女優の上白石萌音が主演を務め、SixTONESの京本大我が出演するテレビ朝日のスペシャルドラマ『霊験お初~震える岩~』(5月4日21:00~)のキャスト8人が19日に発表された。
■宮部みゆき氏の「時代劇×ホラー」を上白石萌音で初映像化
現代ミステリーから時代小説、ホラー、SF、冒険ファンタジーまで幅広いジャンルでベストセラーを生み出す宮部みゆき氏による「時代小説×ホラー」を、「テレビ朝日×東映」のタッグで初映像化する同作。70年以上にわたって培われてきた京都撮影所の時代劇スタッフの技術と最新VFXを組み合わせて制作される。不思議な力=“霊験”を宿したヒロインの町娘を上白石が、その相棒となる“草食系”の与力見習いを京本が務め、ドラマ初共演の二人が凸凹バディを演じる。
物語の舞台は、江戸時代後期の享和2(1802)年、第11代将軍徳川家斉の治世。日本橋通町の一膳飯屋の看板娘・お初は、ある出来事をきっかけに“ふつうの人間には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえる不思議な力=霊験”に目覚める。その霊験を見込んだ南町奉行・根岸肥前守鎮衛の頼みで、お初は与力見習いの古沢右京之介とともに一度死んだ男がよみがえったという奇怪な“死人憑き”事件を調べることに。やがて“死人憑き”の犯行と思われる、連続殺人事件が発生。そして、さらなる謎がお初たちの前に。なんと約100年前、『忠臣蔵』の物語の発端を作った赤穂藩主・浅野内匠頭が切腹した庭に置かれた岩が、夜ごと鳴動しているというのだ。これらの謎は絡まり合い、次第に大きなうねりとなって『忠臣蔵』の奥底に秘められていた悲しくも切ない夫婦の物語へとつながっていく。
■坂東彌十郎・宮野真守らキャスト8人発表
歌舞伎俳優・坂東彌十郎が演じるのは、南町奉行・根岸肥前守鎮衛。彼は世間でささやかれる不可思議な奇談を収集し、『耳袋(みみぶくろ)』と名づけた書物にまとめたことで歴史に名を残した、実在の南町奉行だ。その素材集めにあたって、肥前守は霊験を持つお初に協力を依頼。サポート役として右京之介を引き合わせるが、なにやら2人の相性の良さを感じているようで……。不思議な力に目覚めたお初の苦悩を理解し、彼女の成長を温かく見守るよき理解者を、坂東が圧巻の存在感で立体化する。数々の作品で高い演技力を発揮してきた満島真之介が演じるのは、主人公・お初の兄で岡っ引きの六蔵。お初とは血のつながりがないものの、妹を大切に思う愛情深き六蔵は、お初と右京之介の捜査を力強く支えていく。
ベテラン・高嶋政宏は、右京之介の父で“赤鬼”とよばれるほど強面な吟味方与力・古沢武左衛門重正を厳かに演じる。彼と息子の右京之介の間には大きく深い溝が横たわっており、やがてその溝が思わぬ事態を引き起こすことに。倉科カナはこの世に怨霊として現れた浪人・内藤安之介の妻・りえ役を熱演。りえは100年前の真相を知る、唯一の女性。そんな物語の鍵を握る重要な役どころと、奇しくも同じ名前の子孫である大野屋の内儀・りえの2役を、倉科が丁寧に演じ上げる。
野波麻帆はお初の義理の姉で、一緒に一膳飯屋を切り盛りするおよしとして登場。明るく小気味よく物語を盛り上げる。そして、味方良介が死霊としてよみがえった100年前の元御家人・内藤安之介を、和田正人が100年前の謎の赤穂浪士・吉田沢衛門兼貞を演じ、2人の実力派俳優が時空を超えて出現する不思議な存在として物語に降り立つ。さらに、宮野真守は算額の研究者として放浪の旅に出た右京之介の叔父・小野重明役で出演。甥である右京之介に新たな視点を授ける小野を、やさしげな佇まいで表現する。
■坂東彌十郎(根岸肥前守鎮衛 役)コメント
以前、ラジオドラマで宮部みゆきさんの別の作品に出演させていただいたことがあり、独特な雰囲気が大好きだったので、今回も撮影を楽しみにしていました。私には悪人役のオファーが多いのですが、今回はお初と右京之介を見守る良き理解者という役どころでしたし、キャストのみなさまのお名前を聞いて一段と楽しみになりましたね。
いざ撮影となると緊張しながら現場に入ったのですが、最初から入りやすい空気が流れていて、なんだか不思議とみなさん昔からの知り合いみたいな気がしました。温かくて不思議な、ありがたい現場でしたね。幼少期に父の仕事の関係でよく訪れていた太秦に久しぶりに来ることができたのもうれしかったです。
