フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、16日に放送された『ボクと古着と下北沢~夢と現実のヴィンテージ~ 前編』。東京・下北沢で古着店を営む若者たちを追った作品で、23日に「後編」が放送される。

今回の登場人物たちに「しがらみのない自由さ」を感じたというのは、取材した椎名洋平ディレクター(スローハンド)。経営が順調に進まず、もがきながらも、奮闘する彼らの姿から、「自分の信じた道を突き進む“青さ”の大切さ」を受け取ったという――。

  • 登生さん(左)と宝さん (C)フジテレビ

    登生さん(左)と宝さん (C)フジテレビ

一攫千金を夢見る若い人たちを取材対象に

今回のドキュメンタリーは、下北沢の変化を感じていたプロデューサーが提案。90年代後半の第一次古着ブームで自身も学生の頃に「めちゃくちゃ買っていた」ことや、通勤経路の下北沢を通るたびに現在の第二次ブームを目の当たりにしていたことから、取材が始まった。

200軒もの古着店がひしめき合う下北沢において取材対象に定めたのは、この1~2年で開業した人。「若い人を撮りたかったんです。最近は若い世代に“夢を追う”というイメージがあまり持たれていないと思ったので、古着に一攫千金を夢見るゴツゴツした若い人たちに興味を持ちました」と10軒程度に目をつけたという。

その結果、誰よりも古着愛が強い宝さん(34)と“相棒”の登生(とうい)さん(27)、経営者になるための資金を稼ぐ手段と言い切る現役大学生のあいりさん(20)、下北沢の若手経営者でも勢いに乗るヨウさん(23)と、バックグラウンドもタイプも違う個性的な若者たちの姿を映し出すことができた。

令和の今、こんなに自由な人たちがいるんだ

彼らに共通して感じたのは、しがらみのない“自由さ”。「働いていると会社や業界のルールや制約がどうしてもありますが、古着業は普通のアパレル業と違って仕入れるものも値段も全部自分で決められるんです。仕入れ先だってアフリカに行ってもいい。令和の今、こんなに自由な人たちがいるんだというのが、最初の感想でした」と印象を語る。

  • (C)フジテレビ

「前編」の最後には宝さんと登生さんらが、合計8トン、1万着以上の服の山からひだすら掘り出し物を探す姿があった。

「12時間かけて交代で車を運転して倉庫に着いて、そのまま10時間、夜まで探してるんですよ。宝さんは“限界だからこそ、面白いピック(仕入れ)ができる”と言ってますが、あそこまでできるのは、やっぱり古着が好きだから。古着業界の人はみんな収集癖があって知識もすごいんです。この業界で成功したデザートスノーの鈴木(道雄)社長も、月の半分はタイの自社倉庫で毎日12時間ピックしていると言っていて、そういう人たちが古着店をやってるんですよね」