BMW新型「7シリーズ」日本初公開。麻布台ヒルズで幕を開けた新時代

2026年4月23日、東京・麻布台ヒルズに位置するBMWのブランドストア「FREUDE by BMW」にて、ブランドの旗艦モデルである新型「BMW 7シリーズ」の日本初公開イベントが開催された。今回の発表は、北京モーターショーでのワールドプレミアに合わせ、ニューヨーク、そして東京の3都市を舞台に行われたグローバルローンチの一環である。

【画像】「史上最大規模のアップデート」を遂げた新型7シリーズと、あらたに着任した上野金太郎BMWジャパン代表取締役社長(写真6点)

この日の発表会は、新型車のアンベールにとどまらない、日本の自動車業界全体が注目する特筆すべきトピックがあった。それは、2026年4月1日付でビー・エム・ダブリュー株式会社(BMWジャパン)の代表取締役社長に就任した上野金太郎氏が、メディアの前に初めて姿を現したことだ。

業界を激震させたトップ人事と、新社長のビジョン

上野金太郎氏といえば、2012年から長きにわたりメルセデス・ベンツ日本の代表取締役社長を務め、同ブランドを日本市場における輸入車トップシェアへと導いた立役者として広く知られている。2024年末に同社会長を退任したのち、最大のライバルであるBMWジャパンのトップに就任するというニュースは、業界内外に大きな衝撃を与えた。

就任からわずか3週間というタイミングで公の場に立った上野新社長は、真新しいBMWのバッジを胸に、「この素晴らしいフラッグシップモデルを皆様にご紹介する絶好のタイミングで、BMWを率いることができることを本当に嬉しく思います」と力強く挨拶した。長年ラグジュアリーセグメントを牽引してきた同氏の手腕が、BMW、MINI、ロールス・ロイス、さらには今後加わるアルピナを含むBMWグループ全体にどのような化学反応をもたらすのか。その第一歩として、新型7シリーズの発表はこれ以上ない舞台であったと言える。

「史上最大規模のアップデート」を遂げた新型7シリーズ

会場の中央でベールを脱いだ新型7シリーズは、BMW自身が「史上最大規模のモデルアップデート」との通り、内外装ともに劇的な進化を遂げていた。

まず目を引くのは、次世代デザイン言語「ノイエ・クラッセ」の要素を取り入れたエクステリアだ。象徴的なキドニーグリルはより大きく力強いプロポーションとなり、「Iconic Glow(アイコニック・グロー)」と呼ばれるイルミネーションが、ラグジュアリークラスならではの圧倒的な威厳を放っている。また、上下2分割構造となったヘッドライトの上部には、オプションでスワロフスキー製のクリスタルガラスを12個組み込んだ「BMW Individual クリスタルヘッドライト」が設定され、太陽光や夜間の照明を浴びて宝石のように煌めく。

さらに、世界初となる「デュアルフィニッシュ」と呼ばれる特別なツートン塗装も大きなトピックだ。ボディ下部のマット塗装と上部のメタリック塗装を組み合わせ、その境界に手描きのコーチラインを施すこの工法は、開発に2年半を要したという。専任の職人が12のステップを手作業で行い、1台あたりの塗装にかかる時間は従来比6倍の75時間以上。まさに走る芸術品と呼ぶにふさわしいクラフツマンシップの結晶である。

究極のデジタル体験と、多彩なパワートレイン

インテリアに目を移すと、そこには最先端のデジタル空間が広がっている。前席では助手席専用ディスプレイが標準装備となり、後部座席には天井から展開する31.3インチ・8K解像度の超大型「シアタースクリーン」が用意された。Amazon Fire TVが統合されており、移動中の車内が瞬時にプライベートシアターへと変貌する。

パワートレインの選択肢の広さもBMWならではの強みだ。この日展示されたハイパフォーマンスEVモデル「i7 M70 xDrive」をはじめ、「i7 50」「i7 60」といった電気自動車ラインナップは、最大700km超の航続距離を誇る。さらに、直列6気筒エンジンに48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたガソリンモデル「740 xDrive」や、クリーンディーゼルの「740d xDrive」、プラグインハイブリッドの「750e xDrive」「M760e xDrive」など、ユーザーのあらゆるニーズに応えるフルラインナップが用意されている。来年にはV型8気筒エンジンを搭載するMパフォーマンスモデルの追加も予告された。

新生BMWジャパンの幕開け

ドイツ本社から来日したアジア太平洋地域担当シニアヴァイスプレジデントのリトゥ・チャンディ氏は、「日本はクラフツマンシップ、インテリジェンス、イノベーションという観点で7シリーズと多くの共通点を持っており、今回のグローバルローンチ地の一つに選びました」と、日本市場の重要性を強調した。

圧倒的な商品力を持つ新型7シリーズと、日本の輸入車市場を知り尽くした上野金太郎新社長のタッグ。麻布台ヒルズという東京の新たなカルチャーの発信地で披露されたこの組み合わせは、BMWジャパンがこれから迎える黄金期を予感させるに十分な熱気を帯びていた。7月から生産が開始される新型7シリーズが日本の路上を走り出す時、ラグジュアリーセダンの勢力図は新たな局面を迎えることになりそうだ。

文・写真:前田陽一郎 Words and Photography: Yoichiro MAEDA