イカロス出版は、国鉄時代の東海道新幹線運転士の1日を描いた鉄道マンガ『ゼロ・ケイ 国鉄0系新幹線運転士物語』(A5判196ページ、1,980円)を3月6日に発売した。国鉄時代に東海道新幹線の運転士だった経歴を持つにわあつし氏が原作を手がけている。
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新幹線に乗務する前の点呼風景が描かれている
天夢人が電子版として4話まで配信したマンガ『ゼロ・ケイ 国鉄0系新幹線運転士物語』をもとに、新規書下ろしも含めた11話構成の書籍として新たに刊行した。
舞台は1975年、とある日の「ひかり105号」岡山行。見習い期間を終えた新人運転士「にわあつし」が東京駅から新大阪駅までの運転に臨む。当時、東海道新幹線の運転は現在と異なり、2人体制で行われていた。作中でも、いまでは見られなくなった運転台での先輩運転士とのリアルなやり取りが描かれている。運転区での呼称から実際に新幹線に乗り込むまでの行動パターン、運転台での指差喚呼など、映像資料でもなかなか見ることのできない運転士の日常を忠実に再現。現在では見られなくなった沿線の建物や在来線の車両も作中に登場し、当時の雰囲気を伝える。
全11話の各話で運転士の業務や東海道新幹線の運転風景が細かく描かれている。第1話で新人運転士が初めて乗務に臨む様子、第5話で富士山が見える区間の運転風景、第10話で難所として知られる関ケ原の運転が描かれるなど、鉄道の魅力が詰まった構成となっている。
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運転士2人体制だった当時の運転台での様子も詳細に描写
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『ゼロ・ケイ 国鉄0系新幹線運転士物語』表紙
原作者のにわあつし氏は1951年静岡県生まれ。高校卒業後、国鉄に入り、国鉄分割民営化直前の1987年まで新幹線運転士として勤務した。その後は鉄道や旅行を中心としたライター・写真家として活動。『0系新幹線運転台日記』などの著作がある。作画を担当したぶらいかん氏は、漫画家・水島新司氏の最後の弟子として知られ、『ドカベン』『あぶさん』の制作に携った経歴を持つ。