会社員として働いているけれど、将来は脱サラして自分でビジネスをしたいと考えている方は多いでしょう。脱サラで事業主になると、仕事を自分で選べる、自分のアイデアを活かせるといったメリットがあります。一方で脱サラは簡単ではなく、実現するまでにさまざまな準備が必要です。この記事では脱サラをするメリット、成功する方法、起業するのにおすすめの事業を解説します。

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脱サラとは

脱サラとは「脱サラリーマン」の略語で、会社員の方が退職して自分で仕事を始めることを意味します。1970年代の高度成長期に、会社を退職をして事業を始めた人が多く出たため、その時期に生まれた言葉とされています。

脱サラをして仕事を始める方法は主に2つあり、法人を設立すること、個人事業主になることです。法人は規模の大きいビジネスを推進でき、税金などの面でもさまざまなメリットがあります。個人事業主は小規模のビジネスを始めやすく、開業するのに手間や時間がかからないのがメリットです。

個人事業主となった後にビジネスが拡大し、法人を設立して事業を継承する「法人成り」を選択する方もいます。

脱サラをするメリット

脱サラをすることには、以下のようなさまざまなメリットがあります。

  • 自分で仕事を選べる
  • 自分のアイデアを商品・サービスに活かせる
  • 会社員より収入アップも期待できる
  • 人間関係に悩まされない

自分で仕事を選べる

脱サラをして自分でビジネスを始めるなら、当然自分で仕事を自由に選べます。会社員では部署や役割などを会社が指定するケースがほとんどで、必ずしも自分の希望どおりのキャリアになるとは限りません。

脱サラなら、どのような仕事を、どのような相手とするか、ほぼすべて自分で選択できます。自分が納得したうえで選択するため、選んだ仕事がどのような結果になっても、後悔しにくいでしょう。

自分のアイデアを商品・サービスに活かせる

仕事をしていたり他のビジネスを見たりしていて「もっとこうすればよいのに」と思ったことはありませんか?良いアイデアがあったとしても、会社の方針が第一に優先されるため、会社員では自分の創意工夫ができる範囲は限定されます。

脱サラなら、自分のアイデアを存分に活かして仕事ができます。自分のアイデアが世の中に広く受け入れられたり、革新をもたらしたりするかもしれません。

会社員より収入アップも狙える

事業主は会社員とは異なり、自分が受け取る報酬や商品の価格は自分で決められます。当然、買い手が受け入れられる価格にする必要はありますが、それでも会社員よりは価格設定の自由度は高くなるでしょう。

優れたサービス・商品を高い価格で販売できれば、会社員時代より多くの収入を得られる可能性もあります。

人間関係に悩まされない

会社の人間関係と無縁になることも、脱サラのメリットです。会社という組織に縛られることがなく、複雑な人間関係やしがらみもなくなります。ビジネス相手が自分と合わないと感じたら、次回からは仕事を断ることも可能です。

法人を設立したとしても、自分がトップとして従業員を選べますので、人間関係に悩まされる確率は低いでしょう。

脱サラをするデメリット

多くの会社員の方が憧れる脱サラですが、楽なことばかりではありません。以下の3つのデメリットはしっかり頭に入れておく必要があります。

安定収入が得られない

会社員であれば、毎月決まった日に給料が入ってきます。残業などによって多少変動することもありますが、大きく減るようなことはないでしょう。

脱サラをすると、得られる収入はビジネスの成否に大きく左右されます。ビジネスが軌道に乗るまで、収入が0円の状態が続くこともまったく珍しくありません。

すべて自分の責任になる

会社員として働く場合、自分が負うべき責任には限りがあります。たとえば1億円の契約を失ったとしても、それは会社の損失になるだけです。原則として担当の社員が1億円を負担する必要はなく、クビにならなければ給与も変わらず支払われます。

これに対して、脱サラをするとビジネスの結果はすべて自己責任になります。失敗した場合の損失を、誰かに補填してもらえるわけではありません。仕事を失ったら収入は途絶えるため、新たな仕事を獲得する必要があります。

社会的な立場が弱くなる

日本では個人事業主の立場は強くないのも注意点です。取引相手が大きな会社で、個人事業主を軽視する場合、取引で一方的に不利な条件を突きつけられる恐れがあります。

また、クレジットカードの入会やローンの審査も要注意です。これらにおいては、会社員や公務員のほうが有利であり、個人事業主では不利になることもあります。

脱サラで成功する方法

脱サラをするなら、ぜひとも事業を成功させたいところです。自分でビジネスをして成功させるなら、事前準備が欠かせません。

以下のポイントをしっかり頭に入れておきましょう。

  • 自分の能力を見極める
  • ビジネスモデルを考える
  • 収支の計画を立てる
  • 開業資金・生活資金を用意する

自分の能力を見極める

これまで会社員として勤めてきた経験から、自分の得意・不得意を何となくわかっている方もいるでしょう。脱サラで仕事をするなら、会社員時代以上に自身のスキルや能力を活かす方法を考える必要があります。

