2023年10月の改正に続き、2024年6月もふるさと納税の改正が発表されました。今回発表された改正点のポイントは大きく3つです。

お得さの強調の禁止の厳格化

改正点の1つ目は、返礼品を強調した宣伝的な広告を禁止するというものです。具体的には「メガ盛り」「お得」「おまけ付き」といった、返礼品のお得さを強調した文言での宣伝広告が禁止されていますが、対象となる募集媒体にテレビやインターネットが追加されました。

ふるさと納税の本来の趣旨は、応援したい自治体に寄付をするもので、返礼品を目当てに寄付をするのはふるさと納税の成り立ちと異なるため、返礼品重視となっている方向性を修正するための改正となります。

とはいえ、返礼品から縁もゆかりもない土地(自治体)に興味を持ってもらえるチャンスでもあるので、募集をする側も現在禁止とはなっていない「訳あり」「支援」「不揃い」といったネガティブワードかつ、お得の意味合いがある文言で募集をする可能性はあるでしょう。

地場産品基準の改定

返礼品の産地に関する規制は2023年の制度改正から厳しくなっていたものの、まだ表示偽装などが行われていたため、返礼品の産地に関する規制も改めて厳格化されます。

元々、返礼品は地場産品とすること、という規定がありましたが、その自治体で生じた付加価値や関連性をより重視することが求められ、例えば宿泊施設や飲食券の利用券なども、同一県内で使えるものに限定されます。

(認められると考えられる例)

  • 区域内で同区域の首長の一日体験を行うもの
  • 当該地方団体が区域内で主催する花火大会の観覧
  • 当該地方団体直営の美術館、博物館等への入場(券)
  • 区域内で提供されるお墓の清掃サービス、雪下ろしサービス、見守りサービス

(認められないと考えられる例)

  • 区域内にある全国的に展開している飲食店における飲食
  • 区域内にある全国的に展開している美容施設での施術
  • 区域内を訪れず利用することができる宅配クリーニング

2025年10月からはポイントサイトでのポイント付与が禁止に

利用者への影響が最も大きく、今回の改正のなかでも一番話題となっているのが、2025年10月から適用される「ポイントサイトでのポイント付与禁止」というものです。

例えば、楽天ふるさと納税で寄付をした場合、これまでは寄付金額に応じて楽天ポイントも付与されていましたが、この付与がなくなります。ただし、クレジットカード等キャッシュレス決済の利用金額に応じてもらえるポイントの付与はこれまで通りです。

改正後のふるさと納税のお得な選び方

今回の改正を受けて、この10月までに急ぐ必要性は特に見当たりません。年内に上限を確認して、応援したい自治体へ寄付をするとよいでしょう。

返礼品としておすすめなものの1つは、「お米の定期便」です。この夏に不作や災害などもあって米不足で店頭から精米が消えたことは記憶に新しいですが、お米は家計を支える大切な食糧ですので、ふるさと納税の定期便を選んでおくと安心です。

その中でもねらい目は、北海道のお米です。元々、北海道は稲作には不向きといわれていましたが、地球温暖化の影響もあり、おいしいお米が採れるようになってきました。ただ、送料が高いため、他の自治体のお米と比べると、寄付金額が高かったり、量が少なかったりする可能性があります。

量を重視するのであれば、茨城県産などがおすすめです。夫婦2人であれば質のよいもの、食べ盛りの子どもがいる場合は量が多いもの、など生活に合わせて選ぶといいでしょう。

傷みにくい根菜類もおすすめ

最近値上がりしている野菜類もおすすめです。特に、にんじん、玉ねぎ、じゃがいもなどは価格の高騰が目立っており、カレーを作るのにも1000円かかってしまうような状態ですが、傷みにくい根菜類であれば、ふるさと納税の返礼品としておすすめです。

一方、キャベツなどの葉物類は傷みやすいため、注意が必要です。野菜の場合は、クール便で送る必要がなく、傷みにくい土がついた根菜などを選ぶようにするといいでしょう。

値上がりしている豚肉類もおすすめ

これまでは、お肉の返礼品と言えば牛肉でしたが、制度改正等でお得感が減ってきています。自炊の味方言えば豚肉の切り落としです。量の多い豚肉切り落としや豚小間肉を選ぶのもいいでしょう。ただし、肉類といっても、ハンバーグやソーセージなどの加工された肉製品の場合は注意が必要です。ふるさと納税の返礼品ランキングでもハンバーグやソーセージといった加工肉も人気ですが、ふるさと納税の場合は肉類の加工地が重要になるため、お肉自体がその自治体で生産されたものではなく、輸入肉の可能性があります。

その地方のおいしいお肉を選びたいのであれば、切り落としなど加工がされず、原材料そのままのものを選ぶようにしましょう。

こめ油や日用品などもおすすめ

オリーブオイルが値上がりしているため、加熱OKでオリーブオイルの代用品となるこめ油も人気です。また、災害も増えているため、トイレットペーパーやティッシュペーパーなど、備蓄品にもなる日用品を選ぶのもいいでしょう。

徐々に規制が厳格化されてきてはいるものの、ふるさと納税はまだまだお得に活用できるため、改正点をしっかりと押さえたうえで、自分に合った使い方をしていきましょう。