ワーゲン初のスポーツカー、VW コラードとは[driver 1989年5-5号より]

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年5-5号の「VW コラード」を振り返る。

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

スペイン語のCORRER(コレール:走る、急ぐ)を語源とする車名を持つ、VW初のリアルスポーツカー「コラード」が、いち早く上陸。“Gラーダー”という独自のスーパーチャージャーでパワー倍増しているこのニューフェースを、筑波サーキットで実力チェック!

■ドイツ流スポーツカーの味

コラードは、ファミリーカーの傑作を生み続けてきたVWが手がけた初のスポーツカーだ。ただし、ドイツ人が考えるスポーツカーは、ポルシェの例でもわかるとおり、高性能であることはもちろん、実用性をかなり重視している。たとえばフェラーリのように、実用性よりもむしろ情緒性を大切にするといった傾向はない。コラードにしてもそうだ。

しかも、コラードにはVWならではのアレンジが加えられている。ズングリとしたスタイルはけっして挑戦的ではなく、VWファミリーの一員であることを主張。インテリアも同様で、そのままゴルフに組み込んでも違和感はないはずだ。

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走り始める前に、唯一スポーツカーを意識させられたのは、ドライビングポジション。サーキット試乗のためにヘルメットをかぶって乗り込んだところ、ヘッドクリアランスが少なく、頭がルーフに当たってしまった。そこでシートバックを倒しぎみにしたが、ステアリングやシフトレバーなどの位置関係が損なわれないのだ。腰かけスタイルにならない、スポーツカー的なポジションが得られる。

エンジンを目覚めさせる。1.8LのOHCはゴルフ用そのものながらGラーダーと呼ばれるVW独自のスーパーチャージャーを備えることで、最高出力160ps/5600rpm、最大トルク22.9kgm/4000rpmを発揮。アクセルを軽くあおってやると、その高性能ぶりの一端をうかがうことができる。真円にするとΦ60mmはありそうなだ円のテールピースからは、ブォンという低く図太いエキゾーストノートを響かせる。

〈文=萩原秀輝〉