受注したと発表した。

  • 日立レールが英国グランドセントラルの車両とメンテナンス契約を受注

納入する車両は計45両(5両×9編成)。走行にパンタグラフ、バッテリー、ディーゼル発電機のいずれかの電力を使用するバッテリーハイブリッドのトリプルモード車両となる。この機能により、電化区間・非電化区間を問わず将来的にさまざまな他路線でも使用できる。

加えて、先駆的な技術により、CO2排出量と燃料消費量を約30%削減。駅に出入りする際はCO2排出ゼロのバッテリーモードによって、都市部の大気の質を改善し、騒音を減らせるという。座席は既存の車両より20%多くし、乗客の需要増加に対応。公共交通機関の利用を促進する。乗客はより多くの荷物置場、座席の電源、電子予約システムの利用が可能になる。

今回の受注は、鉄道規制当局がグランドセントラルの既存の路線アクセス権を2038年まで延長することを許可したことに対応するものであり、英国の鉄道に対するアリバグループの長期的なコミットメントと、英国内およびヨーロッパ全体への持続可能な公共交通ソリューション提供を下支えするとしている。受注額は、車両納入とメンテナンス契約を合わせて約3億ポンド(約580億円。1ポンド=193.5円で換算)とのこと。

新型車両は日立のニュートン・エイクリフ工場で製造され、英国の製造拠点における雇用と技術の保護に貢献する。列車のバッテリー製造に関して、工場や広範なサプライチェーンにとって新しく高度な製造機会をもたらすとしている。