この作品は人の心の温かさ、怖さがとてもよくわかる……。そして現代に通じる人と人とのつながりというものを感じました。少し怖い部分もありますが、ほのぼのとできる作品だなと思います。
■満島真之介(六蔵 役)コメント
僕は以前、宮部みゆきさん原作の時代劇『おそろし~三島屋変調百物語』(2014年/NHK)に出演させていただきましたが、今回は武士のように堅い役ではなく岡っ引きとして軽快に動き回っています。昔から時代劇は大好きで“人情あふれる役をいつかやりたい”と思っていたので、“ついにきたか!”と胸が躍りました。脚本には、僕がいつも考えている“人の心とは何なのか”が深く描かれていて、今の時代に届けたい言葉がたくさん詰まっています。
この作品は、「君は今、目の前にいる人とどう接するのか。どういう言葉をかけるのか。どういう想いでその人と過ごすのか」ということを問いかけているような気がします。僕らの世代は特にそうですが、電子機器と共に生きてきて、大人たちからの叱咤激励も含めて温かい言葉を“生”でかけてもらう機会が少なくなっている。そんな時代にこの作品が、過去現在、そしてこれから先に進みたい未来をもう一度見つめ直すいいきっかけになる作品だと思います。このドラマを見た後、目の前にいる人にやさしくなれる人が増えるといいなと願っています。
現場では、上白石さんと京本さんの撮影に向かう姿勢やスタッフさんとの関わり方から、お2人の素敵な人間性が開放されているのを感じて、すごく触発されました。撮影が後半になるにつれて、僕の熱いトークはちょっとずつスベりはじめたんですけど(笑)、最高のチームと出会うことができてとても幸せな時間でした。時代劇の面白さを、是非体感してください!
■高嶋政宏(古沢武左衛門 役)コメント
簡単に言えば霊能力少女の相棒のお父さんなんですが、そこにゾンビが現れたり、死霊に憑依されたりのストーリーにまず強く惹きつけられました。それを日本が世界に誇る東映京都太秦撮影所の現代世界最高の匠たちが撮るわけですから、今春最大のドラマスペシャルになること間違いなし! これを見逃すとあとで後悔しますよ〜。乞うご期待!
■倉科カナ(内藤りえ 役)コメント
今作は2役演じさせていただくということで、特に丁寧に紡いでいかなければと思い挑みました。この『霊験お初~震える岩~』に出会い、想いとはとても強いエネルギーを持つんだなと改めて感じました。特に伝えられずすれ違った想いは捻れ曲がり、禍々しくなることもある。生きているうちに、想いを伝え合いすれ違わないように、丁寧に生きていこうと思える作品でした。
また京都での撮影だったのですが、スタッフの皆さんが温かく、自然にその時代に入りこませてくれるプロフェッショナルさに改めて感動しました! みなさまぜひ『霊験お初~震える岩~』お楽しみください。
■野波麻帆(およし 役)コメント
岡っ引きの六蔵の妻で、お初の義理の姉となって一緒に一膳飯屋“姉妹屋”を切り盛りする、およしを演じさせていただきました。初日から火事のシーンだったのですが、本物の炎を使ったり、セットもカッコよく作り込まれていて、太秦の撮影所に来たぞ!! とテンションが上がったのを思い出します。
撮影は“姉妹屋”が主でしたが、旦那様役の満島(真之介)さんがムードメーカーで明るく笑いの絶えない現場でクランクアップの日もまだ皆とここにいたい! と思ったほど居心地の良い場所でした。また皆に会いたいな〜……。そんなホッとする姉妹屋は小道具などもとてもかわいいので、ぜひ隅々まで見ていただけるとうれしいです。
■味方良介(内藤安之介 役)コメント
『霊験お初〜震える岩~』に出演する味方良介です。役どころに関しては作品を観ていただいた方が早いかなと。とにかく人であって人でない役に出会えたことをうれしく思っています。
今回は特に自分ひとりの力では完成することないキャラクターで、撮影所にいる時間は大変でしたが、出来上がりがとても楽しみです。豊島圭介監督の創り上げる世界に今回の役で参加できると知ったときの喜びと緊張は今でも忘れていません。とにかく放送を観ていただいて僕の興奮を共有していただきたいです。
