いよいよ残り2週となった連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)。このたび脚本を手掛けた吉田恵里香氏にインタビューし、尾野真千子の語りの魅力や作品に与えた影響を聞いた。
連続テレビ小説(朝ドラ)第110作となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにした主人公・佐田(猪爪)寅子の人生を描く物語。伊藤沙莉が寅子を演じている。
尾野の語りは、寅子の気持ちを代弁したり、視聴者目線でツッコミを入れたり、物語を彩る大きな役割を担っているが、吉田氏は「尾野さんに決まってすごくうれしくて、語りの幅が広がったなと思って書きました」と尾野に全幅の信頼を寄せている。
そして、「『スンッ』『む』『はて?』『おやおや』などの短い言葉に尾野さんが込められる感情が素晴らしい」と絶賛し、「『虎に翼』においては、今怒っていいんだよ、今こう思っていいんだよといったナビゲートをする役割も語りは担っているので、尾野さんが短いセンテンスで視聴者の方をナビゲートしてくださるので、すごく楽になったし、作品が題材的にどうしても暗くなりがちなのが、明るくポップなものになっているのは、語りの力が大きいなと思っています」と語る。
さらに「尾野さんだったらこの短い説明でもいけるなとか、逆にこの長いセリフも尾野さんだったら聞いていられるなと信頼度が上がりました」と述べ、「題材的にどうしても説明しないといけないことが増えていくので、そこの不安感がなく書けたのはすごくありがたかったなと思っています」と感謝した。
第1回の冒頭から尾野の語りに託されたものは大きく、日本国憲法第14条について書かれた新聞を読む寅子の後ろ姿とともに、語りで憲法14条が説明された。
吉田氏は「『こういう朝ドラですよ』と、視聴者に挨拶をするのが第1回の冒頭だと思っていたので、そこで憲法を読むのは避けようがないというか、『虎に翼』においてはやらないといけないことでした。尾野さんのナレーションはメリハリがあって、第1回と第2回でも語りの雰囲気が違い、演じ分けが素晴らしかったので、安心して14条も読み上げていただけました」と語っていた。
1987年11月21日生まれ、神奈川県出身。脚本家としての代表作はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『花のち晴れ~花男 Next Season~』『君の花になる』、映画『ヒロイン失格』『センセイ君主』『ホリック xxxHOLiC』など。小説『脳漿炸裂ガール』シリーズは累計発行部数60万部を突破するなど、映画、ドラマ、アニメ、舞台、小説等、ジャンルを問わず多岐にわたる執筆活動を展開している。ドラマ『恋せぬふたり』で「第40回向田邦子賞」を受賞した。
(C)NHK