Snow Manのラウールが3年ぶりに単独主演を務める映画『赤羽骨子のボディガード』(8月2日公開)。丹月正光氏が『週刊少年マガジン』で連載中の同名コミックスを実写化した今作で、殺し屋に命を狙われる幼なじみ・赤羽骨子(出口夏希)を守るために3年4組でボディガードとして体を張って奔走する、金髪のヤンキー高校生・威吹荒邦をラウールが好演している。

インタビューでは、荒邦の役作りや約1カ月の準備期間を経て挑んだアクションシーンについてのほか、アイドル以外にモデル・俳優としても活躍するラウールが表現するうえで大事にしていること、守りたいものを語った。

  • ラウール(Snow Man) 撮影:島本絵梨佳

威吹荒邦は「ピュアの塊」「愛されキャラ」 役作りで喉がカラカラに

――『ハニーレモンソーダ』(21)以来3年ぶり、2作目の映画単独主演となります。

こういうコミカルな作品は楽しいし、もしかしたら自分に合ってるのかもと思いました。現実世界になかなか溶け込めない系のアイドルをやらしてもらっているので(笑)、現実離れした世界観が自分には合っているなと感じられました。

――金髪姿のヤンキー・威吹荒邦を演じましたが、ラウールさんから見た荒邦はどんなキャラクターでしょうか?

ピュアの塊というか、喜怒哀楽の全部が顔に出るようなタイプ。ヤンキーと聞くと怖いイメージがありますが、映画の最初からかわいさを感じられるぐらい少し抜けてる部分もあります。でも、好きな相手を守る気持ちはアツく、とにかく愛されるキャラクターの代表的な要素が詰まっているなと思いました。

――特に骨子の前では、恋する少年のようなかわいらしい姿も見ることができました。

骨子を守っていることをバレてはいけないというミッションもありながら、荒邦は骨子への恋心も隠すんです。そういうところは年相応なかわいらしさがあるなと。好きな人の前で自分を大きく見せたいんだけど、それが全部丸わかりになってしまっているところも愛おしいです。

――一方でヤンキーらしく凄む場面では、声もかなり低くして演じていました。

実写化ということで、映画を観る人が原作を読んで脳内で再生していた声に近かったらいいなと思っていて、僕も原作を読んだときに荒邦の声を想像して自分の脳内で思った荒邦の声を再現してみました。喉を使う発声だったので喉がカラカラになりました(笑)。

1カ月を準備に費やしたアクションシーン「感情を大切に」

――そういった役作りとともにアクションシーンにも挑戦されています。

体力勝負な現場でしたが、まぁ20歳だったので……(笑)。いちばん元気なときにこういう作品ができてよかったなと思います。約1カ月のアクションの稽古があったんですが、他の仕事もやりながら、頭の中には常に『赤羽骨子』のことがありました。アクションシーンに向けて準備や練習をしていっていたんですが、撮影現場はテンポ良く進んでいったので、常に瞬発力が求められていました。それも若さで乗り切りました! 若いことだけが自慢なので!(笑)

――加藤プロデューサーにお話を伺った際にラウールさんのアクションを「決まりがいい」「受けがうまい」と絶賛されていました。体を操るという点でダンスとも共通点がありそうですが、ダンスの経験が活きた場面はありましたか?

表現という部分は共通点だと思いますが、動きは共通しない部分の方が多かったです。むしろ自分のダンス的な動きの癖がよく働かなかった分、抑えたりすることも。ただ、表情や感情の部分はこれまでの経験が活きた瞬間はありました。

練習は練習としてしっかり集中して取り組んだのですが、荒邦は本能的にがむしゃらに立ち向かっていくキャラクターなので、本番では次の手を考えすぎないように、アクションの順番だけ体に染み込ませて、あとは感情を大切にするように心がけていました。

――特に荒邦はアクションシーンも多く、様々なキャストと対峙する機会もあったかと思います。

ここでもやはり瞬発力が大事だなと思いました。相手の動きをよく見ないと、いい場所にもらえなかったりするので、集中してやってました。特に土屋太鳳さんとのアクションシーンは手数も細かく多かったので、受ける僕が土屋さんがやりやすいようにいい位置でもらうことを意識していました。

唯一のこだわりは“表現”「とにかく準備に時間をかける」

――表現という言葉もありましたが、アイドルや俳優、モデルとして活躍するなかで表現におけるこだわりはありますか?

