ウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンアーク』が、7月からスタートした。「地球に迫る巨大怪獣の猛威と、これに対抗する巨大ヒーロー・ウルトラマン」というシリーズの基本的な要素を大切にしながら、豊かな「想像する力」を持つ主人公・飛世ユウマと仲間たちがさまざまな困難に立ち向かう、熱いドラマが打ち出されている。

ここでは、怪獣防災科学研究所「SKIP」の新人所員であり、ウルトラマンアークに変身する飛世ユウマを演じる戸塚有輝、そして地球防衛隊からSKIPに派遣された特別調査員・石堂シュウを演じる金田昇のお二人にご登場いただき、対談インタビューを敢行した。優しく前向きなユウマと、クールなエリートのシュウ。いずれもウルトラマンシリーズの主要キャラクターとして申し分のない存在感を有している2人が、今回の『ウルトラマンアーク』にかけた思いとは。同世代コンビによる、気さくな雰囲気を感じさせるトークをお楽しみいただきたい。

  • 戸塚有輝、金田昇

    左から戸塚有輝、金田昇 撮影:大塚素久(SYASYA)

飛世ユウマ役・戸塚有輝、石堂シュウ役・金田昇にインタビュー

――まずはお二人から、『ウルトラマンアーク』への出演が決まったときの心境や、役を演じる上での心構えをうかがえればと思います。

戸塚:子どものころから好きだった「ウルトラマン」の新作に出られる! という嬉しさは、とても大きかったですね。ウルトラマンシリーズは、僕が生まれるずっと前から続いていて、すごく長い歴史があります。その歴史に携わることができて、光栄に思います。役者としてまだ経験が浅いですから不安もありましたが、それでもネガティブにならず「大変だけど、やってやるぞ!」というポジティブさに気持ちを変換し、覚悟をもって撮影に臨みました。

金田:僕もシュウ役が決まったと聞いたときは嬉しい! という思いが強かったです。でも、あまりにも大きな出来事なので最初は実感がわかなくて、共演者のみんなや辻本(貴則)監督と顔合わせをして、撮影に向けてホン(脚本)読みをしていくうちに、だんだんと現実のものになっていった感じです。有輝も話していましたが、ウルトラマンという大きな存在に関わるにあたって、相当な覚悟と責任を感じながらやらなきゃいけないな、という思いが強まっていきました。

  • 戸塚有輝
  • 戸塚有輝

――ウルトラマンシリーズは昭和、平成、令和にかけて、何十年もの間に新作が作られていますが、お二人が印象に残っているのは、どのウルトラマンですか。

戸塚:子どものころ、テレビでウルトラマンシリーズを観ていました。その中で、ひとつ思い出深いエピソードがあるんです。よく父に連れられて図書館へ行き、映像資料を観るのが好きだったんですが、そこで観た『ウルトラマンA』の「ヒッポリト星人」が出てくる回(第26話「全滅!ウルトラ5兄弟」)がすごく衝撃的で、ずっと忘れられないくらい印象に残ってたんです。ウルトラ兄弟が次々に出てくるんだけど、ヒッポリト星人にやられてブロンズ像にされてしまう。まだ小学校に上がる前、幼児期の思い出なんですが、しばらくはヒッポリト星人が頭について離れませんでした。

――ウルトラ5兄弟が全滅してしまう「全滅!ウルトラ5兄弟」には、ウルトラの父が兄弟を助けに来る続編として第27話「奇跡!ウルトラの父」がありますが、そちらのご記憶はありますか?

戸塚:後編の記憶はあんまり残ってないんです。観たかどうかもはっきりしない(笑)。とにかく「ウルトラ兄弟がブロンズ像に変えられた!」というショックが大きくて……。あとはソフビのフィギュアが家にたくさんあり、ウルトラマンやバルタン星人で遊んでいた思い出も残っています。

金田:僕は『ウルトラマンコスモス』をテレビで観た思い出がうっすらあります。ウルトラマンは父親が好きだったので、おそらくDVDだと思いますが『ウルトラセブン』や『ウルトラマンタロウ』を家族でいっしょに楽しんでいました。

戸塚:僕も父がウルトラマン大好きでしたから、その影響もあったでしょうね。

ユウマ、シュウそれぞれ「役と似ているところ」は?

