札幌といえば海鮮を中心としたグルメ、雪まつりなどのイベント、すすきのなどの観光スポットが連想されるが、ここに加えてほしいのが、「日本新三大夜景」に選出された札幌の夜景だ。

2018年に北九州市、長崎市そして札幌の3都市が選ばれ、その中でも札幌は標高531mの藻岩山、標高307mの大倉山、160mのJRタワーなど、さまざまな高さから夜景鑑賞できるのが特徴となる。

そして今回、大倉山展望台リフトが7月1日~9月30日まで夏期夜間延長営業を開始するとともに、「Maison Mumm Champagne Lounge OKURAYAMA(メゾン マム シャンパン ラウンジ 大倉山)」キャンペーンなどもスタートさせた。

キャンペーンの内容とその狙いを紹介したい。

  • 札幌にある「大倉山展望台リフト」

極上の景色とシャンパンを楽しむ

同施設は「ホテルオークラ」創業者、大倉財閥二代目総帥の大倉喜七郎男爵が札幌市に寄贈し、1932年の開場時に「大倉シャンツェ」と命名されたジャンプ競技場。

1972年の冬季オリンピックに向けた大改修の際に「大倉山ジャンプ競技場」と名称が改められている。

標高307mにあるスタート地点の裏にある展望台からは、札幌市街や石狩平野の大パノラマを望めるのがポイントだ。

  • 札幌市街や石狩平野の大パノラマを望める

今回のキャンペーンでは、「リフトとシャンパンのお得なセット券」が用意され、夜景を楽しみながら「マム グランコルドン」を堪能できる。

1827年、シャンパーニュ地方の中心ランスで、ドイツのマム一族によって創業された名門メゾンマム。ヨーロッパ各国の王室に愛され、1904年に英国王室御用達のシャンパンに指定され、現在でも、G.H.マムはエリザベス2世御用達のシャンパンとして知られている。

夜景を眺めながら、王族愛用のシャンパンを楽しむ。これは得難い体験になりそうだ。この試みについて、展望台を運営する札幌振興公社で事業運営担当係長を務める北條貴大氏にその経緯を尋ねた。

「日本新三大夜景に選ばれた札幌ですが、少し南に『藻岩山 山頂展望台』があり観光スポットとして盛況です。そこで、藻岩山とは異なる価値や体験を提供できないかと試行錯誤し、今回はこのキャンペーンをご用意したのです」

藻岩山は山頂までローブウェイ。大倉山はペアリフトとあがり方に違いはあるが、確かに夜景や景色を楽しむという点では同じ。そこで別の付加価値を加えるのが狙いと言う。

また、昨今のオーバーツーリズム問題もあり、札幌市としてもできるだけ快適に夜景を楽しんでほしいという事情もあるのだろう。

なお他のキャンペーンとして、展望台行きリフト券を購入するとレッドブルが付く「レッドブルプレゼントキャンペーン」、イベントカーが登場しDJプレイで大倉山を盛り上げる「Red Bull Event Car 『EZZO』」、フォローして投稿すると、12月に開催される大倉山冬花火のVIPチケットがペア2組にプレゼントされる「SNSキャンペーン」なども用意されている。

世界唯一の夜景

まだ夜景が見える時間ではないが、筆者もリフトに乗り込み、展望台へあがってみた。

金額は、「マムグランコルドン」(1,600円/グラス、10,000円/ボトル)、「グラスシャンパン付リフトチケット」(各種リフトチケット+1,500円)となっている。

  • 展望台2階のラウンジ

展望台の2階のラウンジでシャンパンが提供。なおシャンパンは3階のデッキに持っていって飲むことも可能だ。

  • 王族愛用のシャンパンを楽しめる

夜景を眺めながら、ヨーロッパの王室に愛されるシャンパンを楽しむ。かなり贅沢な時間を過ごせるだろう。

北條氏は「市街地から5キロぐらいの近さにジャンプ台があるのは世界でも本当に珍しいです。通常は山奥に設置されるので近所にあるのは村程度なんです。ジャンプ台が飛行機の滑走路のように見え、まるで空に飛び出していくような迫力のある夜景が見ることができます。世界唯一の景色を楽しめると言えるでしょう」と太鼓判を押す。

明るい時間であっても、眼下に広がる市街地の景色と、その方向へ真っ直ぐ伸びるアプローチ(助走路)による「ここでしか見ることができない画」は圧巻の一言。ライトアップされる夜間は尚更だ。

  • 滑走路のようなアプローチが市街地へ向かう

  • 夜景ではその特徴が際立つ 提供:札幌振興公社

取材に同行した札幌在住のカメラマンは「藻岩山の夜景は何度か見に行ったが、ここは無かった」と言うので、札幌市民にとっても穴場の夜景スポットかもしれない。

運転のためアルコールは、という場合も問題ない。円山バスターミナルから競技場まで無料シャトルバスが期間中、ほぼ毎日運航している。

王侯貴族の気分を味わえる展望台。知る人ぞ知るこのタイミングがベストではないだろうか。