東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(毎週土曜23:40〜)で、映画『アイコ十六歳』(83)以来40年ぶりに共演を果たした富田靖子と松下由樹が、『アイコ十六歳』の裏話や今後出演したい作品などを明かした。

  • 松下由樹、富田靖子 =東海テレビ提供

■あっ、これがクリームソーダですか!

――デビュー作『アイコ十六歳』では、どのように芝居を稽古されたのですか?

松下:(芝居を)知らないので、思ったまんま。合宿みたいなのはありましたね。

富田:稽古合宿はありましたけど、役が決まって1カ月くらいで撮影に入っているので……

松下:夏休みの時だけ撮影期間だったので全国から来た中学生、高校生で現場は埋め尽くされていました。クラスメイトは全員、オーディションで受かっている子たちで先生だけがプロの役者さん。それ以外は、経験のない初めての人たちばっかりでした。地方の子たちは、靖子もそうだけど、ホテル泊まりになっているし、そういうのところも大変だったと思います。

富田:その時に初めてファミリーレストランのハンバーグを食べました。毎日、外食っていうのが「うわ〜すっごい」って思っていました。

松下:ホテルのラウンジでクリームソーダを飲んだの覚えてる?

富田:あ〜〜! 覚えてる覚えてる! 「あっ、これがクリームソーダですか!」ていうの? そんな感じでした。

松下:お互いに中学生でクリームソーダ(笑)。

富田:もちろん自動販売機のクリームソーダは飲んだことはあっても、喫茶店みたいな、ホテルのラウンジの素敵なクリームソーダは、その時初めてだったので。

松下:靖子って『アイコ十六歳』の時、映画に出たくてオーディションを受けたの?

富田:あの……私、薬師丸ひろ子さんになりたかったっていうか……本当に憧れの人がいて、その人になりたかった……

松下:役者になりたくてオーディションを受けていたんだ〜。そこから東京に来るんだもんね?

富田:私の場合、親は行かせるつもりはなかったらしいです。これが将来への道筋になるなんて思ってもいなかったので、行かせていいのかどうか、やらせていいのかどうかっていうのはすごく考えたみたいです。だけど、本人が行く気満々だったので、止めることができなかったみたい。

松下:靖子は行く気満々だったんだ。

富田:行く気満々!

松下:え〜そういう印象じゃなかった、私。

富田:由樹は?

松下:私はもうやりたかったから、東京に出ていくことは躊躇なかった。なんか靖子の印象は本人が躊躇しながら来ているという印象があったかな。

富田:当時、芝居が好きなだけでは終わらないこともいっぱいあったからね。主役だからしっかりやってねと言われることが最初は嬉しかったんですが、だんだん息苦しくなってきて、福岡から一人で出てきた孤独感もあったので、もしかしたらそういう風に見えていたのかもしれない。そこら辺の葛藤は撮影の後半くらいから、自分の中で気持ちをどう処理していいのか、わからなくなっていたというのはあります。

■今作でのお互いの印象は?

――デビュー作から40年ぶりとなる共演ですが、今作でのお互いの印象をお聞かせください。

松下:靖子は変わっていなかった。

富田:由樹も。

2人:(爆笑)

松下:変わってないと思う? やっぱり。

富田:うんうん。もっとフワフワする感じがあるかなと思ったら、普通にセリフを言って、普通に終わっていった。

松下:話し方から普段の雰囲気とかまで「あれ? 全然変わっていないな」っていう。

富田:40年も経ったのにね〜。

松下:私もそういう感じ。やっぱりそうなんだね〜。

富田:根っこは変わらないのね〜っていう感じ。

――今後、こんな俳優を目指したい、こんな役をやりたい、というものはありますか?

松下:明るい作品に出たいなと思います。明るい作品はパワーをもらえるし元気になれるから。今回の『おっパン』も元気をもらえる作品だからすごく嬉しいです。そういう思いもありながら、やっぱり年齢に相応しいに大人の作品というものにも、ちゃんと出られるような自分でいたいなと思います。だから時代劇や現代劇など、作品の幅というものはあまり狭めないで、いくらでもできるみたいな、年齢を重ねていることをポジティブに変えていこうと思います(笑)。

富田:由樹と同じところは、やっぱり自分がエネルギーをもらえるような作品はずっと続けていきたいというところ。その先にどんな出会いがあるのか楽しみにしているところはあります。この『おっパン』の先にどんな役が待っているのか考えるとちょっとワクワクします。でもちょっぴり女スパイはやってみたいかな。やっぱり怪我も増えてきちゃって体もあちこちガタが来ているので、体力があるうちに刑事ものとか、アクションものとか、ここ数年のうちにやっておかないとできなくなっちゃうというのはありますね。言葉より体を使う役を早めにやらなくちゃ、と思っています。

――富田さんの女スパイ、ぜひ見てみたいです!

富田:女スパイってなんだよ(笑)!

松下:女スパイってなんだ(笑)!

富田:ちょっと今、スパイファミリーがマイブームで来ているので、ちょっとやってみたいですね(笑)。

【編集部MEMO】第4話あらすじ
人の趣味嗜好や価値観はおっさんのパンツと同じ!? ひとつの気付きを得た誠(原田泰造)。そんな中、不登校中の息子・翔(城桧吏)が久しぶりに学校に行くと言い出す。思わず褒めてやろうとする誠だったが妻の美香(富田靖子)に止められ、そっとしておくことに。そう。誠は、我慢できるようになったのだ。とは言え、心配な誠は再登校初日に、翔を学校の近くまで車で送ることに……。いざ、校門の前で立ちすくむ息子に、誠は胸を張ってある言葉を贈って――。その頃、大地(中島颯太)は実家に帰省する恋人の円(東啓介)に、円の父親の還暦祝いを渡していた。自分の親への気遣いに嬉しくなる円。だが、実家からの電話では「まだ恋人はいない」と口にしてしまい――。一方、学校に行った翔にも試練が……。キャラの濃すぎるギャル三人衆、謎のメイク女子(並木彩華)、そして翔が所属している野球部の面々。少しだけアップデートした誠を中心に、『おっパン』ステージ2の幕が上がる。