雑誌「ユリイカ」2024年10月号書影

ボカロP・いよわを特集した雑誌「ユリイカ」2024年10月号が9月27日に発売される。

いよわは「きゅうくらりん」などのヒット作で知られ、自身のイラストとアニメーションでミュージックビデオもディレクションするマルチクリエイター。再び最盛期にあるボーカロイドシーンで、ひと際複雑かつポップな音楽性で最先端を切り拓いている。

「ユリイカ」の特集には、いよわへのインタビュー、いよわとはるまきごはんの対談のほか、原口沙輔、フロクロ、入江陽らのエッセイ、名取さな、じん、煮ル果実、笹川真生、yuigot、TOOBOE、長瀬有花、しぐれうい、花譜へのアンケートなど多彩な内容を掲載。近年のボーカロイドシーンの様相を見渡しつつ、いよわ固有の作品世界に迫る。

雑誌「ユリイカ」2024年10月号 目次

特集*いよわ――「1000年生きてる」「きゅうくらりん」から「熱異常」、そして「一千光年」先…ボーカロイド文化の臨界点へ

インタビュー

止められない時間の感触 / いよわ 聞き手=Flat

ポップスの幽谷にて

ありがとう、全てのいよわ氏 / 原口沙輔
大いなるズレ / フロクロ

聞き逃されない断絶

DTM観点から「いよわ」を分析する / 横川理彦
いよわと、いよわたちの世界を裂くもの――DTM、グリッチ、インターネット / namahoge

対談

彼女の佇む余白 / いよわ×はるまきごはん

言祝がれる少女

足立レイと熱異常 / みさいる
腐りかけ、ピンクノイズ、already――いよわについてのダイジェスト / 言稿
物語の断片と、跳梁する言葉の影で――いよわ作品における物語の位相 / 岩倉文也

少女の肖像を廻って

潜む声、屍としての少女――『わたしのヘリテージ』の(メタ)フィクションを読む / 河野咲子
どこにクリエイトがあるのか――音楽のようなキャラクターの〈いのち〉(アニマシー)/ 松浦優
さようなら、「セカイ」――「バベル」から見える女性の自分語りの不可能性 / 角野桃花

イラスト・マンガ

本当に誰を描こうか悩んだよ、いよわガールズサイコウ~ / ぬくぬくにぎりめし
ウンコ人間が一夜を生き延びるための冷たい速度 / ナクヤムパンリエッタ 

無限のパズル

ボカロ、暗号、いよわ――考察・歌ってみた・寄り添い / 木澤佐登志
いよわと考察の美学――〈明らかに行方不明なペルソナ〉といよわ化する考察者たち / 難波優輝
レイヤーとキャラクター――いよわのアニメーションについて / 米原将磨

アンケート

いよわさんへ / 名取さな・じん・煮ル果実・笹川真生・yuigot・TOOBOE・長瀬有花・しぐれうい・花譜

ボーカロイドシーンの現在

多様なボカロ曲――いよわを通して見るシーンのバラエティ / Flat
なぜボカロとヒップホップは交わらないか / つやちゃん
合成音声音楽のオルタナテイブを見つめて / しま
VOCALOIDはじまりの地・ニコニコ動画――一蓮托生に歩んできた一七年間の興隆を紐解く / 曽我美なつめ

音との邂逅

いよわさんの胃のヨワさ――ツヨさ、ひとりで部屋で楽器を弾く営みについて / 入江陽
和合と解放のアニミズム / スッパマイクロパンチョップ

声の行方

合成音声と「声の民主化」 / ヲノサトル
声という迷宮――人工音声をとおして考える〈声〉の哲学序説 / 佐近田展康
いよわの惑星――合成音声の化石化はいかにして(不)可能となるか / 青島もうじき

資料

いよわディスコグラフィ / 栞にフィットする角

忘れられぬ人々*36

故旧哀傷・平井啓之 / 中村稔

ホラポロ / 齋藤岳深

今月の作品

碧はる・河上蒼・佐藤帆菜・岩垣四九 / 選=井坂洋子

われ発見せり

世界は広くて、地球は丸いらしい / 胡弓かなた

表紙・目次・扉……北岡誠吾
表紙・扉イラスト……いよわ