これまでの経験やキャリアに縛られる必要はありませんが、自分の強み・弱みを整理しておくほうが、どのような分野に進出すべきか判断しやすいでしょう。

ビジネスモデルを考える

脱サラをする前に、ビジネスモデルを考えておくことも重要です。事業内容、ターゲットとする顧客、自分の強みや他者と差別化する方法などを検討しましょう。

実際にビジネスを進めると、さまざまな課題も見えてくるため、ビジネスモデルは定期的に見直したり改善したりすることも必要です。

収支の計画を立てる

ビジネスモデルを考えると同時に、どの程度の売上がどのくらいの期間で得られるのかも確認しましょう。仕入れや在庫が必要なビジネスの場合、利益から差し引く費用も重要になってきます。

売上から費用を差し引き、十分な利益を得られそうかをチェックしましょう。

開業資金・生活資金を用意する

ビジネスによっては、まとまった開業資金が必要な場合があります。政府や民間では、開業を支援する補助制度など用意しているため、積極的に活用しましょう。

また、ビジネスが軌道に乗るまでは時間がかかることも多く、収入が非常に少なくなる時期もあります。その期間を乗り越えられるよう、開業資金とは別に生活資金を用意しておくことも大切です。

脱サラにおすすめの事業

ここからは、脱サラに向いている仕事や事業を紹介していきます。

ネットショップの運営

オンラインでの買い物をするのが当たり前となった今、ネットショップの開業も簡単にできるようになりました。以前はサイト構築やページ作成などでの知識が必要でしたが、現在は知識がなくても簡単にショップを開けるサービスが登場しています。

ネットショップは比較的低コストで開業でき、万が一失敗したときのリスクが小さいのもメリットです。また、注文が入るたびに発注する仕組みや注文を受けてから制作するスタイルなら、在庫を抱える心配もなくなります。

ただし、現在はあらゆる商品がネットで販売されており、競争は激しいです。価格競争に巻き込まれると売上や利益が減ってしまう恐れもあり、差別化するなど価格を維持する工夫も求められます。

プログラマー・ITエンジニア

会社員時代に培ったスキルを活かすなら、プログラマーやITエンジニアも脱サラしやすい仕事です。社会的なニーズは高く、個人で仕事を請け負って高い報酬を獲得している方もたくさんいます。

フリーランスのプログラマーやITエンジニアを対象として、案件を紹介してもらえるサービスも複数あります。独立したばかりで自分で仕事を獲得するのが難しい場合、活用するのもよいでしょう。

ただし、プログラミングの世界は日進月歩で、たえず勉強を続けていかないと世の中に追いつけなくなります。また、高い報酬を獲得できますが、その分成果物のクオリティの高さも求められますので、仕事を丁寧に仕上げることも必要です。

投資(株式・FX・暗号資産など)

株式などの投資も、脱サラの方法の1つとして人気があります。FXなどではレバレッジをかけることで、短期間に大きな収益を獲得できる可能性があるのもメリットです。

ただし投資は損失が発生するリスクが常にあるため、安定的に稼ぐのは難しいかもしれません。また、生活を支えられるほどの利益を出すには、多くの資金も必要です。

不動産投資

アパートやマンションを購入して、賃貸用に貸し出し家賃収入を得る投資方法です。会社員の副業としてポピュラーで、平日は会社員として勤めながら不動産投資で稼ぐ方も多くいます。

入居者がいる限り家賃は入ってくるため、老後の稼ぎ方としても活用できます。物件の管理・維持を管理会社に委託すれば、不労所得を手にすることが可能です。

ただし、会社員のほうが不動産投資ローンの審査に通りやすいため、会社を退職する前から実行する必要があります。空室リスク・災害リスクなど不動産特有のリスクもあり、対策を取ることも必要です。

フランチャイズビジネス

脱サラをするなら、フランチャイズビジネスも王道といえる方法の1つです。本部で開発した商品やサービスを利用してビジネスを行い、本部にはロイヤリティを支払います。

本部からの指導・アドバイスをもらえるため、経験のない初心者が始めやすいのもフランチャイズビジネスのメリット。フランチャイズビジネスを展開している主な業種は以下のとおりです。

  • 買取・リサイクル
  • 飲食店
  • コンビニエンスストア
  • 家事代行
  • 学習塾

ビジネスの安定性を重視し、できるだけリスクを少なくしたいなら、フランチャイズも有力な選択肢になるでしょう。ただし、フランチャイズは本部が定めるさまざまなルール・規制があり、自分ですべてを決めたい方には向いていません。