弥生は2月27日、「個人事業主 課題調査2025」の結果を発表した。調査は1月17日~22日、令和6年(2024年)分の確定申告を行う予定の20~70代の個人事業主1,000名を対象にインターネットで行われた。

  • 令和6年分(2024年分)の確定申告書の提出方法

    令和6年分(2024年分)の確定申告書の提出方法

e-Tax利用率は41.7%

確定申告書の提出方法を聞いたところ、「自宅等からインターネットで提出(e-Tax)」が最多の41.7%。2023年から2.1pt上昇したものの、2023年からの上昇値を見ると高止まりの傾向に。一方で、2024年に初めて確定申告を行った人の45.1%がe-Taxでの提出を選択しており、新規利用者の間ではデジタル申告の定着が進んでいるよう。

e-Tax選択率を年代別にみると、20~30代では55.4%と高く、年代が上がるに連れ減少し、70代以上では26.7%。e-Taxを選択しない理由を聞くと、「e-Taxが難しそうだから」(33.3%)、「e-Taxのやり方を調べるのが億劫だから」(23.1%)が上位に。

また、前年の提出方法と比較したところ、「両年ともe-Taxで提出する予定」は91.0%、「両年とも紙で提出する」が95.8%。また、多くの事業者が現状の提出方法に満足しており、毎年同じ方法を選択する傾向にあることがわかった。

  • 定額減税制度の認知度

    定額減税制度の認知度

次に、令和6年分(2024年分)の所得税について定額による所得税額の特別控除が実施される、いわゆる「定額減税制度」の認知について質問を行ったところ、「個人事業主が定額減税を受けるには、確定申告が必要」となることを把握している事業者は70.2%だった。しかし、そのうち47.4%は実際の定額減税の計算方法など詳細について「不明な点がある」「ほとんど理解しておらず、不明な点が多い」「全く知らない」ことが明らかに。

また、2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」についても聞くと、13.4%が「契約や報酬に関して透明性が増した」、11.4%が「法的な保護が強化された」と回答しており、一定の効果を感じられたよう。一方で38.4%が「法律について知らない」と回答した。

  • 確定申告におけるAI活用事例

    確定申告におけるAI活用事例

次に、「令和6年分の確定申告において、AIを活用していますか?」と尋ねたところ、14.3%が「活用した」ことが明らかに。実例としては「税金の計算」(7.9%)、「AIチャットボットへの質問・相談」(6.5%)、「銀行明細やクレジットカードデータの自動仕訳」(5.8%)が挙げられ、確定申告にAIを利用した人のうち、90.2%が業務の効率化や情報収集にかかる時間の短縮といった効果を感じているよう。

また、今後の活用意向に付いて聞くと、41.7%の人が「AIを活用したい」または「活用を検討したい」と回答。一方で、AIの活用に消極的な人は58.3%にのぼり、懸念点として「精度や正確性」(26.9%)、「コスト」(23.8%)、「セキュリティ対策」(21.0%)があがった。