里見香奈女流王座に加藤桃子女流四段が挑戦するリコー杯第13期女流王座戦五番勝負は、第3局が12月5日(火)に山形県天童市の「天童ホテル」で行われました。対局の結果、居飛車対中飛車の対抗形を88手で制した加藤女流四段がスコアを1勝2敗として奪取に望みをつなぎました。

序盤の勝負手

里見女流王座の開幕2連勝で迎えた本局は挑戦者・加藤女流四段にとってカド番の正念場。ノーマル中飛車に構えた先手の里見女流王座に対して後手の加藤女流四段は居飛車穴熊に組んで戦いの時を待ちます。里見女流王座が5筋の歩交換に出たところが早くも勝負どころとなりました。

素直に応じては不満と見た加藤女流四段が角道を開けて反発したのを受けて里見女流王座も勝負手で応戦。当たりになっている飛車を切り飛ばしたのは直後に控える角金両取りの桂跳ねに期待したもので、里見女流王座のこの強襲が成立するかが勝敗を左右するポイントとなりました。

加藤女流四段が反撃決め快勝

駒損でも中央にと金を作ったのは「5三のと金に負けなし」の格言に従った攻め筋ですが、ここから加藤女流四段の見切りが冴えわたりました。拠点への銀打ちに対して金駒が残るように受けたのが穴熊党らしい受けの手筋。つづく金底の歩が受けの決め手で先手の攻めは続きません。

優位に立ってからの加藤女流四段の指し手は明快でした。終局時刻は15時48分、最後は攻め合い一手負けを認めた里見女流王座が投了。加藤女流四段は1勝2敗とひとまずカド番をしのぎました。注目の第4局は12月11日(月)に東京・将棋会館で行われます。

水留啓(将棋情報局)

  • 局後の加藤女流四段は「ストレートで終わらなかった安堵感ともう一局指せる喜びがある」と述べた(写真は第12期リコー杯女流王座戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

    局後の加藤女流四段は「ストレートで終わらなかった安堵感ともう一局指せる喜びがある」と述べた(写真は第12期リコー杯女流王座戦五番勝負第4局のもの 提供:日本将棋連盟)

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