幼い頃、映画『タイタニック』を見て"街みたいな船があるんだな~"と、その豪奢な世界に魅了された筆者。なんと30歳を過ぎて、そんな別世界とも思える場所に飛び込めるチャンスがやってきた!
英国のラグジュアリー・クルーズ・ラインであるキュナード・ラインが客船「クイーン・エリザベス」のプレス向け乗船イベントを開催。今回特別に招待を受けその豪華絢爛な内部に潜入したので、みなさんにもその様子をお届けしよう。
フレームに収まりきらない! 巨大な客船へ
はじまりは、東京国際クルーズターミナルから。2020年9月に誕生した本ターミナルは、車で東京駅まで約25分、品川駅まで約20分で行ける海の玄関口である。
ターミナルに着く前からすでに見える豪華客船は、12階建て、全長294m、全幅32.3mと、その巨体はカメラのフレームに収まりきらない。乗客定員数も最大2081人、乗員数は980人とその乗船人数もまた桁違い。
早速、この巨大な豪華客船に潜入! といきたいところだが、実は今回のイベント、通常の取材とは異なっておりさまざまなセキュリティの観点からパスポート(または免許証)提出が必須。さらに、厳しいセキュリティチェックなどを終えて、ようやく乗船がかなった。
※客船はイギリス国籍のため海外扱いになる
船内とは思えない"贅沢な洋上体験"とは!?
2010年にデビューした「クイーン・エリザベス」は、英国女王エリザベス2世に命名され、この名を受け継ぐ3代目の客船だ。実際、船内の一角にはエリザベス女王の肖像画も飾られる歴史ある船となっている。
船内へ一歩足を踏み入れると、そこはまさにタイタニックの世界! 床にはじゅうたんが敷き詰められ、頭上にはシャンデリアがきらめき、重厚感と気品に満ちあふれた空間が広がる。
最初に目を奪われたのは、1階から3階までが吹き抜けになっているグランド・ロビー。船の中にいることを忘れさせるような、ダイナミックな造りに驚かされる。
また階段の中腹には、エリザベス女王の甥・デビッド・リンリー子爵によって作られた初代クイーン・エリザベスをモチーフにした寄木細工(よせぎざいく)が飾られている。きらびやかな空間の中、他とは違った木のぬくもりと風格を漂わせる作品がなんだかとても魅力的だった。
続いては、約800人を収容できるロイヤル・コート・シアターへ。本船は、劇団を抱えており、そのキャストたちによるショーやムービー上映が毎日シアターで開催されている。さらに、ボックス席(利用は有料)も設置されており、本格的なショー体験もかなうのだ。
目を引く場所と言えば、大人の遊戯場である「エンパイア・カジノ」は外せない。きらびやかなルーレットやスロットマシーンなど、闘争心を掻き立てるような心躍る空間が広がっている。
取材時は停泊している日本の法律が適用されるため、残念ながらカジノはオープンしていなかったが、一たび海上へ出てしまえば、華やかな遊び場へ多くのゲストが集まるという。
続いて、訪れたのは豪華客船と言えば!の"プールとジェットバス"。2カ所のデッキに設置され、プールサイドでは、シャンパンやハンバーガーなどの食事も楽しめる。
社交場である英国風パブ「ゴールデン・ライオン」も訪れておきたい場所。フィッシュ&チップスのおつまみやアルコール類片手に、スポーツ観戦や演奏を堪能できる。
そのほか、英国地ビール醸造会社と共同開発したキュナードオリジナルビールも3種類(ブラック・レッド・ゴールド)用意されているのでこちらもぜひチェックしてみてほしい。
そして、圧倒されたのが、クラシックなダンスホールを彷彿とさせる「クイーンズ・ルーム」。ダンスクラスを受講したり、生演奏を聴いたりしながら、ゆったりとした大人のひとときを過ごせる空間だ。
また、テーマにあわせて着飾る「ガラ・イブニング」では、タキシードやフォーマルドレスなどイブニングウエアを身にまとい、このクイーンズ・ルームでダンスを踊るなど、社交界のような雰囲気を満喫できる。
贅の限りを尽くした非日常空間はため息がでるほどだった。
仕事やフィットネスもできる! 充実設備
船内にはアミューズメント施設だけでなく、生活をする上で便利なスポットが多数用意されている。
読書はもちろん、テレワークする場所としてもピッタリだという「ライブラリー」。ここの本は寄贈によって成り立っており、英書をはじめ日本語の書籍も多数用意されている。ちなみに、船内では有料でWi-Fi利用も可能。洋上でも仕事やSNSの発信がかなうというから驚きだ。
遊びすぎて太ってしまいそう……と心配をしている人は、ジムで運動をするのがおすすめ。ここには専門のインストラクターもいるのでヨガをはじめとしたレッスンも受けられる。また、スパ(有料)やサウナで、運動後の疲れた体を癒やすのもよいだろう。
そのほか、子どもを預かってくれる夜間託児所や子ども向けのアクティビティも充実。年齢ごとに分かれたキッズエリアでは、子どもたちも充実した洋上体験を味わえる。ちなみに、日本ではリタイアした夫婦が船旅を選ぶイメージが強いが、海外では家族旅行の1つとして親しまれているそうだ。
個人的に興味深かったのが、シガー・ラウンジの「チャーチルズ」。元英国首相・チャーチルは、度々本船に乗っていたこともあり、葉巻好きの彼の名前を冠したラウンジが誕生したそうだ。なお、本ラウンジでは葉巻の展示・販売もされているので、大人のし好品を嗜んでみるのも一興であろう。
英国式のアフタヌーン・ティー体験
今回の乗船イベントでは、特別にイギリス伝統のアフタヌーン・ティーも体験させてもらった。毎日午後3時30分に海を望める場所にて、ピアノやハープ、バイオリンなどの生演奏とともに提供される。
メニューは、フィンガー・サンドイッチやセイボリーをはじめ、ジャムとクロテッド・クリームを添えた温かいスコーン、ケーキなどかわいらしいサイズの料理が登場。
特に印象的だったのが、外はふわふわ中はしっとりとしたスコーンと、デボンシャー産クロテッドクリームの組み合わせ。クリームの濃厚なミルクの味わいが、スコーンのおいしさをより一層引き立ててくれた。
意外に手頃!? 船旅の気になる価格って?
と、ここまで夢のような体験をお伝えしてきたが、きっと読者の中には、どうせ数百万かかるんでしょ?、数か月休まなきゃ行けないんでしょ? と思っている人もいるだろう。
そんな人も安心してもほしい。例えば日本周遊&韓国の9泊プラン(2025年3月29日~4月7日)であれば1室2名利用で1名当たり24万円~と予想よりもお手頃価格! 朝・昼・晩の食事代、宿泊費用、施設利用料(屋外プール、ジム施設など)、アクティビティ費用(シアター利用やステージショー参加など)が含まれているため、十分にお値段内で贅沢な洋上体験が楽しめる。
ちなみに、英語でのコミュニケーションが不安な人でも楽しめるよう、日本語をサポートするスタッフが常駐しているほか、配布物によっては日本語版もあるのだとか。
こんな至れり尽くせりの船旅プラン、今年の日本発着クルーズのシーズンは残念ながら5月で終了。だが、アジアやヨーロッパなどの海外クルーズは今年も実施しているほか、来年分の日本発着は公式サイトや旅行会社から直接予約ができる。
ぜひボーナスなどを使ってスペシャルな体験を手に入れてみてほしい。その夢のような時間が、あなたの人生を豊かにしてくれるだろう。