京成電鉄は、新型車両3200形の報道公開を1月24日に実施した。3200形は今年度中に営業運転を開始し、おもに京成本線で普通(各駅に停車)として運用予定。合併後の松戸線(現・新京成線)で、今後、旧型車両の置換えを3200形によって進めていくことも明らかにされた。
新型車両3200形は2024年度に6両1編成を導入。6両の内訳は先頭車3両・中間車3両となっており、今回は先頭車1両を中間に組み込んだ編成で公開された。車体はステンレス製(前面のみ鋼製)。今回公開した編成は日本車輌製造によるものだが、今後は日本車輌製造と総合車両製作所の2社体制で製造するという。「両社とも『N-QUOLIS』『sustina』というブランドがありますが、3200形はどちらにも該当せず、従来の車両と同じような製造方法でつくられます」と説明があった。
車両番号に関して、3100形は編成番号に続けてハイフンと号車を表記(第1編成は「3151-1」~「3151-8」)していたが、3200形の今回公開された編成は「3201」~「3206」と連番に。「この車両によって置換えとなる3500形も連番となっています。分割・併合を行う車両のため、ハイフンの付いた表記だと利便性を損ねてしまうからです」とのことだった。
来年度以降、3200形の具体的な導入予定については現在計画中だが、京成電鉄が所有する製造から40年超の車両を対象に置換えを進めるとしており、1972年から登場した3500形をおもな置換え対象として、計画的に車両の更新を進めていくという。
3200形の運行区間に関して、現在は6両編成までのため区間は限定されるが、おもに京成本線で普通として運用に入る予定。6両編成で走行可能な千葉線で運用に入る可能性もある。押上線での運用については、「いまのところ(押上線に)入る予定はありませんが、来年度以降、車両数が増え、8両編成が組成できるようになれば、そういった運用に入ることもあるのかなと思います。具体的な計画は未定です」とのこと。車両数が増えることで、優等列車の運用もありうるとしている。
京成電鉄は今年4月に新京成電鉄を吸収合併し、現在の新京成線(京成津田沼~松戸間)を京成電鉄「松戸線」として運行する。これに関連して、3200形が合併後の松戸線を走る予定があるか質問したところ、「松戸線での走行予定について、現在は未定となっております」と答えが返ってきた。
一方、松戸線用に3200形のような車両を導入する予定があるかという質問に対しては、「その予定です」「新京成線にある旧型車両の置換えも3200形で行う予定としています」との返答だった。新京成電鉄は新型車両として80000形を導入してきたが、合併後の松戸線で老朽化した車両を置き換える場合、今後は京成電鉄の3200形で車両更新を進めていくことになるようだった。
外観の「伝統」は踏襲、車内設備の「伝統」は廃止に
今回の報道公開では、車両の外観・内観見学に先立ち、車両概要の説明と質疑応答が行われ、3200形の各設備を紹介するパンフレットも配布された。当日の説明と質疑応答、パンフレット等をもとに、3200形の特徴と主要諸元についてまとめた。
3200形の外観は同社車両の伝統である青色・赤色のカラーリングを踏襲しつつ、絞りや折りを取り入れた形状、前面上部から降りてくるラインに合わせたシャープな形状の急行灯・尾灯など、3100形で採用したデザインも継承。連結運転時に常時通り抜けられる構造とするため、正面貫通扉を中央に配置した。編成車両数の変更をスムーズに行うために導入した電気連結器も特徴。車体の配色や正面貫通扉の配置などにより、3100形とは似て非なるデザインに仕上がっていると感じた。
一体化した急行灯・尾灯に加え、車外行先表示器もLED化。行先・種別等の表示だけでなく、種別を途中で変更する場合も案内を表示する。日本語・英語の2カ国語表示とし、一定時間で表示を切り替えるほか、省エネの観点から70km/h以上で消灯、65km/h以下で再表示する。
客室内のデザインも3100形をベースとしており、落ち着いた雰囲気の空間に。一方で3200形がおもに京成本線を走る車両であることをわかりやすくするため、座席表地の色も青色(一般席)と赤色(優先席)を採用した。シートの柄は日本を代表する花である「ソメイヨシノ」と「なのはな」をモチーフとしており、京成電鉄が運行する地域を想起させるデザインに。車両間の仕切り扉に貼付した衝突防止対策のフィルムもシートデザインと同じ柄とした。よく見ると、花の中に隠れる「京成パンダ」(京成グループのマスコットキャラクター)の姿も確認できる。
車内設備に関して、京成電鉄の既存車両と異なる特徴に「乗務員室後方にあった2人掛け座席と戸袋窓の廃止」が挙げられる。「従来の車両では、1人でも多くのお客様に着席していたただくため、乗務員室後方に座席を設け、前方の車窓をご覧いただけるようにしていました。3100形まで、この座席は当社の伝統とも言えましたが、3200形では搭載機器が増えた関係で乗務員室の拡大を余儀なくされました」「立席のお客様が少しでも快適にご乗車いただけるように、3100形のフリースペースでも実績のある手すりを兼ねた腰当を設置しています」と説明があった。
乗務員室は連結運転時に運転台・車掌台を扉で仕切り、乗客が通り抜けられるようにしている。地下鉄への直通運転も考慮し、このような仕様にしたという。運転台のモニター表示器はタッチパネル式を採用。先頭車を中間に組み込む編成に加え、車両数が増えた場合に先頭車同士を連結した編成で運用する場合もあるが、「先頭車同士の連結に関して、転落防止幌が付いていない代わりに注意喚起の音声を流すことにしています」とのことだった。駅に到着し、ドア開の操作を行った際、警笛から「車両連結部です。ご注意ください」と注意喚起音を流す仕様としている。