阪急電鉄とJR東日本は、鉄道技術分野での協力を強化するとともに、互いのノウハウを共有することを目的に、7月26付で覚書を締結したと発表した。

  • JR東日本が用いているATACS(無線式列車制御システム)

両社は協力強化の目的について、幅広い鉄道技術分野で協力し、新しい技術を導入する際の仕様共通化をめざすことで、「スケールメリットを活かした開発コストの低減や設備導入のスピードアップ」が図れると説明する。

これまで両社は、それぞれの視点から鉄道技術分野での進化を図ってきた。阪急電鉄は「利用者の安全」「安心・快適な鉄道利用」といった観点から、全駅へのホーム柵設置や全車両への車内防犯カメラ設置の推進、より安全性・安定性の高い信号保安装置の導入に向けた検討を行っている。少子高齢化等に備え、安全性を向上させた上でのワンマン運転実施など、さまざまな取組みも推し進めている。

一方、JR東日本グループは利用者視点の輸送サービスやSDGsを意識した鉄道運営、社員の働き方改革をめざし、最新技術の活用による首都圏の輸送システム変革に力を注いでいる。具体的には、ATACS(無線式列車制御システム)の導入とATO(自動列車運転装置)の高性能化で、輸送安定性の向上と需要に応じた柔軟な運行をめざしている。首都圏の主要線区でワンマン運転やドライバーレス運転の導入に向けた開発も進めている。

  • JR東日本の乗降確認モニター

  • 阪急電鉄の可動式ホーム柵

今回の協力強化を通じ、少子高齢化、ライフスタイルの変化等で社会環境が変わっても持続可能な輸送サービスの提供をめざし、「新たな時代の鉄道事業の創造」に取り組むとしている。