吉原のメインストリートである仲之町通りで開催された俄祭りのスケール感を出すために、100人以上の出演者が撮影に参加。若木屋(本宮泰風)と大文字屋(伊藤淳史)がそれぞれ仲間を率いて雀踊りを披露し、対決を繰り広げるという展開が描かれる。
「出し物のひとつである雀踊りを2チームが披露するのですが、沿道の見物客や、仲之町通りに並ぶ引手茶屋の1階2階の座敷から見ている人もいて、このみんなで祭りを作るのだなと。刀を交える合戦ではなく芸能の戦いをするんだなと思いました」
プロの舞踊家は約20人、鳴り物隊が15人、加えて、忘八や観客たち。クライマックスでは100人近い人たちが入り乱れるカオスな状態を作り上げたという。
「必ずしも踊りが得意という設定ではない忘八たちも参加していますが、そろうことが大切ではなく、カオスを作りたいんですとお伝えして。2つの流派が渾然一体になっている様を目指しました」
キャストとスタッフが一丸となって作り上げた俄祭り。小谷氏は思い描いていたものになったと手応えを口にする。
「森下さんが作られた脚本から出発して、描きたいところに行けたなと思います」と述べ、蔦重の描き方については「これまで瀬川とやりとりしていた目線とは違う、太夫、絵師や作家とどう付き合い、どういう風に仕事としていくのか、視野が広がりどんどんプロデューサーの面を見せていくと思います」と語った。
そして、華やかで迫力のある祭りをただ楽しむだけでなく、吉原の現実も改めて感じてもらいたいと考えている。
「ここまでいろんな出し物や背景を見せ、物語の真ん中に据えたドラマはなかなかないと思うので、お祭りを面白がってもらいたいのが第一ですが、女郎は出し物に出ないとか、禿が歌舞伎を演じているとか、そういう当時の様子を今を生きる自分が見たらどう感じるかなと思いながら見てもらえるといいなと思っています」
(C)NHK