JR西日本は29日、大雨に伴う山陰本線長門市~小串間の被災状況と今後の見通しについて発表した。橋脚が傾斜した粟野川橋りょう(長門粟野~阿川間)の復旧について、現時点で「少なくとも着工後1年半程度の工期が必要」と見込んでいるという。
山陰本線長門市~小串間は、2023年6月30日からの大雨で鉄道施設に大規模な被災が確認されたことから、列車の運転を取りやめ、現在は代行バス輸送を実施している。
同区間について、粟野川橋りょうの橋脚傾斜を中心に被災原因等の調査を進め、このほど調査結果がまとまったという。粟野川橋りょうの橋脚傾斜について、「大雨に伴う水位上昇と、それに伴う激しい水流により基礎部の侵食を防止する矢板が損傷したことで、支持地盤の流失から橋脚の沈下・傾斜に至った」と原因を推定。傾斜した橋脚に関して、基礎部の機能が大きく損われたため、「使用に耐えない」「改築が必要」と判断した。その他の橋脚・橋桁についても、一部の損傷や部分的な変状が認められている。
これをもとに、仮に復旧する場合の河川内工事について、河川管理者である山口県と相談した結果、工事の通年施行を前提に工期・工事費の縮小が見込めることとなったため、復旧に向けた具体的な検討を開始することとした。現時点で、「粟野川橋りょうの復旧には少なくとも着工後1年半程度の工期が必要と見込んでおります」とのこと。
粟野川橋りょう以外の区間において、部分的な運転再開に向けた検討も進めると説明。その一方で、山陰本線の利用が非常に少ない状況にあることから、復旧に向けた検討と合わせ、「鉄道としての持続可能性を確保するため、沿線の自治体の方々と相談させていただきたい」との考えを示した。