三谷幸喜監督最新作 製作報告会が13日に都内で行われ、三谷監督が登場した。
■三谷幸喜監督、最新映画『スオミの話をしよう』公開を発表
この日発表されたのは、女優の長澤まさみが主演を務める映画『スオミの話をしよう』(2024年9月13日公開)。三谷監督は「何か一つ限定してこれだということではなく、5つの顔があります」と前置き、「まずミステリーです。大富豪がいて、その奥さんの名前が『スオミ』というんですけども、突然いなくなっちゃうんです。誘拐事件なのか、単なる家出なのかわからない。大富豪はあまり大事にしたくないので。警察には言わずに自分の知り合いの警察官に極秘でプライベートで捜査をしてくれるように頼むんです。それがこの物語の発端となっております。日本映画で誘拐というと、黒澤明監督の『天国と地獄』という作品があります。まあ今回それを目指そうかなと思っております」と説明し、「ちょっと大きく言ってしまいました」と会場を笑わせた。
監督はさらに「2つ目の顔はコメディです。僕はコメディしか作らない人間です。ずっと笑いの世界にいて、『鎌倉殿の13人』という大河ドラマはちょっとシリアス側に舵を切ってましたが、それでもやっぱり笑いの要素があって、僕はやっぱり自分が作るものは、皆さんに楽しんでもらう、笑ってもらうことが大前提と思って作品を作っております」と続ける。「大富豪のところに、スオミがかつて結婚していた4人の男性が集まってきます。旦那さんも含めて、5人のスオミを愛する男たちが集結する物語です。極秘にお願いした警察官というのも、実はスオミの前の旦那さんです。その5人の男たちは、誰が1番スオミのことを愛していたかでマウントを取り始める。スオミがいなくなったのはもう忘れちゃって、そのことばっかりに執着していく、そんな展開になっています」と説明した。
3つ目は「僕の作品としては珍しいんですけど、恋愛映画です。それぞれ5人の男たちは、自分とスオミの思い出を語ります。そこでいろんな愛の形が見えてくるという構成になっております。パートナーがいる方もパートナーが今いない方も、必ず楽しんでもらえる、いろいろ学べる作品になってるんじゃないかなというふうに思っています。デートムービーといってもいいでしょうか? デートムービーになっております」と監督。
さらに4つ目に継いては「実は1番大事なので、記事にしていただくときには、1番大きな活字でお願いしたい」そうで、「『スオミの話をしよう』は長澤まさみ作品です」ときっぱり。「僕が長澤まさみさんが大好きで、今まで舞台も一緒にやりましたし、ドラマも出ていただいて、大河ではナレーションもやっていただいたんですけども、おそらく今の日本映画界で最も力があって輝いている女優さんだと思います。彼女のコメディエンヌとしての輝きも含めて、今現在の長澤まさみさんの魅力を、とにかくスクリーンに収めたかったというのが、僕の1つの目標でもありました。長澤さんファンの方は『あ、こんな長澤さんが見たかったんだ』ときっと思ってくれると思います」と自信を見せる。
5つ目は「これはもう本当ちっちゃくて構わないんですけど、三谷幸喜作品でもあります。僕にとって9本目の映画です。毎回試行錯誤を繰り返してますけども、今回は手応えがあるというか。まだ編集の途中なんですけども、面白い作品になっていると思いますし、今までの映画と同じように、カンヌとかベネチアには全く縁のない作品ではあるんですけども、今の日本のお客さんには、必ず楽しんでもらえる作品になっていると思っております」と明かす。「原作もないしアニメでもないしテレビが元になった作品でもない、完全オリジナル作品は今あんまりないんですけども、その中の1本として、来年の日本映画にちょっとでも貢献できるといいなと思っております」と意気込んだ。
■長澤まさみの魅力とは?
改めて長澤の魅力について聞かれると、「結構はっちゃけたイメージもあるんだけども、実はすごく繊細なお芝居をされる方でもある。一緒に舞台やった時もとても感じたんですけども、ご本人がすごく真面目な方だというのもあり、本当に役を掘り下げていく。セリフ一つ一つも自分の納得いくまで繰り返し繰り返し。撮影中も僕はもうこれでOKだと思ってるんだけども、長澤さん的には『もう1回お願いします』という場合も何度もありました」と振り返る。
「それぐらい役に対する意気込みがきちんと形として残る方だと思っていて、もちろんコメディのイメージもあるんだけども、それと同じぐらい、とても演技上手の方だと思ってます。だから今回の役も、実はとても難しい役を僕は彼女にお願いしたんです。5人の男たちが思い描くそれぞれのパートナーとしてのスオミは全員同じようで、それぞれ印象が違う。だけども通して見ると、1人の人間だという複雑な役をお願いして、僕の思っていた以上に演じてくださったというのがすごく嬉しかったし、『こういう長澤さんを皆さんに見てほしかった』と思っています」と語る。さらに「エンターテイナー的な部分ももちろん持ってらっしゃるので、ちょっとだけ歌うシーンもありますし、踊りもあります。気持ちアクションシーンもあったりとかします。長澤まさみのすべてがこの中にある時といっても過言ではないと思います」と胸を張った。