テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、10月27日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか ※同日は19:10~)の第41話「揺らぎ」の視聴者分析をまとめた。

  • 『光る君へ』第41話より (C)NHK

    『光る君へ』第41話より (C)NHK

藤原道長は激怒「信じられぬ」

最も注目されたのは19時35分で、注目度79.2%。敦康親王(片岡千之助)が暴走するシーンだ。

敦康親王が彰子(見上愛)に会いに藤壺に来た。敦康親王にとってここで彰子と共に過ごした日々は何物にも代えがたい宝である。「お文を頂戴し、いつでも来てよいと仰せいただきましたので、飛んでまいりました」敦康親王が彰子を慕う気持ちは今も変わらない。「いつぞやはおいしいつばき餅をありがとうございました」彰子の敦康親王を子として思う気持ちもまた、昔と変わることはない。「中宮様…お顔が見えませぬ」敦康親王が苦々しい表情でつぶやいた。御簾越しでしか会うことができない今の立場に、敦康親王は強く不満を感じている。

そばに控えていたまひろ(吉高由里子)と藤原行成(渡辺大知)は、敦康親王の言葉に警戒の色を見せた。「せっかく参りましたのに、お顔が見えねばつまりませぬ」敦康親王はさらに不満をあらわにする。御簾の向こうで彰子が戸惑っていると、「ご無礼つかまつります」と、御簾をめくり敦康親王はその中へと入り込んだ。「親王様!」敦康親王のまさかの行動に行成が声を上げた。「光る君のようなことはいたしませぬ。ただ…お顔が見たかっただけでございます」敦康親王は悪びれることなく無邪気に笑うと、彰子の緊張もほぐれた。まひろと行成は絶句したまま顔を合わせることしかできなかった。

事件を知った左大臣・藤原道長(柄本佑)は憤然と声を荒らげる。行成のとりなしも道長の耳には入らない。道長は「信じられぬ。敦康様が二度と内裏に上がれぬようにいたせ」と冷たく言い放つが、「さきの帝の第一の皇子であらせられます。そのようなことはできませぬ」と、行成は突っぱねた。「中宮様はこの先、国母(こくも)ともなられるお方。万が一のことがあっては、一大事だ」なおも自身の意向を貫こうとする道長に行成は、「恐れながら、左大臣様は敦康様から多くのことを、奪い過ぎでございます」と、毅然と諫言(かんげん)した。「敦康様が、お気の毒でございます」「お前は、私に説教するのか?」これまで意に反することのなかった腹心の反抗に道長はいら立ちを覚えた。「左大臣様がおかしくおわします。失礼いたします」行成は道長の恫喝にひるむことなく言い返し、その場を静かに立ち去った。

  • 『光る君へ』第41話の毎分注視データ

「寂しかったんだね」「狂愛じみている」と賛否

注目された理由は、敦康親王の危うい行動に視聴者がハラハラしながら画面を注視したと考えられる。

道長の意向で彰子藤壺から遠ざけられた敦康親王だが、中宮・藤原彰子への想いは募るばかり。まひろや行成がそばに控えているにもかかわらず、自分と彰子を隔てている御簾を越えてしまった。そして、彰子もそんな敦康親王を受け入れた。

この敦康親王の行動にSNSには、「敦康親王、久しぶりに彰子さまに会えると思ったのに、顔が見えなくて寂しかったんだね」「大胆な敦康親王の行動に胸がキュンとなった」「まだ12歳なんだから許してあげてよ」といった、同情的な投稿が多くアップされている。一方で「敦康親王の彰子さまへの愛がやばい。微笑みが無邪気ともとれるし、狂愛じみているともとれる」「御簾を越えてしまったのはやばい」といった、敦康親王をいさめるコメントもあった。敦康親王の道長に警戒される言動によって、まひろや行成など周囲に大きな波紋が広がりつつある。今後の展開が気になるところだ。

御簾は竹や草で編まれたすだれの一種。一般的なすだれと比べて、上質な材質が使われ、編み方も緻密に作られ豪華な見た目になっている。主に貴族の住居や内裏で使用された。部屋を仕切ったり、プライバシーを保つためだけでなく、室内の温度調整にも役立った。また、神聖な場所を区切ったり儀式にも使われていた。外界との境界線を引くことで、内側を清浄に保つ意味もあったのだ。それゆえに御簾を越えるという敦康親王の行動に道長は強い懸念を抱いたのだろう。