俳優の萩原利久が主演を務める読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『めぐる未来』(毎週木曜23:59~)が現在放送中だ。辻やもり氏による同名コミックを実写化する今作は、妻・めぐる(早見あかり)が結婚記念日に謎の死を遂げたことから、“過去に戻る病”を抱える主人公・襷未来(萩原)が過去へと戻り、死の真相に迫っていく考察型タイムリープサスペンス。
第1話放送前から話題となったのが、辻氏による原作のコマに、3人組バンド・アンダーグラフのボーカル&ギターで、大手企業のCMナレーションも担当してきた真戸原直人が声を当てたティザー映像。TVerで上位にランクインし続けるなど好評を博し、期待を集めるスタートダッシュを切ることとなった。今回はそんなティザー映像への思いや、辻氏が今作で描きたかった“夫婦の物語”、真戸原が考える今作の魅力について語ってもらった。
辻氏、自身の漫画の実写化に「現実なのかな?」
――まずは辻先生にお伺いしたいのですが、『めぐる未来』実写ドラマ化のお話を聞いたときの心境を教えていただけますでしょうか。
辻:「まさか自分の漫画がドラマ化するなんて」と驚きました。「ドラマになったらいいな」と想像しながら描いてはいましたが、その思いが叶うことになって、ずっと夢見心地というか。テレビで見ていても、「現実なのかな?」と不思議な感覚です。すごくうれしかったです。
――自分の描いたキャラクターたちが動いている姿を見て、いかがでしょうか。
辻:照れてしまうというか、どこか恥ずかしいです(笑)。なるべく視聴者目線で見ようと思ってはいるのですが、「この後、こんなことが起きるけど大丈夫かな」「頑張れ!」と見守るようなスタンスで視聴しています。
――Xのアカウントでは「連載当時は、尺的にも技術的にも漫画では描き切ることができなかった人物たちが、ドラマではしっかり描かれるので、今からとても楽しみです!」と投稿されていましたが、先生からドラマ制作側に、描ききれなかった部分のアイデアを伝えたりされたんでしょうか。
辻:具体的なアイデアを伝えたわけではありませんが、最初に「犯人探しやサスペンスに終始しない、“未来とめぐるの物語”を軸に作ってほしいです」と、お願いしました。漫画だとページ数との兼ね合いがあって、登場人物の感情や背景をすべて回収できなかったり、未来とめぐるに関しても、夫婦としての感情のやりとりをもっと描きたかったのに尺が足りなかったなと思っていて。ドラマの脚本を読ませていただいたとき、その部分をしっかり掘り下げていただけている印象を受けたので、良かったなと思っています。
真戸原「当たり前はない」と気付かされる作品
――真戸原さんは、『めぐる未来』ティザー映像のナレーションを担当されましたが、バンドのボーカリストとして活動されている真戸原さんが、ナレーションのお仕事のときに気をつけていることはありますか。
真戸原:普段はバンドのボーカリストとして個性を出していかなきゃいけないという生業ですが、ナレーションのお仕事では、映像の世界観を邪魔しないことを心がけています。そのときどきの映像でどんなトーンを求められているのか、意図をしっかり聞いて声を入れています。
――今回のティザー映像で苦労されたところは。
真戸原:日頃は関西弁で話しているので、イントネーションに苦労しました。「1月18日」というワードについて指摘されたのですが、僕を含め、現場にいた関西出身の方全員が、正しいイントネーションが分からなくて。最後までピンと来なかったので、正しい音程を暗記して、言われるがままに「1月18日」と言いました(笑)。
――ティザー映像を見たときの印象を教えてください。
真戸原:ドラマのティザー映像で漫画のコマを使っていることが、すごく新しいなと感じました。原作を大事にドラマを制作されているのかなと、安心感を覚えるような映像でしたね。
辻:僕は自分のコマが使われているのがすごく恥ずかしくて、しかも第1話のコマなので、「絵、下手!」と、最初は直視できなかったです(笑)。でも声の良さに惹かれて恐る恐る見ると、「こういう方向性のドラマを作りたい」という思いがしっかりと伝わってきて、その方向性自体もすごく好きだなと感じて。今日、こうやって真戸原さんとお会いすると、話している声もめちゃくちゃかっこよくて、だからあんな素敵なナレーションになっているんだなと思いました。
――真戸原さんは原作も読まれたとのことですが、感想は。
真戸原:タイムリープというファンタジーな部分が大きなテーマでありながら、「当たり前のことってないんだな」と改めて気付かされる作品でした。「当たり前がないからこそ、今、そして未来をどうやって生きるのか考えるべきだ」と訴えかけられているような。勝手ながらそんな印象を持ちました。
辻:ありがとうございます……!