――『ウルトラマンアーク』でのユウマ、シュウの役柄と、見どころを教えてください。

戸塚:ユウマは幼いころ怪獣がらみの悲しい事件に遭遇し、それがきっかけになって「怪獣の起こす災害から人々を救いたい」という思いを抱き、成長した人物です。これが、ユウマがユウマとして存在する核の部分。正義感が強く、誰にでも優しい、まっすぐな目を持つキャラクターです。

金田:シュウはSKIPのメンバーではなく、地球防衛隊から派遣されてきた人物。優秀な経歴を持つエリートで、ユウマをはじめとするSKIPのみんなと一緒に行動をする一方、本当は何か別な目的を持っているんじゃないかという、謎の多いキャラクターです。ミステリアスなところがある反面、大のコーヒー好きで、コーヒーがないと取り乱したりする意外な一面があったりして(笑)。物語の中で面白い動きをするので、シュウにも注目してくださると嬉しいです。

  • 金田昇
  • 金田昇

戸塚:SKIPは調査・研究チームなので、地球防衛隊とは違って戦闘に重きを置いていません。ユウマを演じる上で、そういうところについてはかなり事前に考えをめぐらせました。普通の調査員の青年が、巨大な怪獣に立ち向かっていく。台本にはそれを「覚悟」という言葉で表現しているのですが、怪獣に対峙し、ウルトラマンアークに変身する、そこに至るまでの複雑な感情を、できるだけ漏らさないよう、変身シーンにユウマの思いを込めようとしました。

金田:変身アイテムの「アークアライザー」と「アークキューブ」、カッコいいよね。

戸塚:子どもたちがアークアライザーを手にして、変身ごっこをしてくれたら嬉しいね(笑)

――戸塚さんと金田さんが、それぞれの「役と実際とが似ているところ」を挙げるとすれば、どんなところですか。

戸塚:自分に厳しくストイックなところが、金田くんと石堂さんの似ている部分かな。でも、コーヒーが大好きな石堂さんと違い、金田くんはコーヒーが飲めないんですけど……。石堂さんのコーヒーのこだわりと同じように、歯磨きにこだわっていたりして(笑)。やっぱり金田くんと石堂さんには共通点がありますね。

金田:ヘンなところのこだわり方が似ているというのは、合ってるかもしれません(笑)

戸塚:一緒にお芝居をしながら、お互いに「ここが役と似てるなあ」って少しずつ発見していく、みたいなところがありますね。

金田:有輝とユウマだと、自分の考えていることがブレずにまっすぐ、というところが似ていると思います。最初に感じたり、学んだりしたことが、周囲に影響されて曲がったりしない。そういう芯の強いところが共通点ですね。

戸塚:僕自身、ユウマと似ているところなんてあるのかな~くらいに思っていたんですが、共演者のみんなからいろいろと言われているうちに、わりと似ているんだな、魂の共通点があるのかもと、考えるようになりました。

  • 戸塚有輝、金田昇

――ユウマとシュウの衣装についての感想、こだわりのポイントがあれば、聞かせてください。

戸塚:石堂さんといえばスーツですね!

金田:そうなんですよね。シュウを演じるときはずっとスーツ姿です。もしかしたら、家の中でもスーツのままでいるのかもしれません(笑)

戸塚:メガネもずっとかけたまま、みたいなイメージ(笑)。とても似合っていて、石堂さんのクールなキャラを強めていますよね。

金田:僕自身は視力がいいので、メガネはかけたことがないんです。このメガネも度が入っていない。でも、このメガネがよほどみんなの印象に残るのか、ときどきメガネなしで現場を移動していると、監督から「誰だかわかんないよ」って言われるんです(笑)

戸塚:わははは!

