高度な英語教育を施したい、世界で活躍する人になってほしい、そんな思いから「インターナショナルスクール」に子どもを通わせたいと思う親は多いのではないでしょうか。

そもそも「インターナショナルスクールって日本人も入学できるの?」「学費はいくらかかるの?」など、興味はあっても知らないことも多いと思います。そこで「インターナショナルスクール」の基礎知識から、かかる費用まで最新情報をもとにお伝えします。

さらに、親の年収がいくらあれば、インターナショナルスクールに子どもを通わせられるのか。ここでは最低年収を試算してみたいと思います。

  • 年収いくらあれば子どもを「インターナショナルスクール」に通わせられますか?

インターナショナルスクールとは

インターナショナルスクールは、主に英語を使用して教育を行う学校であり、日本に住んでいる外国籍の子どもたちを対象とした教育施設として誕生しました。近年では、授業が全部英語で行われること、多国籍の子どもたちと仲良くなれることなどから、日本人の子どもの入学も増えています。中には日本人の生徒の方が多く在籍しているという学校もあるようです。

インターナショナルスクールの区分け

日本の幼稚園や保育園にあたるものが「プリスクール」、小学校から高校までの初等、中等教育にあたるものが「インターナショナルスクール」と呼ばれます。

インターナショナルスクールでは義務教育が受けられない

インターナショナルスクールは、日本において、法令上の定義や規定がありません。そのため、一部の学校は「各種学校」として認可は受けているものの、多くは日本人の児童が通っても、義務教育(15歳まで学校で教育を受けさせる義務)を受けたことにはなりません。そのような事情から、日本の学校に籍をおきながら、インターナショナルスクールに通う人もいます。

「国際バカロレア資格」が得られる学校も

インターナショナルスクールの中には、卒業生に「国際バカロレア資格」という国際的に認められる大学入学資格が与えられる学校があります。この資格は日本の大学入学資格にもなります。「国際バカロレア資格」があれば、海外の大学に進学するのに有利であり、また、日本の大学にも進学できるので、国際バカロレア認定校となっているインターナショナルスクールに通うのもよいでしょう。

インターナショナルスクールはいくらかかる?

さて、いよいよ一番気になる学費です。いくつかのインターナショナルスクールの公式ページから、2024~2025年度の学費を見ていきましょう。その上で、おおよその金額を試算していきます。

*セント・メリーズ・インターナショナル・スクール

<学費>
小学校:254万円(年間)
中学校:263万円(年間)
高校:268万円(年間)
<その他>
出願料:3万円(1回限り)
登録料など:90万円(1回限り)
施設費:15万円(年間)
スクールバス:42万円(年間)

*横浜インターナショナルスクール

<学費>
ELC(3歳~5歳):241万円(年間)
幼稚園~5学年:293万円(年間)
6~11学年:304万5,000円(年間)
12学年:313万5,000円(年間)
<その他>
出願料:3万5,000円(1回限り)
登録料:126万円(1回限り)
施設費:36万5,000円(年間)

*カナディアン・インターナショナル・スクール

<学費>
幼稚園4・5学年:220万円
1~5学年:245万円
6~ 8学年:260万円
9~12学年:270万円
<その他> 登録料:30万円(1回限り)
建築開発費:60万円(1回限り)
施設費:25万円(年間)

学校によって違いはありますが、大まかに年間200万円~300万円の学費がかかっています。学費のほかに、初年度に100万円程度、施設の維持費として年間15万円~35万円程度の支払いがあります。学校によっては、さらに、タブレット代や校外学習費用、カフェテリア代などがかかる場合があります。

インターナショナルスクールに通わせるには年収いくら必要?

子どもをインターナショナルスクールに通わせている人たちの年収は、2000万円とも4000万円ともいわれており、職業も医者や会社役員、実業家、芸能人など、所得が高い人たちが、子どもをインターナショナルスクールに通わせている印象です。まさに上を見たらキリがない世界です。

ここでは、「普通の会社員で子どもをインターナショナルスクールに通わせている」と考えて、インターナショナルスクールの学費をもとに、必要最低限の年収を試算してみたいと思います。

最低年収といっても、生活を切り詰めて子どもの学費に全振りするような家計状況ではなく、普通の生活を維持しながら、子どもをインターナショナルスクールに通わせている想定で年収を求めてみます。

●子ども1人をインターナショナルスクールに通わせるケース

子ども1人をインターナショナルスクールに通わせられる世帯年収を、家計収支をもとに計算してみます。

*教育費
年間の学費が250万円、施設維持費が20万円、その他に10万円かかるとして、年間の教育費を280万円とします。

*住居費
東京都内のインターナショナルスクールに通うと仮定すると、家賃は月18万円として、年間で216万円になります。

*その他の生活費
教育費と住居費を省いた生活費を総務省「家計調査・家計収支編・二人以上の世帯」の東京都区部の消費支出から求めると、約30万円になります。年間にすると360万円です。

*貯蓄
月10万円貯蓄できる状況にします。ボーナスでプラス30万円貯蓄すると仮定して、年間150万円を貯蓄に回します。

  • 【結論】インターナショナルスクールに通わせるために必要な最低年収

これらをもとに計算すると年間の総支出は856万円で、ここに貯蓄分を加えると、1006万円です。つまり手取りで約1000万円が必要となります。手取り1000万円は額面にするとおよそ1400万円~1500万円です。

必要な年収は1500万円! 共働きなら可能性あり?

最低年収の1400万円~1500万円は、子ども1人の場合の試算なので、子ども2人を通わせるとすると、1800万円~2000万円は必要となるでしょう。

年収1500万円を稼ぐ会社員は少数です。しかし、共働きで750万円ずつ稼ぐ夫婦なら、年収1500万円のハードルは随分と下がるでしょう。これなら「普通の会社員でも子どもをインターナショナルスクールに通わせられる」といってもいいのではないでしょうか。

ただし、あくまでも最低年収なので、実際は苦労することも多いと思います。特に周りの影響を受けやすい人は、お友達の家庭と比べて落ち込むことがあるかもしれません。そのくらい圧倒的お金持ちが多いのがインターナショナルスクールです。

グローバル化が進む世の中では、英語を身につけることで、子どもの選択肢は大きく広がります。英語教育に力を入れたい親にとって、インターナショナルスクールはとても魅力的です。そのために多少無理をしてでもインターナショナルスクールに入れたいと思うのは親心ですが、教育費の負担をどの程度まで許容できるか、家計状況を見ながら判断できるといいでしょう。