笑えない時期があったものの本来はよく笑う性格のようで、クールでかっこいい女性というパブリックイメージと実際の自分とのギャップを感じることが多いという。
「すごくクールで、あまり笑わなくて、料理とかしなさそうとよく言われるんですけど、全然違うのになという思いはあります。お酒が強そうだけは合っているんですけど(笑)。そこに対して悩んでいるということはないですが、全然真逆なんだけどなとは思います。よく笑うし、クールでもないし、ビビりだし、料理もするし」
演じる役もかっこいい女性が多い印象だが、ここ数年、役の幅の広がりを感じているそうで、今回のさとこ役や連続テレビ小説『虎に翼』で演じた桜川涼子役など、あまり演じてこなかった役を任される機会が増えてきたと語る。
「なぜ私にこの役をオファーしてくださったんだろうということが、ここ数年少しずつ出てきて、自分はこういう面もあるんだなと、作品を通して自分の新たな面に出会えるときもあって、本当にうれしくてありがたいなと思っています」
本作でも自分の新たな面に気づいたという。
「私は1人で行動することが多く、人と関わることにどちらかというと臆病ですが、この作品を通して、ちょっといいかもしれないなと。今日会った人でも、自分が心を開けば相手も答えてくれるというのは、すごく未知で楽しいですし、人との付き合いって素敵かもしれないと思いました」
受け身姿勢の理由「未知の役に挑戦したいという思いがあるので」
2011年に女優デビューしてから14年。今の仕事に対する思いも聞いた。
「私は常に受け身でいたいと思っていて、桜井にこの役を演じさせたらどうなるんだろうという想像を周りにしていただきたいなと。未知の役に挑戦していきたいという思いがすごくあるので、受け身でいて、それに応えられる自分でありたいと思っています」
受け身姿勢だからこそ、役の幅が広がり、演技の幅も広がっていくという。
「自分の中に近しいものが多い役だと演じていて心地いいですが、周りに想像していただいて、それに応えるというスタンスでこれからもやっていきたいです。そこには努力しないといけないこともたくさんありますが、そうすることで自分の幅が広がっていくと思っています」
その姿勢で進んでいき、この先どうなっていきたいか尋ねると、「存在感を出しつつ、なくしたい」と回答。「桜井ユキってこういう人だよね、こういうイメージだよねというのをいつかフラットにできたらいいなと。当たり前ですが、何を演じていてもちゃんと馴染めるのがベストなので、どういう人なんだろうという存在感は出したいんですけど、出しつつ、なくしたい(笑)」と話していた。
1987年2月10日生まれ、福岡県出身。24歳のデビュー以来、演技派女優として注目を集め、話題のドラマや映画に多数に出演。2019年に放送されたNHK主演ドラマ『だから私は推しました』では、第46回「放送文化基金賞」演技賞を受賞。2021年~2022年に放送されたNTV系ドラマ『真犯人フラグ』では怪演が話題に。昨年はNHK連続テレビ小説『虎に翼』、TBS系ドラマ『ライオンの隠れ家』などに出演。映画『#真相をお話しします』が4月25日、『フロントライン』が6月13日公開予定。
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