表現するということは僕が唯一こだわる部分です。プライベートでこだわりがゼロな分、こだわりが仕事の方にきているのかなと思います。具体的に言うと、とにかく準備に時間をかけるというところを意識しています。自分がどういう出で立ちで行くのかという部分から、心の持ちようまで。芸を見せるのであれば、とにかく周りの誰よりもその練習に時間をかけるということは大事にしています。

――そんなストイックなラウールさんですが、自分がストイックだと思うときはあるのでしょうか?

自分がストイックだとは全く思わないですが、目指してるところはストイックな要素がないと難しいのかもしれないです。それが条件みたいなところもあるので、必然的にストイックな行動を取っているだけな気がします。ゴールを設定するときだけはすぐ大口を叩いちゃうので、後で苦しむ……いつもそんな感じです(笑)

――先日、フランス・パリでモデル事務所をご自身で探したりと、ラウールさんからは自らチャンスをつかみにいく姿勢・意志の強さを感じます。

自分で分析すると、いまは余裕がある時期で挑戦するタイミング。21歳なので失敗し放題というか……10年後になったら、めちゃくちゃ弱腰かもしれない(笑)。だからそういう性質があるかはわからないですが、今はただ挑戦する価値が高いんだと思います。Snow Manのメンバーにもいい刺激になったらいいなと思います。

ラウールが“守りたいもの”とは

――なるほど。今回ボディガードを演じたことにちなみ、最近体を張ったことはありますか?

最近は全然体を張ってないんですけど、この作品の準備期間はずっと体を張っていたイメージ。撮影期間中にダンスの大会があったり、その少し前に一人のステージをやっていたり毎日何かしら練習をやっていた時期があって。そのときは体がボロボロでした。

――そういった色んなお仕事が重なるときのマインドセットはどうされていますか?

僕は基本的に切り替え上手なタイプだと思ってはいるんですが、このときはこういう気持ちが大事とか文字にしたりすることが多いです。いろんなことがごっちゃになってくると境目がよくわからなくなってくるので、その仕事に対するテーマを文字にしたり、その仕事のために必要な準備をメモしたりすることが多いかもしれないです。

――また、今作では“守る”ということが1つのキーワードになっていると思いますが、ラウールさんが“守りたいもの”は何でしょうか?

エンターテインメントという常に賛否両論にさらされる世界で生きてる分、きつい瞬間を抱えている人も多いと思います。なので、そういう人が近くにいたら必ずメンタルサポーターになれる働きかけができたらいいなと思っています。

――それは、いちばん身近な存在であるSnow Manメンバーにとっても、そういう存在でありたいということでしょうか?

そうですね。僕は自分の中で解決することの方が多かったりするんですけど、それをやろうと思ってもできない人も多いと思います。自分がやってもらったらうれしいなと思えることを、メンバーや同業の方にしてあげたいなと。僕自身も救われた経験がたくさんあります。

「こういう時、きついよね」とか「こういうこと言われたらショックだよね」とかって、自分たちがお互いに一番わかっている。逆にそれに対する考えは自分たちが持っているものでもあるので、そこは補い合いながら活動しています。

――最後に、3年4組の生徒は司令塔や空手家など、能力にあった様々な肩書きを持っていますが、もしラウールさんが3年4組に入るとしたら、肩書きは何を付けますか?

「ヒロイン」! 僕はメンバーもみんな年上なので守られ系のイメージがあるのかなと。特殊な能力もないし、一番楽かなと思って……骨子ポジでいたいです(笑)。

■ラウール
2003年6月27日生まれ。東京都出身。2020年1月にSnow ManとしてCDデビュー。映画『ハニーレモンソーダ』(21)で映画主演を果たす。主な出演作は日本テレビ系ドラマ『簡単なお仕事です。に応募してみた』(19)、映画『おそ松さん』(22)など。主演を務める映画『赤羽骨子のボディガード』が8月2日に公開。 hair stylist:TAKAI スタイリスト:横田勝広(YKP)