ブシロード のグループ分析組織にあたるアニメデータインサイトラボは、アニメビジネスにおける調査を実施した。

今回は2025年冬アニメ作品を対象に、放送開始の前から放送1週目までの検索量データを用い、2025年冬アニメ全57作品(新作40作品、続編17作品)を対象に分析を行い、その結果を公表する。

放送1週目の注目度を比較すると、続編アニメである『薬屋のひとりごと』が圧倒的な数値を記録し、トップに立った。2位には『俺だけレベルアップな件』、3位には新作アニメの『SAKAMOTO DAYS』が入っており、上位3作品が他を引き離している。

新作アニメに焦点を当てると『SAKAMOTO DAYS』が39.5と突出した数値を記録。2位の『悪役令嬢転生おじさん』との差は12ポイント以上となっている。3位には『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』(24.9)が続き、この3作品で新作アニメの上位層を形成した。

また、『BanG Dream! Ave Mujica』は2週前に6.5というスパイクを記録し、1週前に5.2と一時的に落ち着きながらも、初週には15.7へと再び伸び、TOP10入りを果たしている。

新作アニメTOP10作品は、それぞれ異なる要因によって高い注目度を獲得しており、主な要因として以下の5つが考えられる。

一つ目は、原作メディアの強みを活かした展開だ。『SAKAMOTO DAYS』や『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』といった人気漫画雑誌での連載作品は、放送前から安定した注目度を獲得している。強力な原作メディアを持つ作品は、アニメ化時点で既に確固たるファン層を確保していることが分かる。

2つ目は、戦略的な広告や宣伝施策だ。放送開始に向けた効果的な広告展開も、注目度向上の重要な要因となっている。特に『SAKAMOTO DAYS』は、放送直前のX(旧Twitter)広告や新宿での大型ピールオフ広告などで、段階的に注目度を引き上げることに成功している。

3つ目は、話題性の高い楽曲による注目度の獲得だ。作品の印象を左右する音楽面での仕掛けも、大きな効果を発揮している。『悪役令嬢転生おじさん』は松平健の「マツケンサンバⅡ」という意外性のある楽曲選択で話題を呼び、初週27.4という高い注目度を記録。

4つ目は、豪華声優陣の起用効果だ。『天久鷹央の推理カルテ』では、佐倉綾音や小野賢章といった人気声優に加え、水樹奈々、立木文彦などのベテラン声優を配置し、幅広い層に向けた訴求力を高めた。

5つ目は、独自の作品性による差別化だ。斬新な設定や独創的な展開も、作品の注目度を押し上げる要因となっている。『ババンババンバンバンパイア』は吸血鬼と銭湯という異色の組み合わせで話題を呼び、『全修。』はアニメ業界を舞台にした異世界転生という新規性と、過去の名作アニメへのオマージュを効果的に織り込むことで、アニメファンの興味を引くことに成功している。

2025年冬アニメの新作TOP10作品は、それぞれが複数の要因を掛け合わせることで高い注目度を獲得している。今後は放送の進行とともに視聴者の評価や口コミも加わり、さらに注目度が変動していくと予想されている。

(C)全修。/MAPPA
(C)BanG Dream! Project
(C)つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
(C)鈴木祐斗/集英社・SAKAMOTO DAYS製作委員会
(C)久世蘭・講談社/「黒岩メダカに私の可愛いが通じない」製作委員会
(C)上山道郎・少年画報社/悪役令嬢転生おじさん製作委員会・MBS
(C)Anime Data Insight Lab