国土交通省中国運輸局は、スカイレールサービスから2023年12月15日付で申請のあった、広島短距離交通瀬野線(スカイレール)における軌道運輸事業の廃止について、軌道法第22条の2の規定にもとづき、2024年2月29日付で許可したと発表した。

  • 国内唯一のシステムを採用していたスカイレール(みどり口~みどり中央間)が廃止に

スカイレール(広島短距離交通瀬野線)はJR山陽本線瀬野駅(広島市安芸区)に隣接して設置されたみどり口駅と、瀬野駅北側の丘陵地に広がる住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」に設置されたみどり中街駅、みどり中央駅を結ぶ1.3kmの路線。現在、平日・土休日の日中時間帯に15分間隔または10分間隔で運行されるほか、平日夕方以降に5分間隔、平日朝に7~8分間隔となる時間帯もある。みどり口~みどり中央間の運賃は170円。

モノレールとロープウェイの技術を一体化したシステムを採用しており、高架のレールにゴンドラ型の車両(定員25名)を吊るし、ワイヤロープを引っ張って動かすという。三菱重工と神戸製鋼所が共同開発し、1998(平成10)年にみどり坂で初めて実用化されたが、同様のシステムで運行された例は他になく、今日に至るまで国内唯一の乗り物となっていた。部品調達の費用が重なり、赤字が続いたことを理由に、運営会社であるスカイレールサービスが運行終了の方針を示したと報道されている。

スカイレールの廃止予定日は2024年5月1日。前日の4月30日をもって運行終了となるが、最終日の運行はみどり口駅12時0分発(みどり中央行)、みどり中央駅12時0分発(みどり口行)までとなる。

  • みどり口駅とみどり中央駅の標高差は160mもあるという

なお、スカイレールが廃止された後の代替交通となるバス路線の新設について、運行事業者となる芸陽バスに対し、2024年2月29日付で認可している。中型EVバス(定員51名)を使用し、JR瀬野駅とみどり中街・みどり中央のバス停のみ停車する急行便と、団地内を循環する便を設定。運賃は大人200円・小児100円。3月30日のみどり中央発10時6分の便から運行開始する。