金田:それだけ、メガネが重要なアイテムだと思って、大切にかけていきたいと思っています。あと、スーツもふだんはそんなに着ませんから、最初の撮影のときはネクタイをうまく締められなくて、苦労しました。

戸塚:最初はそうだった。だんだんすぐに準備できるようになったんだよね。

金田:さすがに、何回もやっていると覚えます(笑)。現場に入る前はラフな格好なので、現場でスーツを着ていると新鮮な気分でした。

戸塚:ユウマの衣装で注目してほしいのは、ぜったいにワイドパンツをはいているところ。僕自身も動きやすいのでワイドパンツを愛用しています。だから私服で現場に入って、ユウマの衣装に着替えても、あまり変化がなくそのまんま、みたいなときもありました(笑)

――これから池袋サンシャインシティの「ウルサマ(ウルトラヒーローズEXPOサマーフェスティバル2024)」をはじめ、多くの子どもたちと接するイベントがあると思います。お二人もかつて子ども時代には、ウルトラマンが活躍するステージショーをご覧になったことがあると思います。このたび、観る側から出る側になったお気持ちを聞かせてください。

戸塚:今年初めのイベント「ウルトラヒーローズEXPOニューイヤーフェスティバル」で『ウルトラマンブレーザー』のショーを見学させていただいたんです。そのとき、こんなにたくさんの子どもたちがウルトラマンを信じ、熱く応援してくれているのを実感しました。ブレーザーに送られる子どもたちの声援を聞いていると、まるで僕(ユウマ)にその声が向けられているような気がして、すごく力がわきました。

金田:幼いころ、ヒーローショーを観に行った記憶はうっすらと残っています。たぶん、実家を探せば、記念写真もあると思います。あのころの僕と同じように澄んだ目をした子どもたちに会えるかと思うと、楽しみなところですね。

人として、ヒーローとして成長していく過程を見てほしい

――キャストのみなさんがお芝居をするドラマの部分と、怪獣やウルトラマンが活躍する特撮シーンは別々に撮影されていると思いますが、特撮の現場をご覧になったことはありましたか。

戸塚:撮影が始まったころ、特撮スタジオを見学に行きました。

金田:すばらしかったですね!

戸塚:特撮って、現実にはありえない風景をいかにして本当のように見せるか、というテクニックですよね。スタッフのみなさんが、道路脇に立っている木の一本一本の並びを気にしながら、セットを作り込んでいる。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、みなさんの仕事ぶりを観て、ほんとにそうだなって思いました。各エピソードそれぞれに、監督陣の特撮愛、ウルトラマン愛があふれ出ています。

金田:特撮スタッフの方々が全精力を傾けて、緻密かつ迫力のある映像を作っている姿を観ていると、僕らの出演しているドラマ部分もぜったいに気を抜くことはできないぞ、と改めて思いました。特撮のこだわり、すごい映像表現に応えられるよう、芝居を作っていかなくては、と痛感しました。

  • 戸塚有輝、金田昇
  • 戸塚有輝、金田昇

――『ウルトラマンアーク』テレビ放送、および世界同時期配信されますが、注目ポイントをぜひお聞かせください。

金田:撮影現場のなごやかで和気あいあいとした雰囲気が、画面ににじみ出ているような印象を受ける作品になりました。「想像の力」というキーワードにも、作品を通して何を想像し、何を信じるのか……というメッセージが込められています。いろいろな楽しみ方ができる要素が詰まった『ウルトラマンアーク』を、ぜひたくさんの人に観ていただきたいです。

戸塚:『ウルトラマンアーク』はユウマが人として、ヒーローとして成長していく過程を描いた作品です。いろんな怪獣、宇宙人、そして人間と出会って、ユウマがどんな風に変わっていくのか、そんな姿をお届けできたらいいなと思っています。どうぞお楽しみください!

■戸塚有輝
2000年3月14日生まれ、群馬県出身。ソニー・ミュージックアーティスツ主催の俳優発掘オーディションを経て、同事務所に所属。2022年、NHK大分発地域ドラマ『君の足音に恋をした』で俳優デビュー。2023年、九州大学卒業後に上京し、本格的に俳優活動を開始。映画『猫の記憶』(23年)やCM「リクルートR&Dスタッフィング」、テレ朝『あざと連ドラ』(23年)、MVなどにも多数出演。

■金田昇
2000年1月9日生まれ、北海道出身。2019年、第32回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのファイナリストを経て芸能界入り。俳優としてテレビドラマ『ここは今から倫理です。』(21年)、NHK大河ドラマ『どうする家康』(23年)や、映画『ビリーバーズ』(22年)などに出演。『ウルトラマンアーク』は初の連続ドラマレギュラーとなる。