――美容部員を演じるに当たり、メイクアップを施すシーンは相当練習したそうですね。
奥野:そうですね。タッチアップ(※肌に直接スキンケアやメイクを行うこと)のシーンは、手の寄りの画も吹き替えなしで全部僕たち自身でやっているので、そういうちょっと細かいところにも注目していただけたらと思います。
――手のケアも結構されたのですか?
豊田:ハンドクリームは塗っていました。手が女性の顔の近くに寄るので、「臭うな」と思われたら申し訳ないので(笑)
――今回習得したメイクアップの技術が、プライベートなどで生きることはありそうですか?
奥野:なかなかないですね。プライベートではメイクしないしなあ(笑)
豊田:そうだね。でもメイクの見方が変わって、女性がメイクをして外に出るということがどれだけ大変なのかというのが、身をもって感じられたと思います。
奥野:「メイクって素敵なんだな」と改めて知ることができたのが、経験として大きかったですね。
――よくメイクによって見た目だけでなく、内面も変化すると言いますよね。
奥野:まず、みんなメイクしたら表情が変化しますね。僕らもそうなんですけど、スタジオに入ってくる時の顔と、メイクアップが終わった後の顔は、全然違うと思います。パッと明るくなるというか、僕の中で一つのスイッチになっているところもあるんです。
――女性のメイクの待ち時間があったりすると、男性側はつい「早くしてよ」とか、褒め言葉のつもりで「そのままで十分だよ」と言ってしまいがちですが、女性の気持ちとしては、もっときれいになって歩きたいということなんでしょうね。
豊田:だから、これからはメイクの待ち時間も寛容になれるかなと思います。
奥野:僕はそもそも「早くしてよ」と思わないんで(笑)
キスシーンで相手に対する気持ちは男女同じ
――そのほか、今回の撮影で印象に残るシーンはいかがですか?
豊田:最初のキスシーンの撮影は、「この距離感で大丈夫かな?」とか2人で話し合えたので、結構些細な動きを決めて臨むことができました。
奥野:最後に撮ったキスシーンは、もう少しでクランクアップというところで、監督が何を思ったのか全然OK出してくれなくて(笑)。僕たちすっごい長い間、キスしてたので、カットがかかった瞬間に2人で「長いわ!」って言いました(笑)
豊田:「あれ? まだかな?」ってなってたもんね(笑)
――やはり異性と同性で、キスシーンへの臨み方は変わりますか?
奥野:僕はあんまり変わらなかったですね。キスシーンとなると、やっぱりドキドキするし、緊張するし、相手に対して「大丈夫かな?」っていう気持ちも、男女変わらず一緒でした。
豊田:ものすごく違うものなのかなと思っていたんですけど、意外とそんなこともなく、やっぱりしっかりエチケットをするし、気を遣うし、いいものにしよう、きれいなものにしようと思って入りました。ただ、同性だとディスカッションをしやすいというのがありました。監督に「首の角度をここでもうちょっとこうしたほうがいいかも」と言われたら、「じゃあ、僕はこうするから、こうして?」って言いやすかったです。
奥野:距離の詰めやすさが全然違いますね。やっぱり女優さんのほうが、連絡先一つ交換するにしても「大丈夫かな? 嫌じゃないかな?」と心配するんですけど、男だったら普通に「メシいきましょ!」って感じでフランクに距離が詰められるので、そこはすごくありがたかったです。
――距離感や親密さという面では、男女で演じるよりもリアルに映っているかもしれないですね。
豊田:そうですね。よりきれいに映っていると思います。
・奥野壮
ヘアメイク:牧野裕大
スタイリスト:鍛冶古翔三
・豊田裕大
ヘアメイク:速水昭仁
スタイリスト:杉浦優