米労働省が2024年10月4日に発表した9月雇用統計の主な結果は、【1】非農業部門雇用者数25.4万人増、【2】失業率4.1%、【3】平均時給35.36ドル(前月比+0.4%、前年比+4.0%)という内容であった。
【1】雇用者数
9月の非農業部門雇用者数は前月比25.4万人増と市場予想の15.0万人増を上回った。製造業で僅かな減少が見られた以外は、医療・社会支援、飲食店、などサービス部門を中心に幅広く増加した。また、前2カ月分の雇用者数が合計で7.2万人分上方修正されたこともあって、雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は前月時点の14.0万人から18.6万人へと拡大した。なお、3カ月平均の増加幅は今年4月以降に縮小基調となっていたが、8月にひとまず底入れした形となる。
【2】失業率
9月の失業率は4.1%となり、2カ月連続で低下。市場予想の4.2%を下回った。フルタイムの職を希望しながらパート就業している人などを含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の7.9%から7.7%へと低下した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月から横ばいの62.7%であった。なお、失業率が2カ月連続で低下するのは2023年7月以来。今年7月の4.3%でひとまずピークを付けた可能性がある。
【3】平均時給
9月の平均時給は35.36ドルと前月の修正値35.23ドルから0.23ドル増加した。伸び率は前月比+0.4%、前年比+4.0%で、市場予想は前月比+0.3%、前年比+3.8%だった。前年比の伸び率は2カ月連続で拡大。4カ月ぶりに4%台に乗せており、鈍化基調は今年7月に一旦終了した可能性がある。
まとめ
米9月雇用統計は、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給がいずれも市場予想より良好だった。米国の労働市場が堅調を維持していることを示す結果となり、米10年債利回りは3.83%から3.98%へ急上昇。ドルは対円で145円台後半から148円台後半へと急騰した。なお、この米9月雇用統計を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の今後の利下げを巡る市場の見方が大きく変化した。発表前に30%台だった米金利先物が示す11月の「大幅利下げ(0.5%利下げ)」の確率は0%に低下。つまり、0.5%利下げの市場観測は完全に消滅した。11月は通常ペースの0.25%利下げに落ち着く可能性が高まったが、一方で「利下げ見送り(金利据え置き)」の確率も0%から10%台に上昇した。従来、11月の利下げ幅は0.25%もしくは0.5%になると見ていた市場は、米9月雇用統計が予想以上に良好だったことから、利下げは0.25%もしくは見送りになるとの見方に変更を迫られたことになる。