「ケンメリ」こと日産の4世代目「スカイライン」(C110型)にワゴンタイプがあったことをご存じだろうか? 長尺ものが積みやすいロングボディは昭和の時代、サーファーの相棒としてかなりの人気を博したとのこと。今回は実車に遭遇したので細部まで観察してきた。
スポーティワゴンの先駆け
愛のスカイラインバンに続いて紹介するのが、1972年に登場した4世代目スカイライン(C110型)、通称「ケンメリ」スカイラインのワゴンだ。型式はバンの頭が「V」だったのに対してワゴンは「W」、つまり「WPC110」となる。
静岡県のオートショップ「TAKEEY’S」が展示していたのが、この1973年式ケンメリワゴンだ。正式名称は「スカイライン1800ワゴン スポーティGL」という。名前からして今でいう「スポーティワゴン」の始まりといってよく、単なる荷物運びのクルマではない。
東京オリンピックや大阪万博というビックイベントをがむしゃらに成功させた日本にちょっと余裕ができ始めた70年代初頭のクルマらしく、「今後はスポーツやレジャーのお供となるような使い方がクルマに求められるはず」と日産が力を込めて開発したものだ。
そのため、ラゲッジのあるボディ後半部分は凝った造りになっていた。例えば、長いサーフラインの上にあるCピラーはクオーターガラスのない独特な形状で、その太いピラーの中央にはおしゃれな筆記体で綴られた「Skyline Wagon」の金属製エンブレムが取り付けられている。
リアウインドーに続く部分には3本のフィンがあしらわれている。リアハッチには、コンビネーションランプのラインに合わせて木目調パネルを装着。個性的でおしゃれな雰囲気を演出している。
内装を詳細確認
ボディサイズは全長4,315mm、全幅1,625mm、全高1,405mmでホイールベースは2,515mm。搭載するパワートレインは、先代から継承したプリンスからの流れを汲む1,815ccのG18型直列4気筒エンジンで、105PS/15.3kgを発生する。トランスミッションは4MTと3ATで、展示モデルは後者の方。メーターパネルやダッシュボードにはウッド調パネルを貼り、ステアリングとATシフトノブもウッドを使用している。前後シートはアンコの詰まった立派な造りで、このあたりは商用モデルのバンとは大きく異なる乗用車らしいところだ。
独特な形状のブルーのワゴンボディと、それとコーディネートしたブルーのシートがあしらわれた展示車の価格は770万円。当時のサーファーに大人気だったモデルだというから、今これを手に入れて、ボードを積んで湘南あたりに出かければヒーローになれること間違いなしだ。