上白石さんをはじめとする共演者の方々の作品に向き合う姿勢はとても真摯で、刺激的でした。時代劇ではありますが、人間の情や思いは時を経ても変わらないものがあるんだなと感じられると思います。お楽しみに。
■和田正人(吉田沢衛門兼貞 役)コメント
お話をいただいた際、原作が宮部みゆきさんの、時代小説とホラーを融合させて描き上げた意欲作と伺いました。
「これは、東映京都さんの歴史と技術を詰め込んだ、スゴい化け物役を演じられるんじゃないか?」と、役者冥利に尽きる喜びを抱いておりましたが、それも束の間。いただいた役は、殺陣あり男気ありの、しっかりとカッコいい立ち回りを演じる赤穂浪士役。まさか、このような役柄を与えて頂けるとは思いもよらず、別の意味で、足がすくむ思いでした。
ひと味違う時代劇の面白さが詰まった、エンターテインメント作品となっております。ぜひ、お楽しみにして頂ければと思います。
■宮野真守(小野重明 役)コメント
このような形でオファーをいただける事に驚きを感じましたが、とても光栄でした。“時代劇”としてのドラマ出演はほぼ初めてですし、何より、“初の太秦”にドキドキしました。
上白石萌音さん、京本大我さんと共演できることがとてもうれしかったのですが、お2人も喜んでくれていたとお聞きして、幸せでした。限られたシーンではありましたが、お芝居を交わせたことがうれしかったですし、オフの時間でも、アニメの話だったり、「3人とも帝劇経験者だね」なんて言って盛り上がっていました(笑)。
僕が演じる小野重明は、京本さん演じる右京之介の叔父で、武家に生まれながらも、自分の生きる道を自分で決め、前に進む事ができる、精神力を持っている人です。右京之介にとっても、すごく大事な役割を担う人物なので、演じる上では身の引き締まる思いでした。そして、高嶋政宏さんとは、以前共演させていただいた舞台では“宿敵”の役だったので、今回“兄弟”の関係になれたのも、面白かったです(笑)。
時代劇でありながらもミステリーとファンタジー要素が絶妙で、僕自身、ワクワクが止まりませんでした。やはり宮部みゆきさんの作品はすごいなと、物語が進む度に、感嘆の息がもれました。時代劇、怪奇現象、推理・ミステリーが見事に融合しています! そして、ストーリー展開には考えさせられるものがあり、人間の奥深さも感じられる作品です。どうぞご覧になって、たくさんのものを受け取ってください!
【編集部MEMO】あらすじ
日本橋通町一膳飯屋“姉妹屋”の看板娘・お初(上白石萌音)は、岡っ引きの兄・六蔵(満島真之介)、ともに店を営む義姉・およし(野波麻帆)と3人暮らし。ある日、宴会の仕出しを頼まれ、とある武家屋敷に赴いたところ、火事に巻き込まれてしまう。荒れ狂う炎に飲み込まれそうになったとき、お初は突然、無数の黒い影に取り囲まれる。それは炎に焼かれて命を落とした人々の残留思念で、お初はあやうく道連れにされかけるが、黒い影の少女が逃げ道を示してくれたおかげで、逃げまどう人々を率いて無事、屋敷から脱出することができた。こんな不思議な体験は初めてのことで、お初は戸惑う。翌日、姉妹屋に年配の武家が訪ねて来る。彼は南町奉行根岸肥前守(坂東彌十郎)と名乗り、お初に奇談怪談の収集を手伝ってほしいと頼む。実は、肥前守はかねてから不可思議な出来事を書き記しており、前日の火事の現場で偶然、お初を目撃。お初には不思議な力“霊験”があることを見抜いたという。肥前守はさっそく“死人憑き”について調べてほしいとお初に依頼する。最近、深川で死んだはずの男が息を吹き返すという不可思議な出来事があったらしい。お初は肥前守からサポート役にと遣わされた与力見習いの古沢右京之介(京本大我)とともに死人憑き事件を調べはじめるが、右京之介はどこか頼りなく、お初はあきれてしまう。やがて“死人憑き”によると思われる、殺人事件が発生して……!? そんな中、肥前守のもとに不気味な情報が舞い込む。赤穂藩主・浅野内匠頭が切腹した屋敷の庭にある岩が夜ごと震えるという奇怪な現象が起きているというのだ。肥前守とともに現場に赴き、鳴動する岩に触れたお初。その瞬間、お初の目の前には100年前、白装束の浅野内匠頭が切腹する場面が広がり――。殺人事件と“死人憑き”、『忠臣蔵』と“震える岩”、2つの“謎”は大きくうねりながら、やがて思いもよらぬ結びつきを見せていく。